トヨタ・ソアラvsジャガーXKRコンバーチブル/BMW Z8 【ライバル車はコレ】
トヨタ・ソアラの「ライバル車はコレ」 2001.06.28 試乗記 豊富な内容を誇るwebCG新車データベースのなかの人気企画「ライバル車はコレ」。自動車ジャーナリスト、河村康彦が、トヨタ・ソアラのライバルをピックアップした。トヨタ・ソアラ (600.0万円)
“ハイソカー(死語)の王者”から一転。2001年4月3日に4代目へと進化した「ソアラ」は、日本車きっての贅沢なオープンカーへ華麗なる変身を遂げた。8割以上をアメリカで販売しようという、対米戦略車としての再出発である。
カタチばかりのリアシートを備えるものの、事実上は2人乗りオープン。すなわち、当初から「セカンドカー」としての使われ方が強く意識される。となると、もはやそれだけで、日本ではマーケットが限定される。主戦場はあくまで北米というわけだ。
今回は、1000万円を軽く超える2台の高級オープンカーをライバルとしてあげてみた。新型ソアラは、今までの国産車にはなかった、高級オープン市場向けのモデルなのである。
【ライバル車 その1】ジャガーXKRコンバーチブル (1310.0万円)
■“仮想敵”
600万円もするソアラの、さらに倍以上のプライスタグをつける、飛び切りゴージャスでエレガントなオープンカーが「XKRコンバーチブル」だ。トヨタはソアラの開発にあたって、この高級オープンモデルを“仮想敵”にしたという。そういえば、インテリアの雰囲気などに、両車一脈通じるものが感じられなくもない。しかし、“英国家具”のようなダッシュボードまわりの木目の使い方などは、本家ジャガーの方が一枚うわて。
日本では高級サルーンメーカーとして受け取られがちなジャガーには、一面スポーツカーメーカーとしての顔がある。スーパーチャージャーのサポートを受けた強力なエンジンや、50:50の前後重量配分にこだわったシャシーが生み出す走りは、ソアラのそれより遥かにスポーティな印象を与えてくれる。
【ライバル車 その2】BMW Z8 (1650.0万円)
■ドリームカー
アメリカ市場を念頭に置いた高級オープンモデルという点で、BMW「Z8」もソアラの対抗馬の1台。もっとも、何はおいても“走りの個性”を強く主張するBMW車らしく、Z8も見た目の雰囲気だけが売り物というクルマではない。
ソアラ同様のV型8気筒エンジンは、あのスーパーサルーン「M5」から移植されたユニット。スムーズさでは肩を並べるソアラでも、加速の強力さでは太刀打ちできない。何しろZ8の心臓は、5リッターの排気量から400psを発生するというモンスターユニットなのだから。
ボディも、こだわりにこだわり抜いたオールアルミ製。補修性などに課題を残すものの、ソアラより150kgも軽い重量はさすがだ。まさに“ドリームカー”である。
(文=河村康彦/2001年6月)

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。