第202回:なぜゲームだけじゃ満足できない?天才・山内が語る『ザ・バイブル』を作った本当の理由
2005.03.25 小沢コージの勢いまかせ!第202回:なぜゲームだけじゃ満足できない?天才・山内が語る『ザ・バイブル』を作った本当の理由
|
さーて、世界最高のクルマゲーム、『グランツーリスモ4』の発売からはや2ヶ月。国内じゃ既に楽勝で100万本突破! 北米175万本、ヨーロッパじゃ320万本が初日に出荷されたとか。
ってなわけで海外版の製作も終わり、余裕が出てきた“天才クン”にちょいと話を聞いてきました。特に初のオフィシャル本、『グランツーリスモ4 ザ・バイブル』についてね。なんせ恐ろしく“変わった本”なんで。全300ページとはいえ2800円もするし、正直、そんなに売れるとも思えないんで……。
■クルマの楽しみを伝えたい
小沢:唐突だけど、なんで『ザ・バイブル』なんて作ったわけ? アレでソフトが売れるとは思えないし、やっぱ2800円は高い。だいたい攻略本自体、いろんなところから出てるでしょう。
山内:GT の本はね、ずっと前から作りたかったんですよ。というのもGTは、たしかにゲームとして純粋に楽しめるけど、クルマの楽しみを伝えきれないところがあった。別にエンジンだのブレーキだのって仕組みがわからなくても、ゲームはできるじゃないですか。そこは攻略本では説明できないし、それじゃ本当のクルマの楽しみの半分も伝わらない。
小沢:なるほど。だから内容がほとんど“クルマ本”“なワケね。読んでて全然、ゲーム本って気がしなかったし、いきなり冒頭でニュル(ブルクリンク)の解説が20ページも出てくるし。
しかし、これに付いてく読者って並大抵じゃないと思ったけどなぁ。イチイチ、172個のニュル全コーナーの解説が付いてるし、正直、難し過ぎるかも……。
山内:たしかに。でも既に3刷に手が届きそう。いまさらながらGTファンの深さを思い知りましたよ。
小沢:凄いプレイヤーは、コントローラーを机に溶接するっていうからね。剛性感を出すために。
山内:GTのユーザーは、作った僕らが思う以上に進んでる部分があるんですよ。正直、ゲームは彼らと一緒に進化している。
小沢:だいたい最初、GTシリーズは20万本も売れればいいと思ってたんでしょう?
山内:そう、ここまで世界的なタイトルになるとは思ってもみなかった。もはや計算しきれない部分があります。
|
■ゲーム制作と編集は「似てる」
小沢:こうなったらちまちま予想するより、自分の思うことをやってみるしかないよね。今回の本もそうだけど、GT4に追加されたフォトモードだって、実は貴方の趣味だって話が……。
山内:小沢さんにはバレてるけど、僕、写真好きだし、本も好きでね。ヒマさえあれば活字中毒ってくらい本読みますから。
小沢:一日10冊読むってホント? でも結局、“山内一典的クルマ趣味”の延長、拡大にあったりするよね、GTって。
山内:それは恐れ多いですけど、僕らスタッフが楽しめること、楽しいと思うことを、損得抜きで追求していこうという思いはありますね。っていうかそうじゃなきゃ、こんな大変な仕事できませんよ。
小沢:1年間で、マトモな休みは4日だけらしいね(笑)。ところで本の編集してみて、なにかわかったことはあった?
山内:いやー、ハッキリ言ってゲーム製作とかなり似てますね。最初はいろんなコンポーネンツがバラバラで、今ひとつピンとこないんだけど、写真だの原稿だのレイアウトだのが集ってくるとようやく見えてくる。
小沢:ふーん、逆に言うとゲームって編集に似てるのね。GTの場合はコース設計があって、クルマ設計があって、シミュレーションのソフトがあってって具合。
山内:そうですよ。もちろん僕は最初からゲームになった姿を予想してますけどね。
小沢:じゃ、本の編集もできちゃう?
山内:できると思いますよ。
小沢:じゃあ、次のGT本は1000ページの“GT辞書”になるのか? 超激マニア向けの。
山内:ありえなくはないです(笑)
果たしてどこまで“濃く”なるのか。ゲームもほとんど辞書みたいになりつつあるんですけど、いろんな意味で歯止めの効かない人のようです。どこまでイっちゃうのか、しかと見届けたいと思います。
(文と写真=小沢コージ/2005年3月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
-
第454回:ヤマダ電機にIKEAも顔負けのクルマ屋? ノルかソルかの新商法「ガリバーWOW!TOWN」 2012.8.27 中古車買い取りのガリバーが新ビジネス「WOW!TOWN」を開始。これは“クルマ選びのテーマパーク”だ!
-
第453回:今後のメルセデスはますますデザインに走る!? 「CLSシューティングブレーク」発表会&新型「Aクラス」欧州試乗! 2012.7.27 小沢コージが、最新のメルセデス・ベンツである「CLSシューティングブレーク」と新型「Aクラス」をチェック! その見どころは?
-
第452回:これじゃメルセデスには追いつけないぜ! “無意識インプレッション”のススメ 2012.6.22 自動車開発のカギを握る、テストドライブ。それが限られた道路環境で行われている日本の現状に、小沢コージが物申す!?
-
第451回:日本も学べる(?)中国自動車事情 新婚さん、“すてきなカーライフに”いらっしゃ〜い!? 2012.6.11 自動車熱が高まる中国には「新婚夫婦を対象にした自動車メディア」があるのだとか……? 現地で話を聞いてきた、小沢コージのリポート。
-
NEW
「洗車でボディーにキズがつく」って本当ですか?
2026.4.21あの多田哲哉のクルマQ&Aマイカーは常にきれいな状態で維持したいものの、クルマ好きの間では「洗車することでボディーにキズがつく」「洗いすぎは害になる」という意見もある。実際のところ、どうなのか? 元トヨタの多田哲哉さんに聞いてみた。 -
ディフェンダー110 X-DYNAMIC HSE P300e(4WD/8AT)【試乗記】
2026.4.20試乗記本格クロスカントリービークルの「ディフェンダー」にプラグインハイブリッド車の「P300e」が登場。電気の力を借りて2リッターターボとしては格段にパワフルになった一方で、カタログ燃費はなかなか悲観的な数値を示している。果たしてその仕上がりは? -
ポルシェジャパンのイモー・ブッシュマン社長に聞く 日本での展望とスポーツカーの未来
2026.4.20デイリーコラム2025年8月に着任した、ポルシェジャパンのイモー・ブッシュマン新社長。彼の目に日本はどう映り、またどのような戦略を考えているのか? 難しい局面にあるスポーツカーや電気自動車の在り方に対する考えを含め、日本における新しいリーダーに話を聞いた。 -
スバル・ソルテラET-HS(前編)
2026.4.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバル&STIでクルマを鍛えてきた辰己英治さんが、“古巣”スバルの手になる電気自動車「ソルテラ」に試乗。パワートレインの電動化以外にも、さまざまな試みが取り入れられた一台を、ミスター・スバルはどう評価するのか? -
第57回:スズキはなぜインドに賭ける? 変わらず牛が闊歩するインドの最新工場を小沢コージが直撃
2026.4.18小沢コージの勢いまかせ!! リターンズ小沢コージがインドへ。日本の自動車ファンにとってインドといえばスズキのイメージだが、実はスズキは現在、インドへの大型投資の真っ最中だ。なぜスズキはインドでこれほどまでに愛されるのか。最新工場を見学して考えた。 -
ボルボXC90ウルトラT8 AWDプラグインハイブリッド(4WD/8AT)【試乗記】
2026.4.18試乗記2016年に上陸した2代目となるボルボのフラッグシップSUV「XC90」の最新アップデートモデルに試乗。パワフルなプラグインハイブリッドシステムを採用する3列シートSUVの走りを、先にステアリングを握った「V60」や「XC60」との比較を交えながら報告する。