トヨタ・マークX 300Gプレミアム(6AT)/ 250G“Sパッケージ”(6AT)/250G“Lパッケージ”(6AT)【短評(後編)】
ベストセラーの若返り作戦(後編) 2004.12.07 試乗記 トヨタ・マークX 300Gプレミアム(6AT)/ 250G“Sパッケージ”(6AT)/250G“Lパッケージ”(6AT) 「マークII」から名を改め、新しい歴史を刻み始めたトヨタ「マークX」。自動車ジャーナリストの生方聡がその乗り心地のよさを語る。
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基本部分はクラウンと共通
プラットフォームが同じだけに、マークXの走りに関わる部分もクラウンを踏襲する。当然、前後サスペンション形式は同じで、ラインナップされるエンジンも共通だ。ただし、短い前後オーバーハングやルーフを低めて重心を下げるといった工夫、ボディそのものの軽量化も図るなどして、クルマの軽快感を高めたという。
さっそくその成果を試してみるとしよう。この日試乗したのは、2.5リッターエンジン搭載の「250G“Lパッケージ”」と「250G“Sパッケージ”」、そして、3リッターを積む「300Gプレミアム」の3台だ。
まず最初に250G“Lパッケージ”をチェック。走り始めて気づくのは、その乗り心地のよさである。215/60R16(TOYO PROXES J33)との組み合わせは、“あたり”に硬さがなく、路面の凹凸を感じさせないのに、フラットでしっかりとした印象だ。スピードを上げても落ち着いたマナーに変化はなく、ある意味ヨーロッパ車的な味付けといえる。
カーブの続く道に入ると、マークXの軽快さが見えてくる。ステアリング操作に対し、とくに中立付近などでは、とりたてて鋭い反応を示すわけではないので、どんな人でも安心してハンドルを握ることができる。その一方で、その気になってとばしてみると、ノーズがコーナーのインに向かっていく感じが実に自然で、ロールもよく抑えられているから、安心してペースを上げることができるのだ。それだけに、気がつくと結構いいペースで走っていた、という場面もしばしばである。
250G“Lパッケージ”と同じ足まわりの300Gプレミアムも、車両重量が20kgしか変わらないことからほぼ同じ印象。排気量が増えてもエンジン重量がさほど増えていないから、ノーズヘビーな感覚はない。
これらとは明らかに異なるのが、減衰力を電子制御するダンパー「AVS」と225/45R18タイヤを履く250G“Sパッケージ”である。AVSはノーマルモードとスポーツモードの切り替えが可能で、スポーツモードを選択すると、コーナリングの際のロールが前出の2台よりも抑えられ、踏ん張りが効くのだが、タイヤサイズがアップしたことで、ノーマルモードでも乗り心地の悪化は避けられない。個人的にはバランスのいい“非”Sパッケージのほうが好ましいと思った。
余裕を求めれば3リッターだが……
エンジンはいずれも直噴ガソリンタイプのV6を搭載。希薄燃焼は用いず、燃焼効率を向上させることでパワーと燃費、そして、低排出ガスを実現する「ストイキD4」と呼ばれるものだ。
試乗した後輪駆動モデルに組み合わされるギアボックスは6段オートマチックのみ。2.5リッターの250Gでも、低回転域からトルクが豊かなため、動き出しはスムーズかつ力強い。発進後も、実用域で頼もしい特性を持つエンジンのおかげで実に扱いやすく、アクセルペダルに対するレスポンスも優れている。そして、追い越しなどの際に思い切りアクセルペダルを踏み込めば、4000rpm、そして、5000rpmあたりで音色を変えながら、リブリミットまでスムーズに回転を上げていく。
これが3リッターともなるとさらに力強い印象で、ふつうに走るなら2000rpm以下で事足りてしまうほど。もちろん、2.5リッターに負けず劣らず高回転域も得意としているから、余裕を求めれば3リッターということになるが、直接比べなければ2.5リッターでも十分だ。というわけで、私のパーソナルチョイスは250G“Lパッケージ”になった。
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セダン市場を活気づける一台
スポーティさという点では申し分のないマークXだが、気になったのが後席の居住性である。ホイールベースはクラウンと同じなのに、明らかにクラウンよりも後席が窮屈なのだ。その理由は、後席の着座位置が低いことと、前席の高さ調整を低い位置にしてしまうと前席の下に爪先が入らないので、足が前に伸ばせず、結果的に膝が立ってしまうからだ。この辺は、ルーフを下げたり、着座位置を低めたことによる“しわ寄せ”といえるのだが、「後席の居住性にこだわるなら、前輪駆動のセダンをどうぞ」という声が聞こえてきそうな気がする。
従来のマークIIファンに受け入れられ、かつ、新しいファンも取り込もうとするマークX。その“落としどころ”はなかなか絶妙だと思う。エクステリアや後席の居住性など、不満な点もあるが、それが気にならない人にはバリューフォーマネーな一台である。なにより、セダン市場を活気づける一台になることは間違いない。
(文=生方聡/写真=高橋信宏/2004年11月)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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