第6回:ボルボC70です(2)
2007.03.07 エディターから一言第6回:ボルボC70です(2)
エンジンの不思議
エディターの身のまわりは、ジュネーブショー一色です(ちょっと大袈裟)。現地から次々とリポートが届き、『webCG』編集部は嬉しい悲鳴。ボルボブースでは、「XC70」がフルモデルチェンジを受け、「ボルボC70」に続き(?)「V50」風になったようです。たしかボルボはもうひとつ大きなニュースがあるはずですが……。
といった世界情勢とはさっぱり関係なく、「ボルボC70」で街をながす今日この頃。
はい、返却です。
昨日と同じクルマじゃないかって?
チッチッチ……。
「セレスティアルブルーパール」というボディカラーこそ同じながら、こちらは「ボルボC70 T-5」。ターボモデルですね。
ちょっと前までは「耐久性を考慮して」、ターボエンジンのほうが自然吸気エンジンより排気量が小さかったボルボですが、いまでは2.4リッターのNAに対し、こちらは2.5リッター。ターボの恩恵で、80ps増しの220ps(!)を発生します。「ボルボ」と「ニヒャクバリキ」が違和感なく結びつくのだから、時代も変わったもので。
2.5リッターターボは、1500rpmですでに最大トルクの32.6kgmに達しますから、C70 T-5、走りはじめから速い。
ちょっと踏んだだけで速い。
ボーッと速い。
この場合の「ボーッ」は、意外と元気に発せられる排気音と、なんとなくノッペリしているエンジンフィールとがかけられております。
さして回りたがるエンジンでもなし。劇的なピークパワーが待っているわけでもなし。ブッ太いトルクで1.7トンのオープンボディをグイグイ運ぶ。それはそれで立派な仕事ぶり。
2.4も2.5ターボも、直列5気筒エンジンです。かつてはアウディも執心だったシリンダー数で、フォーリングズの(元)ボスの興味が「5」から狭角Vバンクに移ったあとも、北欧のメーカーは「850」以来の5気筒を大事に使い続けてます。
ちょっと不思議なのは、同じ5気筒ターボが、「フォード・フォーカス」に積まれてST用ともなるとなかなかスポーティなユニットと化すのに、本家のエンジンベイの中ではさして感興をもよおす対象とならないこと。
自動車メーカーの力点の置き場所が違うからでしょう。
プラットフォーム同様、エンジンも、元が同じでもチューニング次第で個性化できるということですね。逆の言い方をすると、エンジンがクルマを代表するパーツと言い切れなくなった。いまさら、ですが、内燃機関の発達と軌を一にして育ってきた自動車が、ある種の到達点に至ったのかもしれません。ココでそんな大風呂敷を広げる必要性はこれっぽちもないんですけど。
(webCGアオキ)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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