「キックダウンさせると燃費が悪化する?」
2007.02.24 クルマ生活Q&A トランスミッション「キックダウンさせると燃費が悪化する?」
AT車で加速する際に、アクセルペダルを踏み込んでキックダウンさせると燃費が悪化すると言われたことがあります。セレクターレバーで低いギアを選んでから、アクセルを踏んだほうがいいのでしょうか?
お答えします。Dレンジでペダルを深く踏み込むと、ギアが何段か落ちて(キックダウン)、同時にエンジンの回転数が上がりますね。
最近のクルマは多くが電子スロットルですから、ペダルを踏み込んだ角度と速度をセンサーがとらえて、信号を送るわけです。ここで、二つのことが起こります。
トランスミッションには、「加速せよ」という指令が送られます。ギアを落として、力強く加速する体制を整えるわけです。エンジンに対しては、「ガソリンをたくさん供給せよ」という指令が送られます。回転数を上げるためには、濃い混合気が必要だからです。
電子制御で細かくコントロールしてはいるものの、ペダルを踏み込んでから加速するまでのタイムラグで無駄にガソリンを消費してしまう傾向はあるでしょう。
自分でギアを落とすのなら、必要以上にペダルを踏み込む必要がありませんから無駄に多くのガソリンを供給することはありませんし、加速したあとにアクセルペダルを戻すのも容易です。だから、このほうが燃費には有利だと言えます。
ただ、むやみにマニュアルでのシフトダウンを繰り返しているとATに負担をかけることにもなり、寿命を縮めるという側面があることも忘れてはいけません。必要以上の急加速を控えることが、クルマに優しい運転なのです。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。