「ピラーアンテナが少なくなった理由は?」

2012.11.03 クルマ生活Q&A 松本 英雄 その他

10年位前まではAピラーにラジオのアンテナを内蔵した車種をよく見かけましたが、現在はショートタイプのルーフアンテナが主流のように思います。私自身の体験では、ピラーアンテナのほうがルーフアンテナより感度がよかったような気がします。わざわざ感度の悪いものへと移行するのは納得しがたいのですが、なぜピラーアンテナは流行(はや)らなくなってしまったのでしょうか?

お答えします。たしかにショートタイプのルーフアンテナより、ピラーアンテナをいっぱいに伸ばしたほうが感度がよく感じられるかもしれませんね。しかし、少なくなってしまったのには、やはり理由があるわけで、もっとも大きな理由は安全対策だと思います。現行車種は歩行者保護の観点から、万が一歩行者に接触してしまった場合、できるだけ歩行者を引っかけるような部分を少なくするよう設計されています。アンテナも例外ではなく、Aピラーから出ているより、ルーフ、それもできるだけ後ろ寄りに、短くてフレキシブルな材質のものを装着したほうが、歩行者を引っかける確率は少なくなります。ショートタイプのルーフアンテナが主流となったのは、こうした理由からだと思います。

松本 英雄

松本 英雄

自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。