メルセデス・ベンツ C230アバンギャルド(FR/7AT)【試乗記】
イイ男には…… 2005.09.30 試乗記 メルセデス・ベンツ C230アバンギャルド(FR/7AT) ……563万5350円 「C230」が従来の4気筒+スーパーチャージャーから、V6エンジンを積む豪華版のアバンギャルドに生まれ変わり、グレード体系が大幅に変更された。新型ユニットを積む「C230アバンギャルド」の印象は?2気筒プラス&豪華
たぶん池波正太郎さんの著書だったと思う。美男の悪いヤツを捜索中のご用聞きか密偵が、「イイ男にゃァ、特徴がねぇからなぁ……」とつぶやくシーンがあった。端正な顔立ちをしている人に、コレといった特徴がないという意味である。
べつに悪者じゃないが、メルセデス・ベンツ C230も、そんなクルマだった。つまり、イイ男である。
2005年8月19日、Cクラスに新しいV型6気筒エンジンが搭載され、同時に大幅なグレード変更が行われた。従来、CクラスのV6モデルは「C240」のみだったが、2.5リッターV6を積む「C230アバンギャルド」と3リッターV6モデル「C280アバンギャルド」を新設定。いずれも“アバンギャルド”という、豪華仕様での登場である。かなり平たく表現すると、“Cクラス全体を高級化した”ということだ。これにあわせて、「C240」と、直列4気筒+スーパーチャージャー付きユニットのトップ「C230コンプレッサー」はカタログから落とされた。エントリーグレード「C180コンプレッサー」「C200コンプレッサー」は、これまで通りである。
試乗車は、C230アバンギャルド。最高出力204ps/6100rpm、最大トルク25.5kgm/3500〜4000rpmを発生する、新開発の2.5リッターV6を搭載、トランスミッションはベンツ自慢の7段AT「7G−トロニック」である。価格は、これまでのC230コンプレッサー(499万8000円)より14万7000円高い514万5000円だ。2気筒ぶん+アバンギャルド装備のお値段としては、「お値打ちかな?」と思う。
山道はカッタルイ
……かな? と思って乗ったら、第一印象はそれほどよくなかった。たまたま、試乗車を受け取ったのが山道だったせいもあるだろうけれど、期待したエンジンのトルクが、不足しているように感じたからである。従来はボア×ストローク=82.0×85mmのロングストローク直4、しかもスーパーチャージャーのおかげで、最大トルクは26.5kgm。低回転域からモリモリとトルクがあった。新しいV6は、同88.0×68.4mmとかなりショートストロークだし、ベンツらしくアクセルペダルにおっとり反応する特性も手伝って、上り坂では特に加速がカッタルイ。
まぁ、当初走ったのは急勾配、狭くてタイトコーナーが続く道である。エンジンのことは一度忘れて、もう少しのびのびしたワインディングロードを走ることに専念したら、こちらはよかった。以前乗ったC230コンプレッサーのような突き上げは抑えられ、乗り心地はしなやか。さらに破綻する予感もなく、フツーのセダンとして十分以上によく曲がる。こういう安心感と高級感は、いかにもベンツっぽいといえよう。ただ、試乗車はスポーツパッケージを装着し、タイヤは前が225/45R17、後は245/40R17インチと大きいせいか、低速で段差を乗り越えるときなど、突き上げが気になった。
知らずにハイペース
編集部への帰路、C230はどんなクルマか考えながら、また山道を走る。とくに飛ばす気もなく、右へ左へ曲がりくねる道を、考え事をしながら。「普通に走ると、なんの文句もないなぁ」
と、助手席に座るMカメラマン「オーサワくん、実は結構なペースで走ってるじゃない(笑)」
え? そうですか……と速度計を見ると、一般的な速度域はたしかに上回っている。どうりで、先行するクルマに追いついてしまうワケだ。太いトルクや過給器のモリモリしたトルクはないが、2.5リッターV6、静かにスルスルと速い。
こういうトコロが、メルセデス・ベンツっぽいということなのだろう。クルマがドライバーに主張することなく、高速はもちろん、ワインディングもソツなくこなす。その気で走れば、危なげない範囲で応えてくれる。
なんて考えていたら、「イイ男にゃァ、特徴がねぇからなぁ……」というセリフを思い出した次第。パっと見、短時間の試乗ではなく、長くおつきあいすれば、“イイ男”のよさを実感できるのではないか、と思った。
(文=webCGオオサワ/写真=河野敦樹/2005年9月)

大澤 俊博
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