トヨタ イスト 1.5A-S(FF/4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ イスト 1.5A-S(FF/4AT) 2005.07.29 試乗記 ……204万6450円 総合評価……★★★ マイナーチェンジでリフレッシュされた、トヨタのコンパクトハッチ「イスト」。専用チューンのサスペンションを奢ったスポーティグレードの「A-S」に試乗した。スポーティな若者クルマ
そつなくまとめられたコンパクトカーである。全長4メートルに満たないボディならではの取り回しのよさはシティラナバウトとして街中をスイスイ移動するのに最適なばかりか、パッケージングにも優れているので、大人4人が一緒に遠出するような状況でもまあ不足はない。
試乗したのはサスペンションをやや固めたモデルだが、乗り心地が悪化していないのもよい。ただし、クルマのスタイリングや室内の雰囲気、そして走りっぷりからみて、家族用というよりはスポーティな雰囲気を味わいたい若者向けのクルマだ。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
“……する人”を表わす「ist」を車名にしたイストは、2002年5月8日に発表された。「若者のモビリティライフに応える最上のコンパクト車」をコンセプトに開発された5ドアハッチ。「for your 1st」がキャッチコピー。1stとistを視覚的にかけたのがオシャレだ(そうだ)。ヴィッツのプラットフォームに、「スタイリッシュな新感覚エクステリア」(プレスリリース)を載せた。1.3、1.5リッター直4に、いずれも4段ATを組み合わせる。FF(前輪駆動)を基本に、1.5リッターには 4WDも用意される。
2005年5月30日にマイナーチェンジを受け、内外装・装備をリフレッシュ。スポーティな新グレード「1.3A」「1.5A-S」を追加。「F」「S」グレードでは、前後バンパー、サイドマッドガードをボディ同色とし、フロントグリル、ヘッドランプ、リアコンビネーションランプのデザインを変更するなどした。
(グレード概要)
「イスト1.5A-S」は、シリーズのトップグレード。エクステリアは、専用のフロントグリルやバンパーでお化粧、15インチのスーパークロムメタリック塗装アルミホイールを装着する。足まわりには、専用スポーツチューニングサスペンションが奢られる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
インストゥルメントパネルの意匠は、すっきりとしていて好感がもてる。表皮のシボの入れ方にしても無機質で、革を連想させる妙なシワ模様じゃないのがいい。高級感はないものの、背伸びしていない割り切りのよさがが嬉しくなる。
エアバッグ、オートエアコン、電動格納式ドアミラー、ワンタッチ開閉式パワーウィンドゥ等々の安全・快適装備は充分以上に揃っている。テスト車はオプションながらさらにサイドアエバッグ、多機能カーナビを備え、これ以上望むものはないほどである。
(前席)……★★
サポートのよさそうなシートは実際には期待はずれ。見た目とは違いどうもしっくりしない座り心地だ。加えて好ましくないのは座面が高すぎることで、適正なドライビングポジションをみつけにくい。ハイトアジャスターでクッションを最下位にし、ステアリングホイールをチルトさせ一番高い位置にしても、まだステアリングホイールは相対的に低めである。しばらく走れば、だんだんと身体に馴染んでくる気はするが、さまざまな体型のドライバーの乗る実用的なクルマであることを考えると親切さに欠けるようだ。それとも、足の長い若者なら何も問題ないということだろうか。
ヘッドクリアランスはたっぷりしていて窮屈な感覚とは無縁である。小物入れも不自由しないだけの数はあるものの、センターコンソール中央下端のトレイなど腕を伸ばしても遠い位置にあるものもあり、見直してほしいところもなくはない。
(後席)……★★★
ボディの大きさから予想するより足元は広い。乗員の頭と天井の隙間は横にしたコブシ2個分あるので、狭い場所に押し込められた気分にはならない。シートのクッションは硬すぎず、またシートバックも寝すぎていないので疲れにくい。
(荷室)……★★★
可もなく不可もない容量が確保されている。リアシートの背もたれを倒せば、さらに空間を拡大できるのは言うまでもないところ。リアシートを畳んで生まれるフラットな荷室の床は高いが、そのぶん床下収納に工夫が凝らされており、ハッチバックであることも手伝って使い勝手はよい。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
1030kgの車重に対して1.5リッターエンジンは充分な力を発揮する。街中での動きから高速クルーズにおける追い越し加速にいたるまで、ほとんどの場面で痛痒を感じないですむばかりか、上り坂の続く山道でも活発な走りっぷりをみせる。少々うるさくなるのを覚悟して4000〜5000回転を保ってやれば、けっこう速いペースで飛ばせる。これはエンジンそのものの出来だけでなく、4ATの適切なギアレシオとスムーズな動きが功を奏しているはずだ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
硬めのセッティングが施されたサスペンションであるにも拘わらず、乗り心地に悪影響はでていない。低速域ではなるほど硬いが硬すぎることはなく、「締まった」印象が強い。首都高速の目地段差のような突起を乗り越える際の突き上げはうまく処理されていて、コンパクトカーとしては合格点を与えられる。
ハンドリングは一言でいって素直だ。ステアリングはシャープとはいえないが、だからといってダルでもなく、狙ったラインを正確にトレースしてくれる安心感がある。ロール量も抑えられているので、コーナリングの安定感はなかなかのものだ。ボーイズレーサーを思い描くと肩透かしを食らうだろうが、ちょっとスポーティな小型実用車と捉えれば不満はない。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:二玄社自動車部門編集局長 阪和明
テスト日:2005年7月9日から10日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年型
テスト車の走行距離:1752km
タイヤ:(前)185/65R15 88S(後)同じ
オプション装備:VSC+TRC+盗難防止システム(7万8750円)/前席カーテンシールドエアバッグ(6万3000円)/G-BOOK対応カードボイスナビゲーション付きワイドマルチAVステーションII(28万7700円)
形態:ロードインプレッション
走行形態:市街地(2):高速道路(4):山岳路(4)
テスト距離:266.4km
使用燃料:22リッター
参考燃費:12km/リッター

阪 和明
-
BYDシールAWD(4WD)【試乗記】 2026.1.17 BYDのBEVサルーン「シール」の機能アップデートモデルが登場。強化のポイント自体はそれほど多くないが、4WDモデルの「シールAWD」は新たに電子制御式の可変ダンパーを装備したというから見逃せない。さまざまなシーンでの乗り心地をチェックした。
-
マツダCX-60 XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ(4WD/8AT)【試乗記】 2026.1.14 「マツダCX-60」に新グレードの「XDドライブエディション ナッパレザーパッケージ」が登場。スポーティーさと力強さ、上質さを追求したというその中身を精査するとともに、国内デビューから3年を経た“ラージ商品群第1弾”の成熟度をチェックした。
-
カワサキKLX230シェルパS(6MT)【レビュー】 2026.1.13 その出来には“セロー乗り”も太鼓判!? カワサキのトレイルバイク「KLX230シェルパ」に、ローダウン仕様の「シェルパS」が登場。安心の足つき性で間口を広げた一台だが、実際に走らせてみると、ストリートでも楽しめるオールラウンダーに仕上がっていた。
-
メルセデス・ベンツC220dラグジュアリー(FR/9AT)【試乗記】 2026.1.12 輸入車における定番の人気モデル「メルセデス・ベンツCクラス」。モデルライフ中にも年次改良で進化し続けるこのクルマの、現在の実力はいかほどか? ディーゼルエンジンと充実装備が魅力のグレード「C220dラグジュアリー」で確かめた。
-
日産ルークス ハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション(FF/CVT)【試乗記】 2026.1.10 日産の軽スーパーハイトワゴン「ルークス」がフルモデルチェンジ。「見えない危険が……」のテレビCMでお茶の間をにぎわせているが、走る、曲がる、止まるをはじめとしたクルマ全体としての仕上がりはどうか。最上級グレードをテストした。
-
NEW
クルマの乗り味の“味”って何だ?
2026.1.20あの多田哲哉のクルマQ&A「乗り味」という言葉があるように、クルマの運転感覚は“味”で表現されることがある。では、車両開発者はその味をどう解釈して、どんなプロセスで理想を実現しているのか? 元トヨタのエンジニア、多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
プジョー208 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】
2026.1.20試乗記「プジョー208」にマイルドハイブリッド車の「GTハイブリッド」が登場。仕組みとしては先に上陸を果たしたステランティス グループの各車と同じだが、小さなボディーに合わせてパワーが絞られているのが興味深いところだ。果たしてその乗り味は? -
ベントレー・コンチネンタルGTアズール(4WD/8AT)【試乗記】
2026.1.19試乗記ベントレーのラグジュアリークーペ「コンチネンタルGT」のなかでも、ウェルビーイングにこだわったという「アズール」に試乗。控えめ(?)な680PSのハイブリッドがかなえる走りは、快適で満ち足りていて、ラグジュアリーカーの本分を感じさせるものだった。 -
第327回:髪もクルマもナイスファイト!
2026.1.19カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。日産の新型「ルークス」で夜の首都高に出撃した。しっかりしたシャシーとターボエンジンのパワフルな走りに感心していると、前方にスーパーカーの姿を発見。今夜の獲物は「フェラーリ・ローマ」だ! -
日本で売れるクルマはあるのか!? 最新の“アメリカ産ニホンシャ”を清水草一が検証する!
2026.1.19デイリーコラムアメリカからの外圧による制度変更で、北米生産モデルの国内導入を決めたトヨタ。同様に、今後日本での販売が期待できる「海外生産の日本車」には、どんなものがあるだろうか? 清水草一が検証してみた。 -
フェラーリ12チリンドリ(後編)
2026.1.18思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「フェラーリ12チリンドリ」に試乗。前編では伝家の宝刀であるV12エンジンを絶賛した山野。後編ではコンビを組むシャシーの印象を余すところなく聞いてみた。






