トヨタ・ベルタ1.3X(FF/CVT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ベルタ1.3X(FF/CVT) 2006.01.18 試乗記 ……162万9600円 総合評価……★★ 世界戦略車「ヴィッツ」をベースにしたコンパクト4ドアセダン「ベルタ」。1.3リッターのベーシックグレードに試乗した。成熟したクルマ
2代目「トヨタ・ヴィッツ」のセダン版。先代にあたる「プラッツ」で反省すべき点があったか、名前を「ベルタ」に変えて、ルックス面でも不自由のないスタイルをまとって登場した。同じくヴィッツからの派生車種、ハイトワゴン「ラクティス」同様、じゃっかん延ばしたホイールベースに、3ボックスボディを載せる。
サイズのわりに広い室内。あっさりした内装。走らせるとウルサイ。いうまでもなく、趣味性とは無縁の乗り心地&ハンドリング。成熟した経済車。いまさらクルマに夢も希望も求めないアナタに。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
世界戦略車「ヴィッツ」の派生4ドアバージョンとして1999年8月にリリースされた「プラッツ」が、2005年11月28日、名を改め「ベルタ」として再出発。“コンパクト・スタイリッシュ・サルーン”をテーマに、イタリア語で「美しい」という意味の名前を与えられての登場だ。
ベースは2005年2月発売の2代目ヴィッツ。このホイールベースを90mm、ボディを550mmも延長し、小さく、でも広い、使い勝手のいい足グルマをつくった。
エンジンはヴィッツからのキャリーオーバーとなる3種類を用意。1リッター直3DOHC「1KR-FE」ユニット(71ps、9.6kgm)、FF用1.3リッター直4DOHC「2SZ-FE」(87ps、11.8kgm)そして4WD用1.3リッター「2NZ-FE」(87ps、12.2kgm)と過大なアウトプットは不変。FFに無段変速機「Super CVT-i」を、ヨンクにコンベンショナルな4AT「Super ECT」を組み合わせる。なおプラッツにあった1.5リッターはカタログから落とされた。
3ボックスセダンならではのメリットといえるトランクは、容量475リッター(VDA法)。奥行き960mmとほぼリアオーバーハングぶん(940mm)が荷室にあてがわれる。幅は1435mm、6:4分割可倒式リアシート(「G」グレードのみ)を倒せば長尺ものも収まるという。
(グレード概要)
ベーシックな「X」と上級グレード「G」の2グレード。「X」には専用ホイールやリアスポイラーなどを装備した「Sパッケージ」も用意される。
テスト車「X」には、1リッターモデルも用意されるが、試乗したのは1.3リッターモデル。電動格納式リモコンカラードドアミラーやパワーウィンドウ、ゲート式シフトレバー、マニュアルエアコンなどが標準装備される。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
テスト車の「X」は、ベルタのベーシックグレード。インパネまわりはシンプルにまとめられる。好感。必要のない回転計を省き、そのぶん速度計をナセル内におおきく置いたのも、見やすくていい。ただ、センターコンソールを、建築的に見せんがためか、あたかも独立した壁のように垂らしたのはいかがなものか。コンソール下端両サイドのモノ入れから、たとえば財布を出し入れするときに手がひっかかる。
(前席)……★★★
万人から“ちょっと洒落たシート”と思われるであろうベルタの前席。イヤミのないカジュアルなシート地。不満ない座り心地。運転席側にはレバーを上下することでシート全体の高さを調整できるハイトコントロールが付く。さらにテスト車のシートバックには、サイドエアバッグが内蔵されていた(カーテンエアバッグとのセットプション)。「背もたれ+ヘッドレスト」は、後突時のむち打ち軽減を考慮したつくりとなっている。
(後席)……★★
乗車定員は5名だが、センターシートにヘッドレストはなく、シートベルトも2点式だから、実質2人用。アシまわりのスペースは十分確保されるが、前席より左右外側にズレて座るため、上に向かって絞られたキャビンのサイドが意外に気になる。つまり、頭の斜め横が狭く、ヘッドクリアランスも不足がち。現実的には、子供が使うことになろうか。その場合、カップホルダーがトンネルコンソール後端にひとつしかないのは、喧嘩のもと!?
(荷室)……★★★★
大型のゴルフバッグを4つ収納できると謳われるベルタのトランク。室内のレバーをひいて、もしくはカギを回してトランクリッドを開ける(オープナーは備わらない)と、実際、広い。荷室容量は、カローラの437リッターを上まわる475リッター。通常の使用で不足はないだろうが、スキーなど長尺モノを積む必要があるときは、上級グレードの「G」を買わねばならない。廉価版「X」のリアシートはたためないからだ。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★
1.3リッター直4「2SZ-FE」ユニット(87ps、11.8kgm)搭載。FF(前輪駆動)モデルはCVTと組み合わされ、カタログ燃費(10・15モード走行)19.6km/リッターを誇る。可能なかぎり効率よい回転域でエンジンを使いたいため、加えて、限られた予算内の防音・吸音材使用量のせいもあってか、赤信号後の加速時などに、エンジン音がキャビンに侵入する。大きめに。クルマを運転しながらクラシック音楽を堪能したいユーザーには向かない。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
ベルタの乗り心地は、経済的なコンパクトカーのそれ。市街地ではゴツゴツしがち。高速のフラット感もほどほど。フロントサスペンションのスタビライザーを、リンクを介してのストラット付けにしたのだが、街乗りドライブでは、どうもシャキっとしない。
電動パワーステアリングのフィールは、基本的に軽め。急にアシスト量が変わるといった不自然さはない。ただし、路面からの情報量の伝達はいまひとつ。運転は“作業”である。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2005年12月22〜26日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年式
テスト車の走行距離:1135km
タイヤ:(前)185/60R15 84H(後)同じ(いずれもDUNLOP SP SPORT 2030)
オプション装備:185/60R15タイヤ&15×5.5Jアルミホイール(7万7700円)/前席SRSサイドエアバッグ&SRSカーテンシールドエアバッグ(6万3000円)/DVDボイスナビゲーションシステム(10万2900円)
走行状態:市街地(3):高速道路(5):山岳路(2)
テスト距離:259.0km
使用燃料:20.55リッター
参考燃費:12.6km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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