「ステンレスでも錆びる?」
2004.11.27 クルマ生活Q&A その他「ステンレスでも錆びる?」
教えてください。現在「マツダ・ロードスター」に乗っています。社外品のステンレス製マフラーに交換しました。装着したときはピカピカだったのですが、日に日に色が変わり、ツヤがなくなって錆びたようになってきました。お店の人は「ステンレスは熱に強い」と言っていたのですが、本当でしょうか?(MKさん)
お答えします。ステンレスは一般的には錆びにくく、熱に強い材質と言われています。しかし、その種類と加工方法によって特性にも違いがあり、熱に弱く錆びやすいものもあるのです。熱に弱いということは、錆びやすくなることと同等の意味を持ちます。
マフラーに使われるステンレスの多くは、専門的には「オーステナイト系」と呼ばれているもので、鍋などのステンレスと同じ性質を持っています。これは熱に強く、酸化を抑制する働きがあるため、鍋やマフラーは熱にさらされていても錆びないのです。
しかし同じステンレスでも、「フェライト系」や「マルテンサイト系」だと熱にはあまり強くありません。メーカー純正のマフラーはフェライト系が多く、錆びやすい傾向にあります。
両者の見分け方は、ステンレス製品についている「SUS○○○」という番号です。
概して300番台がオーステナイト系、400番台がフェライトもしくはマルテンサイト系です。
が、もっと簡単に磁石を使って判別できます。オーステナイト系は磁石がくっつきません。それ以外だとピタッとつきます。社外品のマフラーを買うときには磁石を持っていくといいかもしれません。ピタッとくっつくマフラーは錆びやすいということになります。
しかしオーステナイト系のステンレスであっても、曲げたところは組織が変化し性質も変わりますし、雑に加工すると錆びやすいステンレスにもなります。MKさんのマフラーで色が変わった部分は、曲げられたところではないでしょうか。この場合、磁石はくっつくようになりますので試してみてください。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。