フォルクスワーゲン・ゴルフGTX(2ペダル6MT)【試乗記】
名実ともにトップグレード 2005.03.12 試乗記 フォルクスワーゲン・ゴルフGTX(2ペダル6MT) ……379万500円 ラクシャリーなインテリアと充実した装備に加え、「GTI」譲りのT-FSI+DSGを搭載する「ゴルフGTX」。スポーティ&プレミアムを標榜するトップグレードに、『webCG』記者が試乗した。最初は“?”
先代ゴルフIVから、トップグレードはスポーツ系「GTI」ではなく、スポーティ&プレミアムな「GTX」に移行した。外観はごく普通だが、GTIと同じパワートレインによる高い動力性能、快適性を損なわない足まわりによるスポーティさと、充実した装備&豪華内装のプレミアムを兼ね備えた、ゴルフのトップグレードである。
しかし、先代はそれほど魅力あるグレードとは思えなかった。1.8リッターターボに4段AT(マイナーチェンジ後は5段AT)のパワートレインはGTIと同じだから、パワーに余裕はあるけれど、突出してパワフルでもなく、燃費がイイわけでもない。レカロ製レザーシートをはじめ、装備は豪華でも……正直、高い感じが否めない。
2005年3月5日に発売される新しいGTXも、最初はピンとこなかった。外観を見るかぎり、あまりに普通のゴルフ。225/45R17サイズの太いタイヤとホイールや、ブラックアウト処理されたヘッドライトなど、多少の差異はあるけれど、一目でわかったあなたは、きっとゴルフマニアだ。
と思ったら、室内は一転して豪華だった。ゴルフVで上質になったインテリアは、ベージュ(ブラックもあり)のレザー内装やウッドパネルの雰囲気に飲まれることなく、室内に調和のとれた高級感をもたらした。大きめのシートは電動調節式、エアコンはもちろん、DVDナビ&オーディオ付きの「MMS」も標準で備わる。純粋に広くなったことも、高級感を後押しする。
理屈でも、乗ってもプレミアム
さらに、GTXのもっともプレミアムな要素が機関面。GTXとGTIのパワートレインは、2リッター直噴ターボ「T-FSI」エンジンに、2ペダル6段MT「DSG」という、VWが誇る2大技術を採用した。
T-FSIは、2リッターFSIにターボチャージャーとインタークーラーを装着し、NA比で50psと8.2kgmものパワーアップを果たした。最高出力200ps、最大トルクの28.6kgmは、1800〜5000rpmと広範囲で発生する。直噴ならではのきめ細やかな燃焼コントロールや、高い圧縮比(10.3)によってパワーと燃費を両立、さらにバランシャーシャフト、バルブタイミング機構など、メカ制御満載のハイテクエンジンだ。
DSGは、いわずとしれたシーケンシャルトランスミッション。ギアに応じて2組のクラッチを切り替えて変速することで、この手にありがちなギクシャク感を払拭し、素早いシフトを実現させた。ユニットはコンパクトで軽量、流体クラッチのようなムダはない。電子制御とT-FSIの組み合わせによって、モード燃費はNAモデル「ゴルフGT」(6AT)の12.2km/リッターを上まわる12.6km/リッターをマークする。
乗っても、理屈抜きで緻密(繊細じゃなくて)なドイツ製らしい機械のよさを満喫できる。従来の1.8リッターターボよりはるかに静かで、6700rpmまでスムーズに回る好フィール。スロットルをガバっと開ければフロントタイヤが悲鳴を上げ、アグレッシブな加速も味わえるが、わずか1800rpmから発せられる太いトルクを利して、街乗りや高速巡航は静かにこなす。
洗練されすぎ
DGSは、もう洗練されすぎで、特別な機械であることすら感じさせない。2ペダルMTが苦手な低速域で意地悪いスロットル操作を試みたが、ギクシャクすることはなかった。オート、マニュアルともギアチェンジは刹那、クラッチ直結でしか味わえないダイレクト感や燃費のよさを、トルコンAT並みに洗練されたマナーで万人に提供できる。最高位のプレミアム性をもつトランスミッションだ。
GTXを構成する要素の一つ一つは、かなりプレミアムである。性能は当然、他グレードの上を行くにもかかわらず、突出したトコロはなく、GTXは普通のゴルフだ。充実装備と豪華内装、パワフル&エコなエンジン、レースカーばりの性能を持つ洗練されたトランスミッションをもちながら、広くて快適、誰でも運転しやすく親しめる。新しいGTXは、つまり最高のゴルフなんじゃないかと思う。
(文=webCGオオサワ/写真=荒川正幸/2005年3月)

大澤 俊博
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