ポルシェ911カレラカブリオレ/カレラSカブリオレ【海外試乗記】
サプライズはこれから 2005.02.26 試乗記 ポルシェ911カレラカブリオレ/カレラSカブリオレ 911水冷モデルの2代目「997」型に、カブリオレが加わった。リトラクタブル“CC”全盛のなかソフトトップを採用したポルシェ最新のオープンモデルに、自動車ジャーナリストの河村康彦が乗った。
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“CC”全盛のなかで
成田からヒコーキを2回乗り継いで、丸一昼夜をかけてはるばるやって来たのは、スペインはセビリアの地。朝晩の冷え込みはまだ厳しくても、太陽が上れば「2月でも20度以上になることが珍しくない」という、恵まれた気候が当地の売り物だ。
ここでのネタは、オープンスポーツカー・フリークなら誰もが羨望の眼差しを注ぐであろう、ポルシェの新型「911カブリオレ」(997型)である。
先代の「メルセデス・ベンツSLKクラス」が、“バリオルーフ”なる名称で一気にメジャー化を推し進めて以来、世のオープンモデルのルーフシステムは、いわゆる“クーペ・カブリオレ”方式が勢力を拡大しつつある。“大”はメルセデスベンツSLクラス級から、“小”はわれらが「ダイハツ・コペン」まで、まるで「クーペ・カブリオレでなければ最新のオープンカーにあらず」といわんばかりに(?)隆盛を誇るタイプだ。
たしかに、人気が高まるのも当然とは言える。なにしろ「閉じれば」クローズドと同等の耐候性、快適性が得られ、「開けば」フルオープンならではの爽快感を満喫できる。まったく異なる2つのスタイリングを、スイッチひとつでモノにできる意外性も大きな魅力だろう。ルーフを閉じれば、ソフトトップとは比較にならない防盗性が得られるのも、物騒な話が多いご時勢には無視できないアピールポイントであるはずだ。
スポーツカー屋の意地!?
それでもポルシェは、911にそんなシステムを採用しなかった。「ある程度まで検討したのは事実」だというし、実現すれば「ボクスター」との差別化を、より明確に打ち出すことができたはずである。なのに、ポルシェは敢えてソフトトップにこだわったのだ。
その理由について、ポルシェは「911にとって、軽量かつ低重心であることを実現するのが最重要課題であったため」と述べている。
新しい911カブリオレに採用されたルーフ・システムは、総重量がわずかに42kgだという。これは同クラスの“クーペ・カプリオレ”と比べておよそ半分で、「軽量であるのはもちろん、そのぶん重心を低くすることができた」と説明する。ちなみに、クーペと同時進行的な開発プロセスを採ったことにより、カブリオレ特有のボディ補強を重量の増加を最小限に抑えたという。実際、ボディシェルの重量増は「クーペ比でわずか7kgに収まった」という。このあたりに、“生粋のスポーツカー屋”としての考え方(と意地!?)がにじみ出ているというわけだ。
あと2つにも期待
とはいえ、走りを厳しくチェックすれば「クーペよりもボディの剛性感が劣るかな?」というシーンが皆無とはいえない。ウォッシュボード状に荒れた路面を通過すると、ボディの共振周波数が低下してルームミラーの像が細かく振動する場面にも遭遇した。とはいえ、オープンボディとしてのしっかり感は世界トップレベルといえるのは、間違いない。もちろん、本格スポーツカーとしても十分納得のレベルにある。
走りのテイストは、どこをとっても「カレラ」「カレラS」クーペとほぼ同等。コレがぼくの偽らざる感想である。シビアにみれば、クーペ+85kgの重量増加は動力性能を低下させているはずだし、重さの変化はフットワークにも影響を及ぼしているはずだ。
が、そんな情報を念頭に置いたうえでも、「違いはほとんど無視できるレベル」という印象を受けた。開発陣によれば、「重量増を踏まえて、スプリングを同一型番ながら多少長めにして使っている」。さらに、PASM搭載車のフロントバネ定数は「(3.6リッターのAT仕様をのぞいて)10%小さい」などのリファインが施された。
「2005年は3つのサプライズを用意している!」というポルシェ。その第一弾たる911カブリオレは、おおよそ“予想通り”であり、“期待通り”の一台だった。となると、残り2台は一体どんな代物なのか!? そういえば、噂されてきた「ボクスター・クーペ」の名称が「カイマン」に決定! なる報も飛び交っている。
(文=河村康彦/写真=ポルシェジャパン/2005年2月)

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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