アウディS4(6AT)【ブリーフテスト】
アウディS4(6AT) 2005.07.13 試乗記 ……836万円 総合評価……★★★ 7代目へ進化したアウディ「S4」。4.2リッターV8エンジンを搭載したハイパフォーマンスモデルに乗った、自動車ジャーナリストの生方聡は、あらためて気づいた事があるという。
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あらためて知る、A4の実力
直列4気筒が主力の「アウディA4」に、V6では飽きたらず、4.2リッターV8を積んでしまったのが「S4」だ。こう聞くと、いかにも無理矢理の、バランスの悪いクルマを想像してしまうが、実際に乗ってみると、“シャシーがエンジンに追いついていない”といった状況に陥っているどころか、V8のパワーを十分活かしきっていることがわかる。
それを支えるのが、フロントが4リンク式、リアにダブルウィッシュボーンを奢ったサスペンションと、アウディが誇るフルタイム4WD「クワトロ」であることはいうまでもない。
それにしても、これほどのパワーは必要ないと思う。「ほしい人はどうぞ」という感じのS4ではある。その一方で、V8パワーを受け止めるだけのシャシーがふつうのA4でも手に入ると考えると、それはそれでうれしい。S4に乗って、あらためてA4の実力を知らされた、というわけである。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1997年のフランクフルト・ショーでデビューしたS4は、A4がベースのスポーツモデル。2005年2月にビッグマイナーチェンジ&フェイスリフトを受け、アウディ・ジャパンいうところの「7世代目」に進化した。「A6」で先駆をつけた「シングルフレームグリル」で迫力を増したフロントマスクが特徴。S4は、フロントグリルに専用のグリッドパターンを配し、ノーマルA4との差別化を図る。
心臓部は4.2リッターV8(344ps、41.8kgm)、トランスミッションは6段ティプトロニックを組み合わせる。もちろん、アウディの看板たる4WDシステム「クワトロ」を採用し、スポーツチューンされたアルミ製サスペンションなどを付与。0-100km/h加速=5.8秒のパフォーマンスを誇る。
(グレード概要)
アウディにはスポーティスペシャルの最高峰「RS」シリーズもあるが、Sシリーズもまた特別な存在。よって、装備品は標準でも充実、かつスポーティに仕立てられる。外観はエアロパーツで武装、スポーツサスペンションに組み合わされるタイヤは、235/40R18インチと太い。インテリアはパネル類にカーボンを採用、シートはアルカンタラと本革を組み合わせたレカロ製のスポーツタイプで、シートヒーター付きの調節機構式。フルオートエアコンはもちろん、オートライトやオートワイパー、オーディオにBOSE製サウンドシステムと6連奏CDチェンジャーを備えるなど、アメニティも豊富だ。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
ダッシュボード、ドアトリム、そして、天井までもがブラックの室内は、とても落ち着いた印象。美しいカーボンのデコラティブパネルがふんだんに配され、スポーティな雰囲気を盛り上げてくれる。それでいて大人っぽいのがアウディの流儀だ。
DVDナビゲーションの「MMS(マルチメディアステーション)」やBOSEサウンドシステムは標準装着。試乗車にオプション装着のスライディングルーフは、駐車中にソーラーパワーでベンチレーションを行う“ソーラーシステムベンチレーション”機能を内蔵する。
(前席)……★★★★
標準でレカロの専用電動スポーツシートが備わるS4のフロントシートは、内側がアルカンタラ、外側のサイドサポートが本革という組み合わせ。座り心地はやや硬めであるが、アルカンタラの部分で体を支えてくれるので、背中や腰へのフィット感は高い。
ステアリングホイールは、パドルスイッチ付きの革巻3本スポークタイプが装着される。積極的に運転を楽しむには欠かせない装備といえる。
(後席)……★★
アルカンタラと本革のコンビネーションとなるリアシートは、フロントシート同様、硬めではあるが座り心地は良好。足元や膝の前のスペースも、ボディサイズ相応の余裕が確保され、ヘッドルームも十分だ。
乗り心地は明らかに硬いが、覚悟していたほど路面から突き上げられることはなく、短時間なら我慢できるレベルだ。加速時のエグゾーストノートは少し耳障りだが。
(荷室)……★★★
昔のクワトロは“トランクが狭い(浅い)”というイメージがあったが、いまやクワトロでも十分なトランクスペースを誇っている。美しくカバーされたトランクルームはスクエアな形状で、「凸凹でもいいから少しでも多く荷物を積みたい」という人にはやや不満かもしれない。トランクリッドはヒンジが荷室に侵入しないタイプ。リアシートは倒すことができるから、ある程度の長尺物でも収納が可能だ。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
S4のハイライトは、いまやコンパクトに感じられる全長4585mm、全幅1780mmのボディに、最高出力344ps、最大トルク41.8kgmの4.2リッターV8を乗せてしまったことだ。当然、その力強さはあり余るほどで、1500rpmも回っていれば極太のトルクを発するV8が、1770kgのボディを呆気なく望みの速度まで連れていってくれるのだ。しかも、エンジンは実にスムーズで、外見とは裏腹に荒々しさは微塵もない。
2000rpmを上回ったあたりからは独特のV8サウンドが響き始め、さらに力強さがアップ。そして400rpmを越えると、胸のすく加速とスポーティなエンジン音がドライバーを刺激し続ける。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
ガチガチに固められている印象はないが、明らかに硬いセッティングのサスペンション。装着されていたコンチネンタル・コンチ・スポーツコンタクト2はダンピングがよく、おかげで路面からの小さいショックがそのまま乗員に伝わることはないが、首都高速の目地段差を通過するような場合にはショックを遮断しきれない。しかし、スポーツセダンを選ぶからには、これくらいは我慢しなくては!
ワインディングロードでは、ノーマルのA4より格段にロールは少なく、安定感が高いS4のスポーツサスペンション。コーナーの入口で、インに向かってスーっと向きを変えるタイプではないが、それでもV8を積んでいるわりにはノーズヘビーな感じはない。多少濡れた路面でも、エンジンのトルクを確実に路面に伝えるクワトロシステムの優れたトラクションには感心。ESPの介入を想定してアクセルペダルを踏み込んでも、そのまま何事もなかったかのようにコーナーを立ち上がっていく様に、S4の懐の深さを見た。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2005年6月27日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年型
テスト車の走行距離:8385km
タイヤ:(前)235/40R18(後)同じ(いずれもコンチネンタル・コンチ・スポーツコンタクト2)
オプション装備:電動チルト式2ウェイソーラーサンルーフ+ソーラーシステムべンチレーション(22万円)/アダプティブヘッドライト(6万円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(4):山岳路(4)
テスト距離:367km
使用燃料:53.8リッター
参考燃費:6.8km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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