レクサスGS450h“version L”(FR/CVT)【ブリーフテスト(中編)】
レクサスGS450h“version L”(FR/CVT)(中編) 2006.05.19 試乗記 ……772万6250円 総合評価……★★★ 中編では、高級ハイブリッド「GS450h」の車内をチェック。シートはきちんと作られているが、ハイブリッドゆえの泣き所が……。【車内&荷物空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
他のGS各モデルともっとも異なるのが、タコメーターの代わりに組み込まれたハイブリッド・システム・インディケーター。「charge」「eco」「power」の3ゾーンで燃費の状態と回生時を示すものだ。ハイブリッドたる証ではあるが、瞬間燃費計と同様に、慣れればいちいち目をやる必要もない簡単なもの。ダッシュのもっとも大事な場所を占めるほどではない。またカーナビなどのディスプレイ画面を切り替えれば、例のトヨタ式ハイブリッドのシステム作動図が出る。むしろこの方が実際は情報として意味がある。
これを除けばもう見慣れたGSの室内。デザイン的にレクサスのなかでも、どうもGSは強い個性というかインパクトに欠ける。きれいに化粧直しして上品にしたアリストのようだし、かつてのアリストほどの強さもない。これは室内も同じで、ダッシュボードやスイッチ/コントロールのレイアウト、材質などを含めたデザイン・テーマは他のトヨタ各車と同じようなもの。装備は満載だし仕上げはさすがにきれいだが、800万円近いクルマにしては、持つ喜びをあまり感じさせてくれないと思う。
(前席)……★★★
造形的にはつまらない室内だが、シートそのものは国産車のなかではかなりきちんと作られている。多分、あらゆる体型のドライバーをカバーするだろう。ただし、スポーティサルーンとして見ると、サイドのサポートはやや不足。また最近の流行のスタイリングのために、シート座面に対してダッシュやサイドウィンドウ下端が高く、バスタブに深くもぐったような感じになる。これは好みが分かれるし、シート上下の移動幅が大きいから、嫌う人はクッションを上に上げればいい。
ただし、同じ理由からドライバーの視野は、天地が浅いウィンドシールド、同様に上下方向が見にくいバックミラーの景色など、視界がデザインの犠牲になっている。
(後席)……★★
このクルマを4シーターと考えれば……いやあくまでもドライバーズカーであって、前席重視と考えればいいが、外寸に対して後席は狭い。より正確にいうなら高いサイドシルや湾曲したルーフなどによって、心理的に狭く感じる。前後の余裕も、このクラスとしては平均的だろう。クッション長はやや短めだが、サポートは見た目よりはいい。
(荷室)……★★
これはハイブリッドの“泣き所”。技術の発達とともに、以前のトヨタハイブリッドに較べてだいぶん小さくなったとはいえ、ニッケル水素バッテリーはやはり相応のスペースを要求する。このクルマの場合はリアシート後方に配されるから、結果としてトランクの奥行きが犠牲になった。ゴルフバッグは他のGSでは4セット積めるだろうが、このクルマの場合は2セットがいいところ。バッグやクラブが傷むのを気にしなければ3セットがなんとか押し込める程度である。(後編につづく)
(文=大川悠/写真=荒川正幸/2006年5月)
・レクサスGS450h“version L”(FR/CVT)(前編)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000018164.html
・レクサスGS450h“version L”(FR/CVT)(後編)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000018166.html

大川 悠
1944年生まれ。自動車専門誌『CAR GRAPHIC』編集部に在籍後、自動車専門誌『NAVI』を編集長として創刊。『webCG』の立ち上げにも関わった。現在は隠居生活の傍ら、クルマや建築、都市、デザインなどの雑文書きを楽しんでいる。
-
スズキ・エブリイJリミテッド(MR/CVT)【試乗記】 2025.10.18 「スズキ・エブリイ」にアウトドアテイストをグッと高めた特別仕様車「Jリミテッド」が登場。ボディーカラーとデカールで“フツーの軽バン”ではないことは伝わると思うが、果たしてその内部はどうなっているのだろうか。400km余りをドライブした印象をお届けする。
-
ホンダN-ONE e:L(FWD)【試乗記】 2025.10.17 「N-VAN e:」に続き登場したホンダのフル電動軽自動車「N-ONE e:」。ガソリン車の「N-ONE」をベースにしつつも電気自動車ならではのクリーンなイメージを強調した内外装や、ライバルをしのぐ295kmの一充電走行距離が特徴だ。その走りやいかに。
-
スバル・ソルテラET-HS プロトタイプ(4WD)/ソルテラET-SS プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2025.10.15 スバルとトヨタの協業によって生まれた電気自動車「ソルテラ」と「bZ4X」が、デビューから3年を機に大幅改良。スバル版であるソルテラに試乗し、パワーにドライバビリティー、快適性……と、全方位的に進化したという走りを確かめた。
-
トヨタ・スープラRZ(FR/6MT)【試乗記】 2025.10.14 2019年の熱狂がつい先日のことのようだが、5代目「トヨタ・スープラ」が間もなく生産終了を迎える。寂しさはあるものの、最後の最後まできっちり改良の手を入れ、“完成形”に仕上げて送り出すのが今のトヨタらしいところだ。「RZ」の6段MTモデルを試す。
-
BMW R1300GS(6MT)/F900GS(6MT)【試乗記】 2025.10.13 BMWが擁するビッグオフローダー「R1300GS」と「F900GS」に、本領であるオフロードコースで試乗。豪快なジャンプを繰り返し、テールスライドで土ぼこりを巻き上げ、大型アドベンチャーバイクのパイオニアである、BMWの本気に感じ入った。
-
NEW
トヨタ・カローラ クロスGRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】
2025.10.21試乗記「トヨタ・カローラ クロス」のマイナーチェンジに合わせて追加設定された、初のスポーティーグレード「GRスポーツ」に試乗。排気量をアップしたハイブリッドパワートレインや強化されたボディー、そして専用セッティングのリアサスが織りなす走りの印象を報告する。 -
NEW
SUVやミニバンに備わるリアワイパーがセダンに少ないのはなぜ?
2025.10.21あの多田哲哉のクルマQ&ASUVやミニバンではリアウィンドウにワイパーが装着されているのが一般的なのに、セダンでの装着例は非常に少ない。その理由は? トヨタでさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
2025-2026 Winter webCGタイヤセレクション
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>2025-2026 Winterシーズンに注目のタイヤをwebCGが独自にリポート。一年を通して履き替えいらずのオールシーズンタイヤか、それともスノー/アイス性能に磨きをかけ、より進化したスタッドレスタイヤか。最新ラインナップを詳しく紹介する。 -
NEW
進化したオールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2」の走りを体感
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>欧州・北米に続き、ネクセンの最新オールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2(エヌブルー4シーズン2)」が日本にも上陸。進化したその性能は、いかなるものなのか。「ルノー・カングー」に装着したオーナーのロングドライブに同行し、リアルな評価を聞いた。 -
NEW
ウインターライフが変わる・広がる ダンロップ「シンクロウェザー」の真価
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>あらゆる路面にシンクロし、四季を通して高い性能を発揮する、ダンロップのオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」。そのウインター性能はどれほどのものか? 横浜、河口湖、八ヶ岳の3拠点生活を送る自動車ヘビーユーザーが、冬の八ヶ岳でその真価に触れた。 -
第321回:私の名前を覚えていますか
2025.10.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。24年ぶりに復活したホンダの新型「プレリュード」がリバイバルヒットを飛ばすなか、その陰でひっそりと消えていく2ドアクーペがある。今回はスペシャリティークーペについて、カーマニア的に考察した。