ポルシェ・カイエンS(6AT)vs BMW X5 4.6is(6AT)【短評(後編)】
高級SUV対決(後編) 2003.07.21 試乗記 ポルシェ・カイエンS(6AT)vs BMW X5 4.6is(6AT)……955.0/1070.0万円
かたや340psの4.5リッターV8、こなた347psの4.6リッターV8。いずれ劣らぬ強心臓をもつSUV、「ポルシェ・カイエンS」と「BMW X5 4.6is」。両車を比較試乗した、自動車ジャーナリストの笹目二朗が軍配を上げるのは!?
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ロック・トゥ・ロック
「ポルシェ・カイエンS」と「BMW X5 4.6is」。駆動系の剛性感はどちらも良好でガシッとした一体感がある。そこに慣性重量の大きなボディが載り、グリップのいいタイヤを介して走行すると、微小のスロットル・オン/オフでもギアのバックラッシュなどのGが気になってくるものだ。今回の、2台の“高価格で高級な”SUVは、どちらも「遮音」とか「つくりの高精度」をほこるだけに、大きな問題はなさそうに見える。
しかし微細に観察すると、スム−ズさでX5が勝る。この辺は、X5の登場時(1999年のデトロイトショー)から、数をつくるうちに改良された部分だろう。カイエンはまだ生産初期モデルであるから、“十分なつくり込み”という点で、、まだ及ばない部分がある。
ステアリングのロック・トゥ・ロックを見ると、フルロック2回転半のカイエンに対して、X5は3回転プラス。最小回転半径は、前者の6.0mに対し、後者は6.1m。実際に「切れ角」を割ってみないと正確な数字では表せないが、X5の方がスローである。スポーツカーならばクイックな方が喜ばれるが、大型重量級のSUVともなると、ハナシは変わる。
操舵の送り加減と慣性重量の関係で言えば、X5の方がスムーズに回頭していくように感じた。これは慣れの問題もあり、カイエンでもゆっくり操舵すればいいだけのことではあるが、直接乗り比べた直後にはそのように感じられた。
呆れる加速力
カイエンは車検証を見るまでは、その重量を実感できなかった。つまりX5よりもっと軽快な感じがする。前輪荷重はX5より180kgも重いはずであるが、それを感じさせないのは重心高が低いからだろうか。ノーマルボディの車高を較べると、カイエンは1699mm、X5は1740mmと、カイエンの方が4cmほど低い。また、前述のステアリングギア比が奏功して、カイエンは、重いはずのノーズを一気に左右に振り分けてくれるからだろうか。このへんは、短時間の試乗では決着をつけにくいところだ。
本来のもてる性能を発揮させるには、それなりのステ−ジを走ってみなければわからないが、普段のフィールドである箱根の坂道程度でも、能力の一端を覗ける。カイエンSは、3リッター程度の実用車など、一気に追い越せる加速力をもつ。それには呆れるほかない。高い重心高をものともしないのは、大径タイヤや、ストロ−クをたっぷりとったサスペンションの高いア−ム取付点の恩恵である。つまり、このクラスともなると余裕あるジオメトリ−が許されるから、ロールセンター高を重心高に近づけられるのだ。めったに大きくはロ−ルしない。
異次元快適空間
カイエン及びX5といった高級SUVに乗っていて、一般的な乗用車に比べて優位性を感じるのは、「高い視点による見晴らしのよさ」「路面から隔離されたように遠い距離によるロ−ドノイズの低さ(大容量のタイヤボリュームによるエンベロ−プ特性は小石の類は簡単に包みこんでしまう)」「バネ上重量の大きさ」「タップリした室内空間」などである。煎じ詰めれば、一種の“異次元快適空間”を提供してもらえることだ。
となると、やはりこの分野では老舗の「レンジローバー」を思い出さないわけにはいかない。現代の技術と情報網をもってすれば、初めてつくっても“そこそこ最先端”に君臨できるとはいうものの、やはり数をつくってきた者の強みは頑としてある。細部の至れり尽くせり感はともかく、ポルシェとBMWという他の分野では高名なメ−カ−であっても、ノウハウに属する部分は適わない。それが端的に感じられるのは、作動のスム−ズさである。やはりレンジロ−バ−の域には両車ともまだ遠い。が、そこはメ−カ−・ブランドの特色もあり、スタイリングの好みなどで、今後、贔屓をつくり出していくのだろう。
現状で比較するならば、上記の理由でX5がややリ−ドしている。カイエンには、「パリ・ダカールラリー」といった高速域でのレ−ス経験をもつポルシェゆえの、隠された、まだ見ぬ実力も秘められているはずだ。比較テストというここでの限られた状況での結論としては、スタイリングも含めて一応X5に軍配を挙げておく。
(文=笹目二朗/写真=峰 昌宏/2003年7月)
・ポルシェ・カイエンS(6AT)vs BMW X5 4.6is(6AT)【短評(前編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000013618.html

笹目 二朗
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