スバル・レガシィシリーズ【試乗速報(前編)】
使い切りの満足感を求めて(前編) 2006.05.25 試乗記 スバル・レガシィシリーズ スバルの稼ぎ頭「レガシィ」シリーズのビッグマイナーチェンジが行われた。モデルチェンジごとにグランドツーリング性能を追求してきたレガシィ。今回の変更点をサーキットで確認する。出し惜しみは、しない
いわずもがなのスバル主力モデル「レガシィ」シリーズが、一斉にマイナーチェンジを果たした。走りと環境性能の両立を目指したビッグマイナーチェンジと説明される。
試乗会場に並べられた車両を一見してわかるのは、フロントマスクに新設されたウイングモチーフグリル(「2.0GT spec.B」「3.0R spec.B」はハニカムメッシュタイプ)。さらに見ていくと、照射角を広げたライトユニットや、小回り性を高くするためにバンパーのコーナーを削られるなど、細かい改良も施された。
室内ではステアリングホイールにパドルシフトが備わり(AT車)、テレスコピック機能までも加わった。「ドライバーズカーオンリーではなく、どの席においても楽しいクルマ」のために、快適装備として左右独立エアコンや、座面長などを見直したシートが用意され、ワゴン/セダンや布と革のシート生地の違いを考慮した、マッキントッシュオーディオのリセッティングまでもなされる。
輸入車が多くのドライバーの選択肢に入る昨今、それらを意識した上質さをも付与したという。
もちろん変わったのは内外装だけではない。2.0ターボ、2.5、3.0リッターユニットには、より低回転寄りの広い範囲でトルクを絞り出すチューニングが施された。これはすなわち、街乗りなどの実用域が使いやすくなったことになる。ボディ剛性は高められ、シャシーも改良。「アウトバック」に至っては、ダンパーの構造までも変えている。
さらに2リッターターボと3リッター車には、セレクターにより、スロットル特性などを切り換えられる「SI-DRIVE」を搭載するなど、マイナーチェンジとは思えないてんこ盛り具合である。
エンジニアに「フルモデルチェンジの際に反映させる考えはなかったのですか?」と聞くと、「持っているものはすぐにでも出したいのです。出し惜しみはしません」とおっしゃった。セコイ質問ですいません……。
サスペンションが動くボディへ
今回の試乗コースは、富士スピードウェイ。試乗ステージを考えラインナップから選ばれたのは2リッターターボと3リッター車。当日はあいにくの雨であったが、AWDの安定感を信頼して走り出す。この気分的な「安心」という部分で、AWDが有利なのは間違いない。もちろん過信してはいけないのだが。
まず乗り込んだのは、マイナーチェンジにより6段MTが採用された、シリーズ中最もスポーティな「B4 2.0GTspec.B」。初めてのコースなので慣熟も兼ねて慎重に走る。エンジン回転や車両へのGのかかりかたにかかわらず、スムーズにシフトを受け入れてくれる。意地悪く言えばメリハリがないとも言えるが、扱いやすいことを嫌う人は少ないだろう。
後に乗ったツーリングワゴンに比べ、車重などの関係でコーナーでの安定感が高いB4は、トルセン式LSDをリアに採用するため脱出も速い。
続けて「ツーリングワゴン 3.0R(5AT)」に試乗。マニュアルモードを選び、ステアリング裏のパドルシフトを操作してサーキットを駆け抜ける。コーナー手前でシフトダウンすると、ブリッピングしながら変速をする。これも3リッターATモデルに新しく加わった仕組みだ。
しかし、マニュアルモード走行時にレブリミットに近づくと自動的にシフトアップしてしまう機能(すべてのATモデル)は、スポーティ走行派には賛否両論かもしれない。
エンジンだけが注目点ではない。マイナーチェンジにより高められたボディ剛性は、サスペンションの動きも良くする。今回はサーキットでの試乗で街乗りなどのインプレッションができないが、これは走りだけではなく、乗り心地にも有利に働くはずだ。(後編につづく)
(文=webCG本諏訪裕幸/写真=荒川正幸/2006年5月)
・スバル・レガシィシリーズ (後編)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000018190.html
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本諏訪 裕幸
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