トヨタ・ヴォクシーTRANS-X (CVT)【ブリーフテスト(中編)】
トヨタ・ヴォクシーTRANS-X (CVT)(中編) 2004.10.20 試乗記 ……295万3650円 総合評価……★★★★ 2004年夏にマイナーチェンジされた「トヨタ・ヴォクシー」。これを機に追加された2列シート版「TRANS-X」に乗った別冊CG編集室の道田宣和は、デッキボードを組み合わせアレンジできるカーゴスペースに注目した。【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
この種のクルマで半ば常識化したパワースライドドアはあるにこしたことはなく、本来「ヴォクシーTRANS-X」にはオプションのはずだが、テスト車に付いていたのは幸いだった。
ただし、「挟み込み防止機能付き」で左右2枚分とはいえ、そのために14万7000円也のエクストラを支払わなければならない。
同様に「ツインムーンルーフ」も16万8000円のオプションで付いていたが、これについては正直言ってやや不満が残る。ひとりヴォクシーだけではないが、ワンボックスのダブルサンルーフは肝腎の開放感という点で中途半端の感を免れず、この場合もフロントはチルトのみで開口部も小さく、リア(2列目)は運転席から遠く離れていてその恩恵を与えられていない。
また、オプションのデュアルオートエアコン(5万7750円高)が備わっていたにもかかわらず、炎天下だとなぜか日本車には珍しく、あまり効いた感じがしなかった。
驚くべきはいわゆる“ポケッテリア”、つまり車内随所に余すことなく設けられた小物入れやカップホルダーの多さである。広大な空間の隅々まで、それこそ宝探しでもするかのように思わぬところで発見したりする。その数、カーゴルームを除いても合計19カ所。便利なことこの上ない。メーターはダッシュボード上部の奥まったところにあり、明るい陽差しの下でもクッキリと視認性が良い。ハザードスイッチそのものに照明がないのは日本車の悪いところだ。
(前席)……★★★
高めのフロアはやや力を込めてよじ登る感じ。だが、一旦ドライバーズシートに収まってしまえば着座姿勢、視界とも悪くない。シートはサイズ、座り心地ともまずまずで、ダッシュボード上面およびその先のボンネットが進行方向に向かって連続してスラントしており、ある種のセダンよりはるかに前が見やすい。
(後席)……★★★
クルマの成り立ちからして当然だが、後席(2列目)は乗用車としては望外の、ワンボックスとしては標準的な居住スペースを有する。レッグルームやヘッドクリアランスはもちろん充分である。6:4分割可倒のダブルフォールディング式ベンチシートだが、座面やバックレストは通例よりやや窪みが付いており、平板な感じはしない。前席とのウォークスルーも問題なくできる。
(荷室)……★★★★★
このクルマのハイライトである2列/5人乗りを踏まえての変幻自在なカーゴルームはそれ自体、ひとつの“見物”でさえある。そして、実際に便利で実用的なのが大いに気に入った。
ポイントは単に空間を提供するだけでなく、そこを有効活用するための専用間仕切り板(デッキボード)を用意したことである。3枚のデッキボードはカーゴルーム側壁に設けられた左右の腰板の間を橋渡ししたり、適宜外したり、組み合わせを変えたりすることによって合計9パターンの異なる用途が可能だ。
なかでも感心させられたのが「ベッド」「テーブル」「長尺物」の各モード。まず「ベッド」だが、一見、ユニットバスの分割式フタにも似た樹脂なので、果たして大人が2人横になって荷重に耐えられるものかどうか危惧されたが、“たわみ”などは皆無で、しっかりした印象だ。
「テーブル」はうち1枚の裏に折り畳み式の脚が付いており、それを立てることによって堀炬燵のようになる。
「長尺物」はセカンドシートのみならず助手席までバックレストを前倒しする。この場合、室内長は実に2935mmにもなるから、サーフボードなどもそのまま楽々収容できるはずだ。
特徴的なのはそれらすべてのモードで水平面のレベルが揃っており、また、オリジナル設計だけに、見た目の収まりがキレイでスッキリしていることである。
さらに、最後部にはカーゴルーム本来の床板を跳ね上げると、そこだけで軽自動車のトランクくらいはある収納スペースが出現するのだ。(後編につづく)
(文=別冊CG編集室道田宣和/写真=峰昌宏/2004年10月)
トヨタ・ヴォクシーTRANS-X (CVT)【ブリーフテスト(前編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000015809.html
トヨタ・ヴォクシーTRANS-X (CVT)【ブリーフテスト(後編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000015811.html

道田 宣和
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