ルノー・メガーヌRS(6MT)【試乗記】
走りにこだわる人すべてに 2005.05.20 試乗記 ルノー・メガーヌRS(6MT) ……378.0万円 日本ではスポーティイメージに乏しいが、F1での好調ぶりからも想像されるとおり、モータースポーツと縁が深いルノー。そのレース部門たる「ルノースポール(RENAULT SPORT)」のスペシャルモデルに乗り、自動車ジャーナリストの島下泰久がリニューアルした富士スピードウェイを走った! 拡大 |
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レース部門のスペシャルモデル
ここ数年、順調に台数を伸ばしているルノーが2005年に投入した「メガーヌ RS」。これまでの3ドア左ハンドル仕様に加えて、いよいよ登場した5ドア右ハンドル仕様。そのお披露目も兼ねて、新装なった富士スピードウェイ本コースをメガーヌRSで走るというプレス向けイベントが行なわれた。
ここにきて、いわゆるCセグメントカーには「アウディA3スポーツバック2.0TFSI」「オペル・アストラターボ2.0 Sport」「フォルクスワーゲン・ゴルフGTI」と、ターボエンジンを搭載したモデルが多数投入されている。しかしメガーヌRSがそれらと決定的に異なるのは、それが単にターボエンジンを積んだラインナップのひとつではなく、現在絶好調のF1をも手がけるレース部門「ルノースポール」によって開発、生産されたスペシャルモデルだということだ。よってサーキットは、そのポテンシャルを知るにはまさにうってつけの舞台なのである。
姿勢づくりは自由自在
まず足慣らしを兼ねて、先にオープンしていたショートコースを走らせた。タイトでアップダウンが激しく、難度の高いコーナーが連続するこのコースで印象的だったのは、一般道で感じたステアリングフィールの若干の違和感やバネ下の重さといったネガが、まったく気にならないことだ。それどころか攻めるほどにクルマとの一体感が強まるかのよう。つまりルノースポールの手練たちは、こうしたフィールドにこそ狙いを定めて、ぴたりとハマるチューニングを施しているわけである。これは嬉しい驚きだった。
単にフィーリングが良いというだけでなく、走りっぷりも素晴らしかった。速いのはもちろん速いが、それ以上にコントロール性の高さが際立っている。ノーズは操作に対して実にリニアにインを向くし、仮に速度が高過ぎた時は、アクセルをちょっと戻してやればスッとノーズが引き戻され、さらに戻せば欲しいぶんだけリアが出るなど、とにかく姿勢作りは自由自在で、とても懐が深いのである。
ロール感はそれなりにあるが、ロールスピードはよく制御されており、また内輪がすっと伸びて接地感を失わないため、まったく怖くない。オフにしても50km/h以上で強制的に復帰するESPにしても、ブレーキペダルから足を離しても制動力が残ってしまうのが気になるとはいえ、それとて乗り手の意思を邪魔するほどのものではなく、逆に安全にポテンシャルを引き出す一助となってくれる。タイヤもブレーキもノーマルなのに、何周走ってもへこたれる気配はないし、本当に余計なことを考えず、走ることに没頭できるのだ。
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攻め甲斐のある新富士
こうしてメガーヌRSの真の実力を垣間見たところで、いよいよ本コースへ。こちらは先導車付きではあったのだが、それでもさらに、その美点を見つけることができた。
個人的には、以前レースに参戦していた時には何度も走った富士。レイアウトを見る限り「ずいぶん変わってしまったな」と思っていたが、実際にコースを走ってみると、以前の面影は想像以上に残っている。加えてチャレンジングな要素も増えていて、結構気に入ってしまった。奥へ行くほど曲り込んだ難所の中速コーナー「100R」、ココは従来“怖い”コーナーでもあったが、新コースでは見るからに安全性を増しつつ“攻め甲斐”を失っていなかった。コース図では退屈そうに見えた、急な上り勾配となる最終セクションも、実際はとてもテクニカルで頭を使う。
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水を得た魚
乗り手の本気に応えてくれる絶品の走りっぷりを、洒落っ気抜群のエクステリアで包んだメガーヌRS。その真の実力を推し測れるサーキットでの試乗を経て、ますます感心してしまった。思ったのは、旧型「ホンダ・インテグラ タイプR」、それも4ドアに乗っていて、「次に買い替えるべきクルマがない……」と嘆いている人には、最高にオススメなんじゃないかということ。方向性こそ違えど走りの醍醐味は同様に高いし、なによりオトナが胸を張って乗ることができる姿カタチであるのは大きい。もちろん走りにこだわる人すべてに、このメガーヌRS、是非一度試してみてほしい1台である。
(文=島下泰久/写真=峰昌宏/2005年5月)

島下 泰久
モータージャーナリスト。乗って、書いて、最近ではしゃべる機会も激増中。『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)、『クルマの未来で日本はどう戦うのか?』(星海社)など著書多数。YouTubeチャンネル『RIDE NOW』主宰。所有(する不動)車は「ホンダ・ビート」「スバル・サンバー」など。
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