全長×全幅×全高=3495×1495×1518mm/ホイールベース=2345mm/車重=840-850kg/駆動方式=FF/0.8リッター直3SOHC6バルブ(52ps/6000rpm、7.3kgm/4400rpm)/価格=123万円(テスト車=同じ)
マティスSX(FF/4AT)【試乗記】
「野獣派」になってほしい 2006.03.16 試乗記 マティスSX(FF/4AT)……123万円
韓国発コンパクト「マティス」がフルモデルチェンジを受けて2代目となった。先代は欧州で大ヒットした実績を持つが、軽自動車が好調に売れている日本市場で存在感を示すことができるだろうか。
欧州ではシボレーブランド
「GM DAT」の「マティス」がフルモデルチェンジした、と言っても何のことやらわからないかもしれない。韓国車の雄「ヒュンダイ」は満を持して「ソナタ」を投入したこともあって知名度がアップしているものの、GM DATはまだまだ知られていない。ただ、「デーウ(大宇)」と聞けばピンとくる人も多いだろう。大宇自動車が2002年からGM傘下となり、この名称になった。
そしてマティスは1998年にデビューするや、ヨーロッパでおおいに売れた(合計140万台)モデルなのだ。ジウジアーロデザインのすっきりしたスタイルと価格の安さで人気となったらしい。現在ヨーロッパでは「シボレー」ブランドで販売されているが、日本では単にマティスという名である。2005年にフルモデルチェンジされて2代目となり、今年から日本でもニューモデルが売られている。
初代では3気筒800ccのみだったが、新たに4気筒1リッターも選べるようになった。今回乗ったのは800ccエンジンに4ATを組み合わせ、ABS、アルミホイール、タコメーターなどの装備を付加した上級バージョンである。ちなみに1リッターモデルはMTしか選べず、この「SX」がもっとも値段が高い。
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微妙なサイズ感
外から眺めても、シートに収まっても、微妙なサイズ感に戸惑った。軽自動車枠の全長3400ミリ、全幅1480ミリをわずかにオーバーしているのだ。とはいえ、日本のハイトワゴンのように車高を高くしているわけではないから、室内が広々としているわけではない。
円形に角を2本生やしたようなヘッドランプが、外観のアクセントとなっている。ボンネットにもエッジを利かせたラインを入れて、シャープさを出そうとしているようだ。リアコンビネーションランプはわかりやすい丸形で、フロントの印象とは少々異なる。イタリアンコンパクト然としていた初代からすると、ちょっと日本車寄りのスタイルになったように見える。
幾何学模様のシート地がにぎやかな室内のほうが、ちょっと前のイタリアやフランスのクルマを思わせた。メーターはセンターにまとめられ、インストゥルメントパネルはすっきりとしている。そのおかげで、視界が開けている印象を受ける。サンルーフは手動でチルトするタイプで、これも開放感に貢献していた。
軽との競合は避けるべきかも
チョイ乗りで走りに関して細かいことは言えないが、少なくとも高速道路への合流で不安を感じることはなかったし、追い越しをかけることもできた。エンジン音はそれなりに高まって室内を席巻するけれど、コンパクトカーにはこれもよい演出という部分はある。加速性能はスペックに見合うもので、普段NAVI長期リポートカーの軽自動車に乗っている経験からすると、ノンターボならこんなものだろう、というレベルだった。
ただ、こういうクルマに乗ると、改めて日本の軽自動車の見事な達成に感じ入ってしまう。マティスよりも少しずつサイズ面でも機関面でも小さな規格の中で、さまざまな可能性を花開かせている。至れり尽くせりのおもてなしぶりや、質感の充実度を見ると、対抗するのは簡単ではないな、と思わされる。
だから、マティスがそういった軽自動車の群れに直接競合するという道をとるのは、得策ではないだろう。日本の軽は、その多くが広くてリッチという指向で、似通ったモデルが溢れている。小さなクルマはこのくらいでいいじゃないか、という割り切りで上級車とは別の世界観を持つという意志に基づくモデルが、なかなか見当たらない。せっかく野獣派の始祖の名を持つのだから、マティスには日本のコンパクトにはない思い切りを見せてほしいのだ。
(文=NAVI鈴木真人/写真=高橋信宏/2006年3月)

鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。
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