トヨタ・エスティマ 2.4アエラス“Sパッケージ”8人乗り(FF/CVT)【ブリーフテスト】
トヨタ・エスティマ 2.4アエラス“Sパッケージ”8人乗り(FF/CVT) 2006.03.07 試乗記 ……379万3650円 総合評価……★★★と★半分 1月にフルモデルチェンジされ、1ヶ月で目標の3倍以上、2万6000台を受注した新型「エスティマ」。人気のミニバンはどう進化したのか。2.4リッターモデルに試乗した。バランスのとれたミニバン
3代目ともなればハードウェアの完成度は高くなる。その好例が新しい「エスティマ」だ。手馴れた感じで仕立てられているミニバンである。誰が使ってもピープルムーバーとして、あるいはリクリエーショナル・ビークルとして重宝すること請け合い。大きなボディのわりに街なかでの取り回しに優れ、使い勝手、乗り心地、動力性能、ハンドリング、高速安定性といった各項目が高めのレベルでバランスしているのが好ましい。
けっして個性的ではないものの、ファミリーを支えてくれる実直な性格の移動手段である点を評価したい。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
初代「エスティマ」は1990年にデビュー。10年後に生まれ変わった2代目を経て、2006年1月に3代目へと進化した。プラットフォームなど中身を一新。エンジンは2種類で先代3リッターに替わるパワフルな3.5リッターV6(280ps、35.1kgm)は、4段から一気に6段へとグレードアップしたATとの組み合わせ。2.4リッター直4(170ps、22.8kgm)は先代からの改良版で10ps、0.3kgm増。こちらはCVTとなる。全車マニュアル感覚でシフトできる「シーケンシャルシフトマチック」を装備。4WDは、電子制御カプリングで前後の駆動力を配分する「アクティブトルクコントロール4WD」である。
シート機構では、2列目を2席とした7人乗り仕様には「リラックスキャプテンシート」を採用。800mmも移動できる前後スライド機構、角度調整が可能なオットマン付きのシートで、3列目を格納すれば、前席後ろから2列目ヒップポイントまで1580mmものスペースが広がる。8人乗り仕様では、2列目を6:4分割可倒式の3人がけとした。7、8人両仕様とも3列目は6:4分割可倒式で、電動(オプション)か手動でシートを床下に格納することができる。
キー携帯で解錠・施錠、エンジン始動ができる「スマートエントリー&スタートシステム」は全車標準装備。車両安定性を高める「S-VSC(ステアリング協調車両安定性制御システム)」は3.5リッターにオプション設定、センサーで車間を測定し衝突の可能性を事前に察知、ドライバーに警報を出したり自動減速したりする「プリクラッシュセーフティシステム」は一部グレードを除きオプションで選べる。
(グレード概要)
グレードを大別すると、「アエラス」と上級「G」があり、2.4リッターにのみもっともベーシックな「X」を用意。それぞれに装備充実のパッケージ装着車や福祉車両をラインナップしている。
テスト車「アエラス“Sパッケージ”」は、アエラスに、1インチアップされた18インチタイヤ&ホイールや、夜間コーナリング時にライトを進路に追従させる「インテリジェントAFS」、デュアルパワースライドドアなどを追加した内容だ。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
先代に比較してインパネはずいぶんすっきりしたデザインになった。とくに、他のグレードとは異なりライトグレー、チャコールグレー、シルバーの無彩色でまとめられた“Sパッケージ”は、シンプルさが際立つ。同じくSパッケージ専用となるメーター照明のオレンジ色がうまいコントラストになって、モダーンでオトナっぽい雰囲気を醸し出している。インパネ表面の質感も悪くなく、またパネルどうしの合わせ目といった細部の作り込みも良好だ。
このクラスのミニバンらしく装備は充実している。パワースライドドア、運転席と助手席個別に温度設定できるオートエアコン、電動格納式ドアミラー、ディスチャージ・ヘッドランプ、キーレスエントリー等々、日常使いで便利な装備がひととおり揃う。これだけ揃えば困らないだろうが、テスト車には、オプションでリアヘッドレスト、リアELR付き3点式シートベルト、サイドエアバッグ、ニーエアバッグ(運転席)、カーテンシールドエバッグ、HDDナビゲーション・システム、ETCユニットが備わり、なんの不満もない。
(前席)……★★★★
例によってノーズは目に入らないが、高めのドライビングポジションのおかげで視界はとてもよい。天井の高いクルマだからヘッドクリアランスがたっぷりとられていることから、なおさらゆったりとした気分に浸れる。視線の移動量の多いセンターメーターは、初めて経験する人には違和感があるかもしれないが、これはすぐに慣れるはずだ。ファブリック地のシートの掛け心地、サポートともにまずまずだ。大型のドアポケットをはじめとして小物入れも充実している。
(2列目シート)……★★★
8人乗り仕様ではオットマンの付いた“リラックスキャプテンシート”は選べない。けれど普通のシートでも快適である。ただし中央に座る人はやや不満が残るだろう。その部分のクッションがやや硬めだからだ。セカンドシートのスライド量は大きく、サードシートを収納して最も後ろに下げるとリムジン以上に足元は広々する。ただ、そうしたポジションにするとリアタイヤからのロードノイズがやや耳障りに感じるのが惜しいところ。
(3列目シート)……★★
全長約4.8メートルのクルマだけに最後列席の足元はそれほど窮屈ではない。ヘッドルームはミニマムとはいえ、たとえこの席に座らされることになってもそれほど疎外感を抱かずに済む。ミニバンのサードシートとしては標準以上の空間がある。加えて、サードシートの床下収納機構もよくできていて、簡単に操作できるのが親切だ。
(荷室)……★★★
サードシートを立てた状態でのトランクはそれなりのスペースしかない。なにしろ奥行きが限られており、大型のスーツケースを寝かせて置くことはできないが、買い物袋のような小ぶりのものであればかなりの数を収納できる。サードシートを備える日本製ミニバンのトランクとしては標準的な容量だ。サードシートを床に収めれば、充分すぎるだけの荷室が現れるのは言うまでもない。トランク内の仕上げも上々、ラゲッジネットを付けるためのフックや12V電源出力があり、なかなか便利。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
2.4リッター4気筒エンジンは、1720kgの車両重量に対してまったく非力なことはない。むしろ充分以上のパワーとトルクを生み出してくれ、必要にして充分な加速を得られる。CVTとのマッチングも良好で、スムーズに飛ばせる。高速道路での追い越し加速に痛痒を覚えることもなければ、ワインディングロードの上り坂で力不足を味わうこともない。100km/h巡航時のエンジン回転はたかだか1800rpmとあって、当然室内は静粛である。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
他のモデルと違い18インチの太めのタイヤを履くが、乗り心地はそれほど犠牲になっていない。むしろ18インチタイヤの恩恵でハンドリングは上々、飛ばして面白い種類のクルマとはいえないものの、安心して山道を駆け抜けられる。長いホイールベースのクルマとしては心なしかフラット感に欠けるとはいえ、だからといって不快感を抱くほどではない。電動パワーステアリングは素直かつ正確で、好ましいフィーリングである。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:二玄社自動車部門編集局長 阪和明
テスト日:2006年2月21〜22日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2006年式
テスト車の走行距離:1856km
タイヤ:(前)225/50R18 95V(後)同じ(いずれもDUNLOP)
オプション装備:上下調整式リアヘッドレスト+リアELR付3点式シートベルト(セカンド、サードシート中央席)+前席SRSサイドエアバッグ&運転席SRSニーエアバッグ&SRSカーテンシールドエアバッグ(8万9250円)/HDDナビゲーションシステム<エスティマ・パノラミックスーパーライブサウンドシステム>(66万5700円)/ETCユニット(1万4700円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1):高速道路(5):山岳路(4)
テスト距離:304.2km
使用燃料:46.5リッター
参考燃費:6.54km/リッター

阪 和明
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