第232回:「レクサスGS」京都&長野インプレッション トヨタの呪縛から解き放たれている!?
2005.09.30 小沢コージの勢いまかせ!第232回:「レクサスGS」京都&長野インプレッション トヨタの呪縛から解き放たれている!?
■いったいどこが“高級”?
さて、発売から1ケ月、ついにレクサスGSのインプレッションをば。京都での試乗会はレクサス発表直後に開催されたので、「もっと早く書けよ〜」という意見もあったとは思いますが、実は書けなかったんですね。自信なくて。
ところがその後、長野まで往復600キロのドライビングをする機会があり、やっとこさ経験を深め、いざ初インプレ!
というのもね。よくわかんなかったのよ“高級感”。GSの“高級感"が。
受注は好調で、目標の月販1100台はラクに突破してるみたいだし、評判もよろしい。ところが俺の場合、最初に京都でGS430&350に乗ったとき、率直に「どこがいいんだこりゃ?」と思っちゃったのだ。
インテリアの作りは緻密だし、走りも悪くない。特に引っかかったのはインテリアの“質”だ。
具体的にはインパネの黒い樹脂。俺のなかには、長年漠然と培われた“高級車イメージ”ってのがあって、一番重要なのがここ。今まではビーエム、ベンツにしろ、ロールスロイスにしろ、インパネ素材がわかりやすく高級で、本革張りもあったし、カーボンやアルミなど、新素材が鋭い感性で使われているのもあった。
ところがGSの場合、「なにコレ?」って感じ。いや、たしかに質は高い、ワリといいシボ付きの樹脂を使ってる。でもねぇ。これが520万円からのクルマと聞くと……?
それ以外の要素、ハンドリングや乗り心地にしてもそうそうわかりやすく、「これはとびきりグー!」ってものもない。いったいどこがどういいの? 確信をもって言える部分がなかったのよ。でも600キロ乗ってちょっとわかりましたね。GSのよさが。
■さりげなくイイ感じ
それはまず「疲れない」こと。乗り心地もそうだし、インテリアもそう。いわゆるこれ見よがしで疲れる部分がない。乗り心地は特に顕著で、最初に乗ったとき、トヨタとしては、意外にゴツゴツ硬めだなぁと思ってたんだけど、長く乗るとそれが疲れないものだとわかってくる。
ハンドリングも悪くない。もちろん、ベンツ、BMWほどの鋭さはないけど、普通に無意識的に楽しい。ブレーキングも「スゲェ剛性感!」とか「超シャープ!」ってほどじゃないにしろ、しっかり十分効く。
だからね。乗ってて漠然と感じたのは、「素材は“今までのトヨタ”だが、考え方は“今までのトヨタじゃない”」ってこと。
おそらく残念ながら、エンジンやインパネ材、ボディなんかは今までのトヨタ車の域をそれほど出ていないと思われる。それは今後出るLS(セルシオ)ぐらいから差をつけ始めるんでしょう。
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■同じ材料で違うモノを
でもね。クルマの作り方、コンセプトは今までのトヨタじゃないと思った。なんつーか、今まではブタ肉とジャガイモとニンジンで“肉じゃが”を作ってたのが、今度は同じ素材で“カレー”を作ってしまったという、そんなような違い。
要するに、従来のトヨタ車が持っていた“呪縛”から解き放たれているのよ。だからインテリアにしても意外なほどアッサリ味だったんではあるまいか。カン違いかもしれないけど。
今後、理想的には素材にもっとレクサス独自のものを得て、今までの高級車とは違う、ベンツやBMW、はてまたロールスロイスとも違う世界観を作り上げてほしいもんだけど、そこまで辿り着けるかはさあお立会い!
それから最後に感心したのはデザインの“時間差攻撃”だよね。正直、特別インパクトもエレガントさも感じなかったスタイリングだけど、夕方になって見て驚いた。今まで見えなかったラインが斜光になって浮かび上がってくる。特にリアから見たカタチは、なかなかエッジが効いててカッコいい。今までにない“あぶり出し”演出かも?
あとエンジンはセルシオ譲りの4.3リッターV8より、新作の3.5リッターV6の方が圧倒的にマッチングがイイ。ストレスなくてパワフルでした。
ってなわけでレクサス。期待してますよ。いろんな意味でね。
(文と写真=小沢コージ/2005年10月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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