第7回:ボルボC70です(3)
2007.03.08 エディターから一言第7回:ボルボC70です(3)
スカンジナビアンな?
「ボルボ」「サーブ」といった北欧メーカーが、他の自動車メーカーとの差別化のために打ち出しているのが、いわずもがなの“スカンジナビアン・デザイン”。「最小限の要素で機能を成立」「クールなデザイン」それに「木目の温かさ」が特徴……と、以前、サーブのプレス試乗会で教わったおぼえが。
はい、ボルボが「S40/V50」で打ち出した「フリーフローティング・センタースタック」ですね。これは「C70」の、です。
木目調パネルだと家具調だけど、一方、オプションのアルミパネルになると“うねって浮いている”姿が未来的。
カッコいいですねェ。
パネルの後ろのモノ置きは、実質、デッドスペースでありますが。
スカンジナビアン・デザインの大事な要素のひとつに「ユニバーサル性」があるそう。身体機能に不自由がある方にも使いやすく、というのがポイントで、かつてのボルボ車の、手袋していても使いやすい大きなボタン類とか無骨なスイッチ、握りやすいステアリングホイールの太いリム、なんて部分がそれに通じていたんだと思います。
でも、それがある種のヤボったさにつながっていたわけで、ボルボもサーブも大メーカーの傘下にはいって(フォードとGMね、念のため)、洗練されて、オシャレになって、いつの間にか“クールなスカンジナビアン”ばかりがアピールされるようになって……
なんて大上段なハナシはともかく、「フリーフローティング・センタースタック」のスイッチ、ダイヤル類って、わかりやすいですよね。
左上から時計まわりに、
・押すと「オーディオON/OFF」、回すと「ボリューム」
・押すと「サウンド調整」、回すと「チューニング」
・押すとエアコンの調整対象が「左/右/左+右」、回すと「温度」
・押すとエアコンが「オート」、回すと「風量」
といった具合。
エアコン、シートヒーターの使い方にも迷いが生じない。ユニバーサルなイラストが、なんかカワイイ!?
黎明期!?
たとえば、風量ダイヤルを回すと、当たり前だけど、該当機能のレベルゲージがディスプレイに表示される。
エアコンの風量とか。
サウンドダイヤルを押すと、BASS、TREBLEとか出てきて。
ダイヤルの周りに「レベル」を刻んだり、「機能説明」「機能名」をプリントするかわりに、ディスプレイを駆使する。
かつては現実に、プレート上に刻まれたり、プリントされていた内容を、そのままディスプレイの中の世界に再現する。
パーソナルコンピューターの黎明期みたいですね。
机の上の環境をそのままパソコンのディスプレイのなかにもっていくため、ソフトウェアの個々の機能を、擬似的に鉛筆や消しゴムに置き換えたような。
皮肉なことに、一つのディスプレイと4つのダイヤル、リモコンのような集合ボタンですべての機能を充足させたシンプルなスカンジナビアン・デザインのほうが、コンピューターのディスプレイとマウスをそのまま移植してきたかの、つまり職場のデスクまわりをクルマのなかにもちこもうとしたドイツ車勢より、よほどすっきりまとめられている……
と褒めたところで気が付いた。
「フリーフローティング・センタースタック」がカバーするのは、基本的にエアコンとオーディオの機能だけですね。
・ナビゲーション機能を付けたい。
・エアコンをもっと詳細にコントロールしたい。
・テレビも受信したい。
・乗る人ごとのユニークな環境設定を保存したい。
・電話や緊急時の自動送信も……
とユーザーの要望が膨らんでいくと、現状スカンジナビアンなセンターコンソールはどうなっていくのか?
興味津々。
「アップル」(旧アップルコンピューター)みたいな、クールな解決策を期待したいと思います。
エディターは、DELLユーザーですが。
いや、それゆえに!?
(webCGアオキ)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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