フォルクスワーゲン・ゴルフトゥーランE(6AT)/GLi(6AT)【試乗記】
貫かれる“フォルクスワーゲン流” 2004.05.30 試乗記 フォルクスワーゲン・ゴルフトゥーランE(6AT)/GLi(6AT) ……283万5000/313万9500円 “ゴルフ”のサブネームをつけた、フォルクスワーゲンのコンパクトミニバン「ゴルフトゥーラン」。「ゴルフV」のプラットフォームを使った新型は、VW流を貫いた納得のいくクルマだと、自動車ジャーナリストの金子浩久は評価する。メジャー指向の欧州ミニバン
「いよいよ」というか、「とうとう」というか、ヨーロッパの巨人、フォルクスワーゲンの3列7人乗りミニバン「ゴルフトゥーラン」が発売された。
ゴルフトゥーランはその名の通り、5月にリリースされたばかりの5代目ゴルフと、プラットフォームやエンジンをはじめとする主要部分を共用してつくられた。つまり、ゴルフの兄弟分である。その狙いは当然、同じような3列7人乗りの日本製ミニバンマーケットに、どれだけ食い込めるか、であろう。
VWはかつて、大型ミニバン「ヴァナゴン」を販売していたが、業務用というか特殊用途のためのクルマで、トゥーランのようなメジャー指向のクルマではなかった。それはヨーロッパでも、日本でも変わらないはずだ。
ではフォルクスワーゲンは、いったいトゥーランのなにをセールスポイントにして、日本のミニバンユーザーから顧客を奪おうというのか。ちなみに、トゥーランのボディサイズは、ちょうど「トヨタ・ウィッシュ」と「イプサム」の中間あたりである。
シートに腰かけてみて、最初に感じるのは、ライバルの日本製ミニバンで強く感じる“ファミリーカー臭さ”や“ファンシー風味”が皆無なところだろう。みんながフォルクスワーゲンに期待している通りの、クールで機能的な造形と意匠が施される。インテリアだけ見たら、「トゥアレグ」や「ルポ」など、最新のフォルクスワーゲン車と変わらない。エクステリアだって、ビジネスライクなフォルクスワーゲン流が貫かれている。
運転姿勢の違いも、すぐに気がつくポイント。シートの背もたれを起こし、ハンドルを上から抱え込むようにするポジションが一番しっくりくる。
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1.6リッターで不満なし
エンジンは1.6リッターと2リッターのガソリン直噴4気筒から選べるが、1.6リッター版が印象的だった。116ps/5800rpmの最高出力と、15.8kgm/4000rpmの最大トルクを発生。排気量以上のトルク感があるし、長距離を日常的に走らないかぎり、大きな不満は感じないのではないだろうか。
エンジンもさることながら、感心させられたのがトランスミッションだ。ポルシェやアウディなどスポーティブランド各車、VWもトゥアレグやフェートンなどの上級車に搭載する「ティプトロニックS」の6段仕様が奢られたのである。
ただの「ティプトロニック」と「ティプトロニックS」は大違い。ドライバーの運転パターンの細かな学習機能や、マニュアルシフトの約8秒後に自動的に“D”レンジへ戻る機能などは「S」だけのものだ。特に後者の機能は便利で、一度使ったらやめられない。
改良を望みたいのは、運転席のかけ心地が貧弱なことと、ブレーキを残したままスロットルペダルを踏み込んだ場合のレスポンスの悪さ。マネージメントプログラムのせいか、失速したように回転が上がらなくなる。
トゥーラン最大の長所は、高速道路での安定性の高さだ。重心の高さを感じつつも、ビシッと路面に張り付くような走りっぷりは、日本製ミニバンには見られない。多彩なシートアレンジメントや収納場所の多さなど、ニッポンの得意とするところはVW流でフォローしてある。
1.6リッターモデルが271万9500円、2リッターは313万9500円。内容を考えれば価格も納得だ。日本製ミニバンの購入を考えている人も、十分、検討するに値すると思う。個人的には、ヨーロッパで販売される2列5人乗り版も選べると嬉しいのだが。
(文=金子浩久/写真=清水健太/2004年5月)

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