BMW Z4 2.5i(5AT)【ブリーフテスト】
BMW Z4 2.5i(5AT) 2003.07.17 試乗記 ……504.9万円 総合評価……★★★★ 2座オープン「Z3」での成功を受け、BMWが新たに送り出したロードスター「Z4」。新鮮なスタイリングもさることながら、ニューモデルの“走り”も気になるところ。2.5リッターモデルに、自動車ジャーナリストの笹目二朗が乗った。
|
“アメリカン”なロードスター
BMW「Z4」はアメリカ市場を強く意識したクルマだ。後にも先にも、この点において高得点を稼ぎだしている。「Z3」の丸みあるスタイリングも捨て難かったが、ややスクエアな印象を強め、凹面処理や線描きのグラフィクスは、アメリカ人の好きそうなモダンアート、新鮮味もあるし、BMWらしさもうまく表現されている。
スペックの数字から予測される以上にサイズ感はたっぷりしていて、一言でいえば大きく見せることに成功した。エンジンを前に追いやったことにより、右ハンドルでも足元の余裕はたっぷりある。長いエンジンフードと相まって、スポーツカーらしいプロポーションをつくりだした。ランフラットタイヤの貢献で、ショートデッキのトランクながら、この手のスポーツカーとしては大きめのラゲッジスペースも確保される。ウィンドスクリーンは幅があり、やや乗用車的ではあるが、前方視界はよく室内幅にも余裕がある。つまりスポーツカーといえばタイトな室内と相場が決まっていて、それがスポーツカーらしさでもあるとされてきたが、昨今は平均的な体格もサイズアップしている。余裕ある室内は、アメリカ市場で要求される条件でもあるのだろう。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
BMW「Z4」は、2002年9月のパリサロンでお披露目された2座のオープンスポーツ。日本での販売は1月から、デリバリーは6月下旬から開始された。1995年にデビューした「Z3ロードスター」の後継たる存在だが、ボディサイズや価格などはZ3の上に位置づけられた。ベースとなるのは、E46型「3シリーズ」で、全長×全幅×全高=4100×1780×1285mm、ホイールベースは2495mm。Z3と較べて、それぞれ50mm×40mm×5mm大きく、ホイールベースは50mm長い。
エンジンは直列6気筒DOHCで、2.5リッター(192ps)と3リッター(231ps)の2種類を設定。いずれにも、ステップトロニック付きの5段ATが組み合わされるが、3リッターは、6段シーケンシャルトランスミッション「SMG」仕様も選択できる。海外にはMTもあるが、残念ながら日本には導入されない。新機軸として、エンジンやEPS、シフトプログラムなどのマッピングをよりスポーティに変更する、「DDC」(ドライビング・ダイナミック・コントロール)が搭載された。ほかに、DSCなどの安全デバイスが、標準で備わる。
(グレード概要)
「2.5i」は、Z4のベーシックグレード。ソフトトップが手動式で、フルオートの電動格納式トップは13.0万円のオプション設定となる。ほかに、駐車時に障害物の有無を音で知らせる「パークディスタンスコントロール」やシートヒーターなども、オプション扱いとなる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
どちらかといえば、スッキリ&サッパリ系で機能的。計器類も見やすくスイッチ類の操作もしやすい。必要なものは揃っているし、予備知識なしでも予測して操作できる。これが単なる実用車やスポーツサルーンなら★4つであるが、2シータースポーツとしてはやや寂しい。金属パネルは無機質でビジネスライクな印象があり、ドライビングに専念するにはいいが、さらに運転を楽しむ雰囲気的な盛り上げも欲しい。
(前席)……★★★★
Aピラー間の幅が広く前方視界はいいが、やや乗用車感覚。電動シートは調整代も大きく微調整も効く。シートそのものはサイズ形状ともによろしく、運転に集中できる。難点はヘッドレストが遠いこと。エンジンフードの長さは見た目にもカッコよく、エンジンを前に押し出したことにより、右ハンドルでも足元の余裕がたっぷり採られている。
(荷室)……★★★
ランフラットタイヤの採用で、スペアタイヤがないためスペース効率は高く、ショートデッキのわりには有効な空間を稼ぎ出す。幌の収納がスッキリ低く隠されている分、内容量は限定されてしまうが、幌を上げた時には収納壁を折り畳めば、容量20リッターが追加される。絶対値260リッターは、小旅行に必要な身のまわり品程度のバッグなどの収納には十分だ。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
2.5リッターは、3リッターより軽快にまわる。ショートストロークでコンロッドが長いため、高回転域のスムーズさは上々。左ハンドルでもよいから、MTを用意すべきだ。数が売れないから入れないのではなく、売る努力もして欲しい。スポーツドライビングの神髄を体験できるBMWとして、Z4は最適の1台。ATでは魅力が半減する。とはいえ、“お手軽派”にとってはこれでも十分速いし、初期の目的は達成されるのだが。
(乗心地+ハンドリング)……★★★★
EPS(電動パワステ)は、アシストのレスポンスを上げるためか、直進状態でも絶えず電圧を加えている。そのせいか、ハンドル舵角では目視できない微小量ながら、左右への反復力を手のひらに感じる。ゆえに、路面のミューが変化した程度でもアシストしてしまう。結果として直進性が悪く、量的には少ないがチョロチョロした感触を抑えて走るため、長距離ドライブでは手首が疲れる。1〜2時間の短時間試乗ならばあまり気にならないが、長距離旅行などは遠慮したい。16インチタイヤは踏面の当たりもソフトで、フラットな乗り心地。全体でみても、オプションの18インチより好感度は高い。ちなみに、別の機会で乗った18インチ装着車はキックバックも大きいため、よりチョロチョロする傾向が見られた。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2003年6月20日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:4244km
タイヤ:(前)225/50R16 92V(後)同じ(いずれもブリヂストン ポテンザ RE050A RFT)
オプション装備:アラームシステム(6.0万円)/16インチアロイ・ホイール(エリプソイド・スポーク・スタイルNo.107)(1.5万円)/電動フル・オトマティック・ソフトトップ(13.0万円)/レイン・センサー(1.4万円)/CD6連奏チェンジャー(5.0万円)/レザー内装+インテリア・トリムブラッシュド・アルミニウム+シート・ヒーティング(21.0万円)/メタリックペイント(7.0万円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速(4):山岳路(3)
テスト距離:291.8km
使用燃料:33.0リッター
参考燃費:8.8km/リッター

笹目 二朗
-
スバル・トレイルシーカーET-HS プロトタイプ(4WD)【試乗記】 2026.3.5 スバルから本格的な電気自動車の第2弾となる「トレイルシーカー」が登場。前後のモーターから繰り出すシステム最高出力はドーンと380PS。ただし、それをひけらかすような設定にはしていないのがスバルらしいところだ。スノードライブの印象をお届けする。
-
メルセデス・マイバッハSL680モノグラムシリーズ(4WD/9AT)【試乗記】 2026.3.4 メルセデス・マイバッハから「SL680モノグラムシリーズ」が登場。ただでさえ目立つワイド&ローなボディーに、マイバッハならではのあしらいをたっぷりと加えたオープントップモデルだ。身も心もとろける「マイバッハ」モードの乗り味をリポートする。
-
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】 2026.3.3 「GRヤリス」の新仕様として設定された「エアロパフォーマンスパッケージ」装着車に試乗。レースフィールドでの知見を交え開発したというエアロパーツの空力・冷却性能は、リアルワールドでも体感可能なのか。高速道路を経由し、郊外のワインディングロードを目指した。
-
ドゥカティ・モンスター(6MT)【海外試乗記】 2026.3.2 ドゥカティのネイキッドスポーツ「モンスター」が5代目にモデルチェンジ。無駄をそぎ、必要なものを突き詰めてきた歴代モデルの哲学は、この新型にも受け継がれているのか? 「パニガーレV2」ゆずりのエンジンで175kgの車体を走らせる、ピュアな一台の魅力に触れた。
-
フォルクスワーゲンID.4プロ(RWD)【試乗記】 2026.2.28 フォルクスワーゲンのミッドサイズ電気自動車(BEV)「ID.4」の一部仕様変更モデルが上陸。初期導入モデルのオーナーでもあるリポーターは、その改良メニューをマイナーチェンジに匹敵するほどの内容と評価する。果たしてアップデートされた走りやいかに。
-
NEW
その魅力はパリサロンを超えた? 大矢アキオの「レトロモビル2026」
2026.3.7画像・写真フランスで催されるヒストリックカーの祭典「レトロモビル」を大矢アキオが写真でリポート! 欧州の自動車史を飾る歴代の名車や、めったに見られない往年のコンセプトモデル、併催されたスーパーカーショーのきらびやかなラグジュアリーカーを一挙紹介する。 -
NEW
ホンダCB1000F SE(6MT)【レビュー】
2026.3.7試乗記ホンダから満を持して登場した、リッタークラスの4気筒マシン「CB1000F」。往年のCBをほうふつさせるスタイルと、モダンなパフォーマンスを併せ持つネイキッドスポーツは、先行するライバルを追い落とすことができるのか? ホンダ渾身(こんしん)の一台の実力に触れた。 -
NEW
実力検証! SUV向けプレミアムタイヤ「ブリヂストンALENZA LX200」を試す
2026.3.62026 Spring webCGタイヤセレクション<AD>目指したのは、人気車種となっているSUVとのベストマッチ。ブリヂストンが開発した新プレミアムタイヤ「ALENZA(アレンザ)LX200」は、どんな乗り味をもたらすのか? モータージャーナリスト石井昌道が試乗を通して確かめた。 -
BYDシーライオン6(FF)
2026.3.6JAIA輸入車試乗会2026“中国の新興ブランド”BYDにあこがれは抱かずとも、高コスパの評判が気になる人は多いだろう。では、日本に初導入されたプラグインハイブリッド車のデキは? 初めて触れたwebCGスタッフがリポートする。 -
実に3年半ぶりのカムバック 「ホンダCR-V」はなぜ日本で復活を果たしたのか?
2026.3.6デイリーコラム5代目の販売終了から3年半のブランクを経て、日本での販売が開始された6代目「ホンダCR-V」。世界的なホンダの基幹車種は、なぜこのタイミングで日本復活を果たしたのか? CR-Vを再販に至らしめたユーザーの声と、複雑なメーカーの事情をリポートする。 -
「ジープ・アベンジャー4xeハイブリッド」発表会の会場から
2026.3.5画像・写真ジープブランドのコンパクトSUV「アベンジャー」に、4WDのハイブリッドバージョン「アベンジャー4xeハイブリッド」が追加された。その発表会(2026年3月5日開催)の場に展示された同モデルの外装・内装を写真で紹介する。





























