アウディ A4【特集/小林彰太郎】
意外な強敵-新型アウディA4の第一印象- 2001.12.29 試乗記 アウディ A4……362.0〜533.0万円
日本のモータージャーナリズムの草分け的存在、小林彰太郎。今回は、北海道は女満別に飛び、ニューアウディA4のローンチに立ち会った。3リッターV6と2リッター直4の2本立てとなった新型は、どうだったのか? ファーストインプレッションを報告する。
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アウディ販売の65%
結論から先に述べるなら、新型アウディA4は、メルセデスC240やBMW330iに匹敵するだけでなく、部分的にはそれを超えたコンパクトな高級ファミリーサルーンに進化した。1972年にデビューしたアウディ80から数えれば、ニューA4は6世代目にあたる。
初期の80は、ボディを除けば事実上フォルクスワーゲンそのものだった。それが、画期的なクワトロが登場した80年代から、アウディはVWとは別の路線を歩み始める。「技術による前進」をモットーに、クワトロは国際ラリーで目覚しい活躍を示し、世界の注目を集めた。
だが日本市場におけるアウディは、メルセデスやBMWの陰に隠れて、そのブランド知名度はいまだに低いと言わざるを得ない。
そこでアウディジャパンは、新A4の発売を機に、日本市場の販売体制を全面的に強化し、近い将来アウディ専売拠点を100店に増やすという。同時に、A4を全アウディ販売の65%に当たる、中核的な車種に育てる方針を発表した。
A4は、大きく分ければ前輪駆動の4気筒2.0+マルチトロニック(CVT)と、V6 3.0+クワトロ+ティプトロニック(5AT)の2車種になる。さらに前者には、トリムレベルの違いで、“ただの”「2.0」(362.0万円)と高級仕様の「2.0SE」(399.0万円)がある。いっぽうV6は、足まわりのセッティングによって、ノーマル「3.0q」(515.0万円)とスポーツ「3.0q Sport」(533.0万円)の2仕様に分かれる。本州から来ると、ウソのように空いた北海道の路上でテストした印象を記す。
大いに損している
A4各モデルに共有する美点は、(1) 無類に剛性高く、造りのよいボディ(2)ゆたかなホイールストロークと、的確なダンピングによる理想的な操縦性/乗り心地(3)あらゆる条件下での強力なトラクション、以上の3点である。特にボディの剛性は、従来型より約45%向上しているといい、実に印象的だった。乗用車の実力は、車体設計で決まるというのはまさに真理である。
前輪駆動の「2.0SE」マルチトロニックから試してみよう。この変速機は、アウディ独自の無段変速CVTである。レバーを左列にセットし、前後に軽く押すことにより、予め設定された前進6段の"ギア"をマニュアルシフトできる。CVTの常で、静止状態からスロットルを踏み込むと、まずエンジン回転だけが上がり、次第に車速がそれに追いつく。
残念なことに、新設計の軽量構造アルミブロック4気筒130psは、吸気音と思しきノイズが、3000-4000程度の回転域でも相当高まる。これは全体の高級感にそぐわないので大いに損している。早急な改善を望みたい。4気筒としては全域でスムーズなのだから。
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絶大な武器
これに対して、V6 3.0クワトロ +ティプトロニックの方は、エンジントルクも充分であるし、ふつうの5段ATなので、ほとんど常時「D」のままで用が足りる。ワインディングロードや登坂でも、「S(スポーツ)」をセレクトすれば、スロットルの加減ひとつですべての状況に対応できる。非常にスムーズで静粛なことも、大きな美点である。
因みに、テストしたV6モデルは、スポーツ仕様の「3.0q Sport」だった。バネ、ダンパーが若干硬く、タイアがノーマルの215/55R16コンチネンタルに対し、235/45R17ダンロップなのが相違点である。乗り心地は別に問題ないが、おそらくワイドなタイアのため、ステアリングフィールが少々デッドであり、また路面の縦溝に干渉されて方向性を多少乱される傾向があった。
実際にテストするチャンスはなかったが、215/55R16ミシュランを履いたノーマル仕様のV6 3.0クワトロが、想像するに日本仕様A4のなかでベストだろうと思う。価格は515.0万円である。
最大のライバルと目されるメルセデスC240とBMW330iに対しては、路面を選ばない全綸駆動性が絶大な武器となろう。この意味では、アウディA4にとって真の強敵は、意外にも「トラクション4」と名づけられた4WDシステムをもつジャガーXタイプなのかもしれない。
(文=小林彰太郎/写真=アウディ・ジャパン/2001年6月)

小林 彰太郎
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