第305回:嬉しいような悔しいような……コージの新型「MINI」愛憎ないまぜインプレッション!
2007.02.16 小沢コージの勢いまかせ!第305回:嬉しいような悔しいような……コージの新型「MINI」愛憎ないまぜインプレッション!
元オーナーとして入念なチェック!
下品な話、恋人のマル秘ゾーンのホクロまで見逃さん! とばかり入念なチェックを入れちゃいましたね。都内、それも夜中に行われたファッショナブルな新型MINI試乗会。
というのも俺は現行MINIクーパー・コンバーチブルの元オーナー。先日手放したばかりだけど、あれはいまさら責任放棄できない70年代ロールスや、思い出たっぷりの964型ポルシェ911が捨てられないがゆえの苦渋の選択だった。
それこそ「生涯持っててもいい!」って思ってたぐらいのクルマだったから、そんじょそこらの新車とは入れ込み具合が違うわけよ、ニューMINIに対しては。
ってなわけで結論をカンタンに言っちゃうと、嬉しいような悔しいような、しかしホッとさせられたデキでしたね。
とにかく全面的にクオリティアップがなされてます。大雑把には全長が55mm伸びて、エンジンがBMW製になったのがミソで、実はボディはルーフ以外、ほぼ100%新設計なんだけど、全幅はほとんど変わってないし、全高は逆に低くなってるくらい。
55mm伸びて若干高くなったノーズにしても、大部分は事故時の歩行者安全に配慮するスペースに使われ、室内スペースはほぼ変わってない。
つまり、ま、キープコンセプトと言っていいわけよ。ただ、実際目の当たりにすると結構変わってるんだよなぁ。
キープコンセプト、だけど結構変わってる
まず注目すべきは顔で、ヘッドランプがウィンカーを含めて一体型になったのはどーでもいいとして、最初に写真で見た時は、ヘッドライトが前より寝て間延びしてるのが気になった。なんだか鼻の下が伸びたようなマヌケ具合なんだよね。
ところが実物では意外と気にならない。一言で言えば慣れの問題なんだけど、おそらく根本的には人間の感覚がいかにアテにならないかってことなんだろうなぁ。
現行の2代目MINIが出た時もそうだけど、最初は初代とはデザインがだいぶ違うんで驚いた。正直、VWニュービートルの方が初代ビートルに近いと思った。
でも時間がたつと気にならなくなってくる。それはおそらくBMWのMINIチームのデザイン力で、MINIらしく魅せるためのツボはしっかり押さえてるってことでしょう。そういう意味では3代目も同様な気がする。
それより問題は乗り味よ。ハッキリ言って、MINIらしいキビキビ感をほどよくキープしたまま、全面的に軽く上質に&乗る人に優しくなってます。
一番驚いたのは乗り心地で、現行MINIも悪くはないんだけど、新型の方がハッキリといい。その分、今までよりコーナリング中のロールがややデカくなってるんだけど、まあ気にならないし、独自のキビキビ感はほぼキープ。
でね。ステアリングもまた全面的に上質かつ軽くなってんのよ! ココがおそらく最大のキモで、なんつーかそのステアリング・フィールはまさしくBMWのソレ。いや、現行MINIにしても“FF車で初めてBMWフィールが具現されてる”感じだったんだけど、ソイツがますます研ぎ澄まされております。
改善のキモは燃費向上
個人的には乗り味を含めて、今まで鉄で出来ていたボディが、軽量高剛性の新素材で出来てるような変化で、なんつーか、味を残したまますべてが軽くなってる! みたいな。
言わば動物性ラードで作られてたラーメンが、植物性アブラで作られ、“さっぱりしてるのにコクがある”って感じでしょうか。
それに寄与してるのが、新設計、それもBMWほぼ主導で作られたプジョーとの共同開発1.6リッターエンジンにあることは間違いなく、とにかく6000rpm台まで今までよりかるーく回ってくれます。
ただね。正直、俺が予想していたほどの軽さや鋭さはなく、最高出力にしてもクーパーに搭載されてるNA 1.6リッターが4psアップ、クーパーSに搭載されてるツインスクロールターボ1.6リッターが5psアップした程度。
そう、実は作ったBMW側は、パワーは現行型でも十分と考えており、改善のキモは燃費向上にあったそうな。
日本の10・15モード燃費で測っても、クーパーがリッター11.6kmから13.8kmに、クーパーSがリッター12.0kmから14.4kmに向上してるんだけど、実燃費ではもっとアップ。聞けば今まで都内でリッター8km程度だったクーパーSが、新型は確実に10kmをオーバーするとか。
これまた昨今の時代の流れってことですな。ヨーロッパ市場においては、ディーゼルに引けをとらない性能にするためでしょう。
新旧MINI、似て非なるもの
ってなわけで全面的に軽く、ナチュラル派になった新型MINI。聞けば、現行型は開発当初はローバーのスタッフもいて、エンジン開発もクライスラー主導だったし、「やり残したこと」が沢山あったそうな。
そういう意味では、新型こそが“100% BMW MINI”なわけで、おそらくそのデザインもあと数ヶ月もすりゃあ「あれ? どっちが新型だっけ?」となるはず。
つまり冷静にみればこの新型は買いなわけだけど、俺としては現行型の重みのある、やや古臭さとモダンさがないまぜの味も捨てがたい。
っていうかインテリアにしても、確かに新型の方が樹脂の質にしろ、デザインの精度にしろ、ナビモニターを入れやすくなった巨大センターメーターにしろ、大幅に良くなってるわけだけど、現行のメタリックたっぷりのテイストも捨てがたい。
特に昔の計測器のような質感のパワーウィンドウのトグルスイッチは忘れがたいし、あとダイヤル式の温度調節も今のが使いやすい。
つまりね。新型は新型、現行は現行でそれぞれ味が違ってオイシイわけで、個人的には新型が出て、現行の値段が下がったらまた買ってもいいなぁ〜とすら思いました。うーん、コージ小沢も結構セコいってか(笑)。
ま、実際、新型が世に出回ってみなきゃわかんないけどね。でも、今のところ現行型ユーザーにとっても、これから新型を買おうってユーザーにとってもハッピーな出来栄えだと思いました。
そう、実は新旧2台、全体的なクオリティの違い以外に、初代MINIの“そしゃく具合”が違うのよ。解釈の仕方が違う、似て非なるものっていいますかね。わっかるかな〜なんちゃって(笑)。
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
-
第454回:ヤマダ電機にIKEAも顔負けのクルマ屋? ノルかソルかの新商法「ガリバーWOW!TOWN」 2012.8.27 中古車買い取りのガリバーが新ビジネス「WOW!TOWN」を開始。これは“クルマ選びのテーマパーク”だ!
-
第453回:今後のメルセデスはますますデザインに走る!? 「CLSシューティングブレーク」発表会&新型「Aクラス」欧州試乗! 2012.7.27 小沢コージが、最新のメルセデス・ベンツである「CLSシューティングブレーク」と新型「Aクラス」をチェック! その見どころは?
-
第452回:これじゃメルセデスには追いつけないぜ! “無意識インプレッション”のススメ 2012.6.22 自動車開発のカギを握る、テストドライブ。それが限られた道路環境で行われている日本の現状に、小沢コージが物申す!?
-
第451回:日本も学べる(?)中国自動車事情 新婚さん、“すてきなカーライフに”いらっしゃ〜い!? 2012.6.11 自動車熱が高まる中国には「新婚夫婦を対象にした自動車メディア」があるのだとか……? 現地で話を聞いてきた、小沢コージのリポート。
-
NEW
ボルボEX30クロスカントリー ウルトラ ツインモーター パフォーマンス(4WD)【試乗記】
2026.2.24試乗記ボルボの電気自動車「EX30クロスカントリー」に冬の新潟・妙高高原で試乗。アウトドアテイストが盛り込まれたエクステリアデザインとツインモーターからなる四輪駆動パワートレイン、そして引き上げられた車高が織りなす走りを報告する。 -
NEW
エンジニアが「車検・点検時に注意すべき」と思う点は?
2026.2.24あの多田哲哉のクルマQ&Aすっかりディーラー任せにしている車検・点検について、ユーザーが自ら意識し、注視しておくべきチェックポイントはあるだろうか? 長年トヨタで車両開発を取りまとめてきた多田哲哉さんに意見を聞いた。 -
BYDシーライオン6(FF)【試乗記】
2026.2.23試乗記「BYDシーライオン6」は満タン・満充電からの航続可能距離が1200kmにも達するというプラグインハイブリッド車だ。そして国内に導入されるBYD車の例に漏れず、装備が山盛りでありながら圧倒的な安さを誇る。300km余りのドライブで燃費性能等をチェックした。 -
いつの間にやら多種多様! 「トヨタGRヤリス」のベストバイはどれだ?
2026.2.23デイリーコラム2020年のデビュー以来、改良が重ねられてきたトヨタの高性能ハッチバック「GRヤリス」。気がつけば、限定車を含めずいぶんと選択肢が増えている!? 現時点でのベストバイは一体どれなのか、工藤貴宏が指南する。 -
アルファ・ロメオ・トナーレ ハイブリッド インテンサ(FF/7AT)【試乗記】
2026.2.22試乗記2025年の大幅改良に、新バリエーション「インテンサ」の設定と、ここにきてさまざまな話題が飛び交っている「アルファ・ロメオ・トナーレ」。ブランドの中軸を担うコンパクトSUVの、今時点の実力とは? 定番の1.5リッターマイルドハイブリッド車で確かめた。 -
アルピーヌA110 R70(前編)
2026.2.22ミスター・スバル 辰己英治の目利き新生アルピーヌを9年にわたり支えてきたミドシップスポーツカー「A110」。そのスパルタン仕様である「R70」に、辰己英治氏が試乗。スバルやSTIでクルマを鍛えてきた彼の目に、間もなく終売となる希代のフレンチスポーツはどのように映るのだろう?
