スバル・インプレッサWRX STI spec.C(6MT)/インプレッサWRX STI(6MT)【試乗記】
違う意味で欲が出る 2005.07.02 試乗記 スバル・インプレッサWRX STI spec.C(6MT)/インプレッサWRX STI(6MT) 現行インプレッサが外観を大きく変えるビッグマイナーチェンジを受け“最終型”に生まれ変わった。ニューフェイスの新型に、『webCG』記者がサーキット&公道で乗った。
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外も中身も真面目です
メカもスピリットも汗くさ……もとい、真面目なスバルの、もっとも体育会系なクルマ「インプレッサ」が、現行モデルの最後になるであろうビッグマイナーチェンジを受けた。インプレッサの大きな改良は2002年に次ぐ2度目。特にスバル体育会系の親玉、ラリーマシンのベース車たる「WRX STI spec.C」は改造範囲の狭い「PCWRC」(プロダクションカー世界ラリー選手権)での戦闘力を高めるべく、そのたびに中身を鍛え上げており、今回もその例に漏れない。
誰が見ても明らかなのは、全グレードのフロントマスクにスバルのデザインアイコン、航空機の翼をモチーフにした「スプレッドウインググリル」を採用。WRXやSTIはラリーマシンをイメージさせるフロントバンパーを装着して、力強さを表現したという。試乗会場で実物を拝見したときは「写真よりフロントマスクがかっこイイ!」と感心したが、撮影のとき遠くからクルマを眺めると……うーん、Aピラーより前と全体のフォルムが、ちとアンバランス。「後付けデザインは難しいんだろう」と思った。
といってもそこはスバル。鼻先に空気の取り入れ口ができたことで、ターボモデルのボンネットにそびえるエアインテークが19mm低められ、外観だけでなく視界もよくなった。spec.Cは大型リアスポイラーやリアアンダーディフューザーを備え、エアロダイナミクスを改善したという。
ズルっとさせるのがムズカシイ
エクステリアで“コレ”だから、当然、メカにも手が入れられた。02年のビッグマイナーで前後輪にトルクを配分するセンターデフ「DCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)」にヨーレイトセンサー、つまりクルマの曲がり具合を判断する機能が加えられたが、今度はSTIモデルにステアリングの切れ角を計るセンサーと、トルク感応式の機械式LSDを付与。走行状況に合わせて最適な前後トルク配分が素早く行われることに加え、前後へのトルク配分幅も拡大された。トランスミッションは、4〜6速のシンクロナイザーをカーボン製とし、シフトフィールを向上させている。
ターボ過給圧を若干高め、最大トルクが1kgmアップの43kgmとなったこともポイント……なんてことを考えつつ、コースへ出ると、あいかわらず猛烈に速い。といっても、元々のトルクが極太。1%弱のトルクアップを体感するのは、グラム5000円とグラム6000円の牛肉を「噛みわける」くらいムズカシイ。
一方、乗った感触はロースとヒレほどではないが、かなり違った。新型はフロントサスペンション&ボディまわりを強化して、特に低ミュー路で安定したハンドリング&コーナリング性能を得たというとおり、前後左右に突撃するような動きが薄められ、ステアリングホイールを切っただけ「ヒタっ」と曲がる。ドライ路面ではスピンの気配すらなく、リポーターは“ドアンダーステア”を出して、いや、おハズカシイ。逆にリアをズルっとさせるのが困難なほど安定したクルマである。機械式LSDを入れたDCCDの効果も大。コーナー立ち上がりはもちろん、砂利をひいた駐車場でクルマを動かした際、リアへあっという間にトルクが配分される早さは、先代の比ではなかった。
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先代に乗る身の“遠吠え”
クルマというより“マシン”、インプレッサならではの“ありがたみ”が詰まっているのは、もちろんspec.C。競技車両ベースではない17インチ仕様に、エアコンがついたことも、ユーザーに歓迎されそうである。
とはいえ、軽量化のためボディ&ガラスは薄く、夏は暑くて冬は寒いし、走れば大声で会話するハメになるほどうるさい。デートに行けばフラれ、家族がいれば非難囂々になる可能性は、ある。
それに較べれば、普通(?)の「WRX STI」はかなり文化的だ。重量が80kgほど重いことも手伝って、比較論ですけど乗り心地もしっとりしているし静か。もちろん、絶対的にはめっぽう速い。コースを走ったとき、リポーターはspec.Cと同じブレーキングポイントまで突っ込み「停まらないー!!」とアセったが、これは特殊なケースといえるでしょう。ブレーキシステムは同じだから、耐久性も効きも素晴らしいことには変わりなく、ドライバーの安心感を高めてくれる。
“ラリーで勝つ”お題目を達成するため、性能のインフレがどんどん進むインプレッサ。しかし、その先鋒であるspec.Cも含め、“凶暴化”するのではなく、乗りやすく上質になっていた。先代の“荒さ”を技術で潰して性能を高める、いかにもスバルらしい進化である。
実は現在、自宅のクルマが先代「spec.C」のリポーターは、新型と同様スタビリティは高く、若干の荒さに“マシンに乗ってる感”が濃い「但馬牛がイイなぁ」とも思う。まぁクルマ開発の王道からはそれているし、悔し紛れの遠吠えなんだろうけど、性能を突き詰めるだけでなく、“ドラマティックチューン”的な演出が欲しい。
なーんて、欲をかきすぎでしょうか。
(文=webCGオオサワ/写真=峰昌宏/2005年7月)

大澤 俊博
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