トヨタ・パッソの「ライバル車はコレ」【ライバル車はコレ】
コンパクトカー対決 2004.10.25 試乗記 トヨタ・パッソの「ライバル車はコレ」 “トヨタ最小”を謳う「パッソ」のライバルを、自動車ジャーナリストの河村康彦がピックアップ。世界戦略車「ヴィッツ」と、走り、質感ともリッターカー級という軽「ホンダ・ライフターボ」と比べる。■トヨタ・パッソ1.0 X(102万9000円)
“プチプチ・プチトヨタ♪”……のテーマソングで一躍その名を馳せた(?)最小のトヨタ車。もっとも“最小”と謳えるのはその全長だけで、1665mmという全幅は「ヴィッツ」よりも広いのだ(5mmだけだけど)。
3気筒の1リッターエンジンを含め、まったくのニューモデルであるこのクルマの開発は、トヨタ傘下にあるダイハツ工業との共同作業。より具体的にいうと、「企画立案など当初のプランニングは主にトヨタが担当。前出のエンジン開発やボディ設計など、各ハードウェアの開発はダイハツが主体になって行った」という。
興味深いのは、ダイハツではこのモデル(=「ブーン」)をヨーロッパやアジアンマーケットまでカバーする世界戦略車と位置付けるのに対し、既にヴィッツ(=「ヤリス」)という国際車をコンパクトカー市場に持つトヨタでは、パッソを“日本国内専用車”としていることだ。
2社の思惑が交錯するパッソとブーンは、エンブレムを除けば、デザインやインテリア、価格体系まで同一という、完全なる“双子車”。とりあえず、5ドアハッチバックという単一のボディに3気筒の1リッター新エンジン、もしくは4気筒の1.3リッターエンジンを搭載した4段AT専用モデルとして発売される。
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【ライバル車 その1】トヨタ・ヴィッツ1.0F 5ドア(107万1000円)
■熟成が進んだ1台
既にヴィッツというベストセラーカーを持つトヨタに、どうして価格もサイズもオーバーラップするパッソが必要なのか? というのは、誰もが抱きそうな疑問点。こうしたクエスチョンに対するトヨタの模範解答は、「より短かい全長のなかでさらに大きな室内容積を有するコンパクトカーに、新たな存在意義があるのではないかと考えた」というものだろう。
たしかに、ヴィッツとパッソの室内の雰囲気は大分違う。タイヤをボディ四隅に追い出し、背が高めのキャビンが与えられたパッソのそれは、いわば「スズキ・ワゴンR」や「ダイハツ・ムーブ」の小型車版といった印象。“ミニバン風”とまでは言わないまでも、冷蔵庫や洗濯機といったどこか“白物家電”的な道具感が強く、ベーシックカーでありながらちょっと情感的で趣味性を伴うデザインの持ち主という観点では、ヴィッツのインテリアの方がずっと上だと思う。
走りについては、フットワークの仕上がりに関して、ぼくは熟成を重ねてきたヴィッツの方が、パッソよりも一枚上手と感じる。
微低速域から路面凹凸に対するソフトな当たり感を実現させたパッソは、前輪負担が増すとたちまち強いアンダーステアに陥る。高速出口のランプなどで速度を落とし切れなかったりしたときのことを考えると、もうすこし踏ん張りが欲しいところだ。
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【ライバル車 その2】ホンダ・ライフCターボ(111万8250円)
■維持費か、ランニングコストか
ラインナップに軽自動車を持たないトヨタにとって、税抜き価格90万円から(!)のパッソは、明らかに“軽自動車イーター”としての役割を備えたモデル。ということで、現在、見た目にも走りでももっとも上質と思える軽自動車「ホンダ・ライフ」のターボ付きモデルを、パッソと真っ向勝負させてみよう!
ライフ・ターボの加速性能は、スタートから80km/h程度まではパッソの1.3リッターモデルとほとんど同等。そこから先はさすがに排気量の差が効いてパッソが先行するが、近距離メイン、日常のアシという使い方を考えれば、ライフの性能は「1リッターのパッソを確実に上まわる」といえる。
ただしネンピは逆転の可能性大だ。車重800kgを楽に超えてしまう現代の軽自動車に、自然吸気で660ccの排気量は不相応に小さい。パワーを補うべく過給を行うと、とても軽とは思えない悪燃費を叩き出すことがすくなくないのだ。
動力性能は軽自動車枠に縛られるが、たとえば、ライフのダッシュボードまわりの高い質感たるや、パッソなど足もとにも及ばない印象だ。
ただし、価格を比べるとこちらも1.3リッターのパッソと同等かそれ以上。税金面や保険代など「走らない状態での維持費」を重視して軽自動車を選ぶか、それとも燃費などのランニングコストや、トレッドの広さが生み出す横風安定性の高さなどに配慮して小型車を“奮発”するか、そのへんが悩みどころという人が結構多いかもしれない。
(文=河村康彦/2004年10月)

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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