シボレー・コルベットは1953年に誕生したアメリカ伝統のスポーツモデルであり、ZR1はその最上級グレードにあたる。歴史的にはC3(3代目コルベット)に用意されたモータースポーツ用のパフォーマンスパッケージに端を発するもので、以降、C4、C6、C7と、C5を除く歴代のモデルに設定されてきた。ゼネラルモーターズではC4の「ZR-1」が「King of the Hill」と呼ばれていたことから、新型ZR1のデビューを「The King of the Hill returns」と表している。
「The Fastest, Most Powerful Corvette Ever(コルベット史上最速、最強)」を実現したというC8世代のZR1も、過去のモデルと同じく最大の特徴はエンジンにある。新開発の5.5リッターV8 DOHCツインターボエンジン「LT7」は、フラットプレーンクランクシャフトの「LT6」をベースに、シングルスクロール(76mm)のボールベアリングターボを2基搭載したもので、1064HP(873kW)/7000rpmの最高出力と828lb-ft(1123N・m)/6000rpmの最大トルクを発生。これにより、新型ZR1は最高速が215マイル(約346km/h)以上、1/4マイル(約400m)加速が10秒以下という動力性能を発揮するという。またデュアルクラッチ式8段ATにも改良を加えており、各ギアにショットピーニング加工を施すことで強度をアップ。ファイナルドライブも変更し、インプット/アウトプットシャフトや冷却システムなどにもアップグレードを施したという。