アウディRS 4(4WD/6MT)【海外試乗記】
純粋に、グっとくる 2005.09.28 試乗記 アウディRS 4(4WD/6MT) アウディラインナップのなかで、もっともスポーティなモデルに与えられる「RS」。新型A4をベースに420psを発する4.2リッターV8を搭載した「RS 4」は、タダモノではないらしい。 拡大 |
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平素は静か、ときに勇ましく
正直言ってちょっと馴染めないでいた新型「A4」のフロントマスクだが、コイツを見たらぶっ飛んだ。アウディの100%子会社であるクワトロGmbHによって開発された、「アウディ RS 4」である。
イタリアはミラノ近郊にあるピレリ社所有のテストトラックで対面したそれは、睨みつけるような目つきと大きなグリルに、大型のフロントスポイラーや膨れ上がった前後のブリスターフェンダー、そして後端がダックテール形状となったトランクリッドといった迫力のディテールがとてもよく似合って見えた。まるで「RS 4を前提にA4をデザインしたんじゃないか?」と思ってしまったほどである。
インテリアも外観に負けてはいない。まず目に飛び込んでくるのはフルレザー張りの本格バケットシート。さらにステアリングホイールは下側を平らにしたDシェイプで、コンペティションマシンの雰囲気を演出している。
イグニッションをオンにしたらセンターコンソール上のボタンでエンジンが始動する。と、聞こえてくるのは結構な迫力の重低音サウンド。このイイ音を奏でるのは左右2本出しのオーバル形状出口を備えたマフラーだ。実はステアリングホイールに備わる「S」ボタンでスポーツモードに入れると、排気音が野太く変化してスロットルレスポンスもシャープになり、おまけにバケットシートのサイドサポートが電動でギューッと引き締められるのだ! 演出過多……という気もするが、思いきり走らせるときには勇ましく、でも普段は静かにという付き合い方を考えると、なるほどありがたい装備だ。
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高回転型の4.2リッターV8
重く、戻りのバネにちょっと癖があるクラッチペダルを踏み込み、6段MT(RS 4は6MTのみ!)のギアを1速に入れて走り出す。S4用の4.2リッターV型8気筒をベースにFSI(直噴)化を図り、高回転型とするべく様々な改良を施した新しいエンジンは、低速トルクが思った以上に充実していて走りやすい。
それだけの排気量があれば当然だろう? って普通に考えればそうだ。けれど、その最高許容回転数が8250rpmだと聞いたらどうだろう。そう、このエンジンは4.2リッターもあるV型8気筒のくせして、こんなにも高回転型に躾けられているのである。そしてスペックは最高出力420ps/7800rpm、最大トルク43.9kgm/5500rpmと、実にリッターあたり100psの大台を突破してみせているのだ。まさに至高のハイチューンエンジンである。
実際、本領を発揮するのはやはり高回転域だ。いかにも精度よく組まれたエンジンらしい粒の揃ったサウンドを響かせながら、一切の濁りを感じさせることなくトップエンドまで一気に昇り詰める様はまさしく快感。2速でリミットまで回しても100km/h出るか出ないか……という、低めのギア比のおかげもあって、1速ではもちろん2速でも3速でも同じような勢いで弾けるように回り、そして猛烈な勢いで速度を高めていく。脳天突き抜けるような快感だ。
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雨でもイケる420ps
これだけのパワーを躊躇なく叩き付けられるのは、もちろんクワトロシステムのおかげである。進化したクワトロは、通常時の前後トルク配分が50:50から40:60へと改められ、また最大で0:100〜100:0まで変化させることが可能になったのだが、これがハンドリングに期待を超える効果をもたらしている。これまでのアウディでも屈指のリニアな回頭性を実現したのである。
それにはボンネットをはじめアルミパーツを多用して、何とS4以下にまで軽量化を図ったボディや、RS6にも使われた可変式ダンパーの「DRC(ダイナミックライドコントロール)」の効果も、きっと大きいのだろう。まずターンインは想像以上に軽快。さらに、そこからもっとパワーをかけていくと、FRのようにリアから押されるような絶妙のコーナリングフォームをとって、気持ちよいニュートラルステアを味わえるのである。それでいて、攻め込んだときのクワトロならではの安定感は不変。実は今回の試乗は雨に祟られてしまったのだが、そんな状況でもテストトラック上、そして公道を問わず安心して踏んでいくことができた。
考えてみれば、コイツは420psもの高出力を誇る存在なのだ。それほどのパワーを雨のなかですら躊躇せず引き出し、楽しむことすらできるクルマなど滅多にあるもんじゃない。乗り心地などを含めた高い実用性との両立ぶりも見事だと思うが、純粋にそんな走りっぷりに大いに感心した……というか個人的にグラッときた久しぶりのアウディであった。気になる日本導入は、おそらく来春になるだろう。
(文=島下泰久/写真=アウディ・ジャパン/2005年9月)

島下 泰久
モータージャーナリスト。乗って、書いて、最近ではしゃべる機会も激増中。『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)、『クルマの未来で日本はどう戦うのか?』(星海社)など著書多数。YouTubeチャンネル『RIDE NOW』主宰。所有(する不動)車は「ホンダ・ビート」「スバル・サンバー」など。
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