ホンダ・エアウェイブ Lスカイルーフ(CVT)/エアウェイブ G(CVT)【試乗速報】
プラスαはある 2005.04.15 試乗記 ホンダ・エアウェイブ Lスカイルーフ(CVT)/エアウェイブ G(CVT) ……212万8350円/187万4250円 広いラゲッジスペース、多彩なシートアレンジなどをセリングポイントとする新しいコンパクトワゴン「エアウェイブ」。ジマンのグラスルーフによる開放感は? 『webCG』記者が試乗会で乗った。
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タダのワゴンじゃツマラナイ
書籍と違って、どのページがどれだけ見られたか、1ケタ台までわかってしまうウェブ媒体の『webCG』。最近はニュース、インプレッションとも、「スズキ・スイフト」や「日産ティーダ&ラティオ」「ノート」「トヨタ・ヴィッツ」など、コンパクトカーが人気である。
4月7日にデビューした「ホンダ・エアウェイブ」も、発表のニュースはヒット数を伸ばした。エアウェイブは5ナンバーサイズのボディに、1.5リッターエンジンを積むコンパクトワゴン。流線型のスポーティなデザイン、「フィット」由来のシートアレンジに加え、ルーフ長の半分以上を占める1100mm×770mmの大きなグラスルーフ「スカイルーフ」を備える、開放感あるキャビンがウリのニューモデルだ。
ホンダは、「カローラフィールダー」や「ウイングロード」クラスのワゴンを持っていない。営業からの要望もあり、「フィットアリアのワゴン版をつくろう、ということになったんです」とは、開発責任者の川勝幹人さん。だが、あまり魅力的なクルマにはならなかったという。たしかにフィットアリアのワゴン、カッコイイとは思えないし、地味。あくまで想像ですけど……。
それでなくとも、タダのステーションワゴンでは、いまさら面白くない。コンセプトを再検討した結果生まれたのが、走りはもちろん、荷室やキャビンの使い勝手など、基本性能をしっかり作り込んだうえで、楽しい魅力的な価値を与えたコンパクトワゴンだったという。「スカイルーフ」とエアウェイブの誕生物語(ダイジェスト)。
フィットと血縁にあたるエアウェイブ、スポーティ&スタイリッシュを目指すクルマだけに、スタイリングはどちらかといえば、ストリームやオデッセイに似る。ボディ構造はフィット譲りのセンタータンクレイアウトをベースに、ホイールベースを100mm延長。前後オーバーハングも延ばされ、全長は520mm長い。一方、高さは20mm低めて、伸びやかなフォルムとした。
といっても、ワゴンだけにキャビン&ラゲッジスペースは犠牲にできないのだろう、真横から見ると微妙に背が高く見えるのが、惜しい。
背が低くないと……
運転席に座ると、室内空間の確保と、スタイリッシュなデザイン、さらにスカイルーフを成立させるのに「苦慮したんだろうなぁ」と思った。スカイルーフが室内高を約15mm浸食、Aピラーの傾斜が強いこともあって、身長176cmのリポーター頭上にフロントスクリーンの切れ目が迫る。サンシェードを閉じてしまうと、空間的な広さ感はいまひとつ、前席で「エアリーキャビン」を感じるには、背が低くないとムズカシイだろう。もちろん、巨大なグラスルーフのサンシェードを開ければ、車内全体が自然光に満たされるのはイイ気分。低めのルーフのおかげで、後席から空の見える天井が常に視界に入るのも、エアウェイブならではの感覚である。
残念ながら、試乗会当日はあいにくの雨。スカイルーフは本領を発揮できず、気分も曇りがちだったが、走り出すと一転した。フィット譲りの1.5リッター+CVTは、200kg近い重量増をまるで感じさせず、走りがとにかく軽快である。スポーティを意識して、スロットルやCVTのプログラムが変更され、主に出足をよくしたという説明どおり、ゼロスタートはちょっと乱暴に思えるくらい活発。エンジンを回したときのフィールも軽い。小排気量ゆえ、飛ばすとエンジンは回しぎみになるが、メカやCVTのイヤな音は抑えられ、イイ気分を害することがない。
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求む“プラスβ”?
フロントは全部、リアはほぼ新設計という足まわりも、イイ気分に一役買っていた。フィットより長いホイールベースや、フロントのロールセンターを高めたおかげか、コーナリングはタイヤが踏ん張って曲がるような感覚はなく、適度なロールを許し、ステアリングホイールの動きどおり滑らかに曲がる。スカイルーフ、リアハッチゲートの開口部周辺、さらにサスペンションの剛性を高めるなどの地道な努力が効いているのだろう、乗り心地も良好だ。
荷室の広さや、座面をチップアップして背の高い物が積めるといったシートアレンジの使い勝手には、センタータンクレイアウトの恩恵を感じる。床面は低く、リポーターの場合、荷室は膝くらいの高さにあり、重い撮影機材を放り込むのもラクチンである。シートアレンジは後席シートバック肩のレバー操作のみ、ワンタッチで奥行き1800mmオーバーのフラットスペースを作り出すこともできるなど、“タダのステーションワゴン”として見ても利便性は高い。開発責任者、川勝さんのいうとおり、基本性能をしっかり作り込んだ、真っ当なステーションワゴンである。
試しに、スカイルーフのない「G」グレードに乗ってみると、上屋が軽いせいもあってより軽快でしっかりしていた。もちろん、室内高は気にならない。グっと“タダのワゴン”に近づいてしまうのだが、150万円を切る価格を魅力的に感じる人は、すくなくないと思う。
それだけに、スカイルーフの恩恵をいまいち感じられなかったことが、ちょっともったいない。“プラスα”の魅力はたしかにあると思ったけれど、坂口親子の出演するTVCFくらい、楽しい感じを期待していただけに……。
それって“プラスβ”以上なのだろうか。
(文=webCGオオサワ/写真=峰昌宏/2005年4月)

大澤 俊博
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