ダイハツ・タントL(4AT)【ブリーフテスト】
ダイハツ・タントL(4AT) 2004.05.04 試乗記 ……109万5150円 総合評価……★★★ 「これでもか!」の広い室内をウリにする、ダイハツのファニーカー「タント」を、『CG』編集局長の阪和明がチェックした。好感がもてる点とは……?
|
シティコミューターとして充分
クルマの使い方は人それぞれだ。長距離をがんがん走り続ける人もいるだろうし、自宅付近をちょこまか走るだけという人もいる。エンジンをかけたと思ったら、もう止めているような人もいる。走行距離は伸びないけれど、子供の送り迎え、買い物等々、クルマがなくては困ること。クルマがなくては生活が成り立たない人はいる。もしあなたが、街なかメインでクルマを活用しているなら、「タント」は最適である。
軽自動車規格という限られた枠のなかで、入念に練り上げられたパッケージング、その結果として得られた広い室内、個性的ながら厭味のないスタイリング、小さなクルマならではの取りまわしのよさと優れた使い勝手は、シティコミューターとして充分に威力を発揮しそうだ。
|
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「ダイハツ・タント」は、「ムーヴ」をベースに、さらにホイールベースを延ばして室内空間を広くとった「スーパースペースワゴン」。ムーヴより50mm長い2440mmのホイールベースと、95mm高い1725mmの全高をもつ。ノーズを短く、キャビンをスクエアにすることで、室内長は“2リッターセダン並”を謳う2000mmを実現した。
2003年10月25日から開催された「第37回東京モーターショー」でデビュー。同年11月27日から販売が開始された。
エンジンは、0.66リッター直列3気筒DOHC12バルブで、自然吸気とターボが用意される。トランスミッションは3ATまたは4AT。駆動方式は、前輪駆動と4輪駆動の2種類だ。
(グレード概要)
グレードは、自然吸気エンジンが「L」「X」「Xリミテッド」の3種類、ターボが「R」と「RS」の2種類。前輪駆動/4輪駆動を問わず、この5グレードが用意される。「L」は、もっともベーシックなグレードで、ドアミラーがブラックになるほか、エアコンがマニュアル式となる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
インストルメントパネルのすっきりとしたデザインは好印象。速度計を中心としたメーターナセルをセンターの奥に収めていることもあって、無駄な飾りがないのが嬉しい。実用車たるもの、操作性、視認性の点からいって、やはりシンプルにまとまっていることがいいに決まっている。全体の質感はプラスティッキーではあるけれど、それがどうしたという感じで、むしろ背伸びしないつくりに好感が持てる。
基本的な装備は充分揃っている。助手席エアバッグ、チャイルドシート用アンカー、パワーウィンドウ、キーレスエントリー、マニュアル式エアコンなどが標準で装備されるので、実用上困ることはなさそうだ。ただし、グレードが「L」のテスト車はブレーキのABSがオプションになる。
(前席)……★★★
床が低く屋根の高いボディだから、実に乗り降りしやすい。体が硬くなったオジサンでもストレスなしだ。背高ノッポのボディから抱く印象とは異なり、着座位置はそれほど高くない。けれど、グラスエリアがとにかく広く天井が高いので開放感は抜群である。座っただけで心がウキウキしてくること請け合いだ。それだけに、おそらく外からも室内は丸見え状態だろうから、隠し事のある人には向かないクルマといえる。
シートは平板である。ドライバーをすっぽり包み込むタイプとは正反対の類だが、これで箱根を飛ばすわけではないし、街なかを移動するぶんには、なんら不満を感じない。運転席と助手席がぴったりくっついた事実上のベンチシートに仕立てられているのも、おおらかな気分にさせてくれてよい。
(後席)……★★★★★
タイヤをボディの四隅に追いやったことで、室内空間は広い。特に後席はびっくりするくらい広い。シートを後方いっぱいまでスライドさせれば、リムジンもかくやというほど足元は広々だ。脚を組んでもOK。ここまで広い必要があるのかどうか考えさせられてしまったりするが、これがパッケージングの勝利であることに誰も異論を唱えないはずだ。
後席で気になったのはシートバックの高さが足りないこと。これはシートの折り畳みやすさを優先した結果なのだろうが、大人が長時間座るには、居心地はあまりよくない。小柄な人なら大丈夫かもしれない。
(荷室)……★★★
室内空間をたっぷりとっていることで、トランクはそれなりの容量だ。ただし、これは考え方による。リアシートを前に出すことにより、トランクは広がるわけで、後席を畳んでしまえば広大なラゲッジスペースが出現する。すくなくとも2人、あるいは3人しか乗らない場合は、トランク容量は充分にある。
収納といえば、物入れに事欠かないのがタントの美点である。上下2段のグローブボックス、運転席正面の蓋付き小物入れ、センターアームレストのボックス、ドアポケット、助手席シート裏のポケット、助手席シート下のアンダートレイ、後席の床下収納といった具合に、物入れはたくさんある。まるで走る納戸だ。人によっては、片付けたはいいが、どこに何をしまったか忘れてしまうこともありそうだ。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★
はっきり言って非力である。なにしろ自然吸気660ccの58psで車重870kgなのだから、まあ、こんなものだろう。街なかを走りまわるような状況では、特別痛痒を感じることはない。むしろパワーのないクルマをうまく交通の流れに乗せられるような運転のコツさえ掴めば、けっして遅くはない。
4段ATのマナーは悪くない。変速はスムーズだし、レシオも市街地走行では適正と思えた。もっとも高速道路ではたしかにツラい。トルクの細さが影響して、快適なクルージングはあまり期待できない。低いギアを使って右足に力を入れることで、どうにかなるとはいえ、それではうるさい。ドライバーのイライラはつのるいっぽうだ。高速道路を走る機会が多いなら、ターボエンジン搭載車を薦めたい。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
全長3395mmに対して2440mmもあるホイールベースのおかげで、乗り心地は軽自動車としてはフラットだ。後席では多少ピョコタンするが、前席にいるかぎりまずまず快適である。サスペンションの設定はかなりソフト、路面からの突き上げもかなり押さえ込まれている。けっしてしっとりとした乗り心地とはいえないが、これで不満はない。
電動パワーステアリングの感触の素直さも、タントのいいところだろう。アシストは一定で妙なひっかかりがなく自然である。ハンドリングそのものは、今回ワインディングロードを走っていないのでなんとも言えないが、日常の使用においては、気にかかる部分はなかった。
(写真=峰昌宏/2004年5月)
【テストデータ】
報告者:阪和明CG編集局長
テスト日:2004年2月4日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:1261km
タイヤ:(前)145/80R13 75S(後)同じ
オプション装備:ABS=3万1500円/カーペットマット=1万5750円
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(6)
テスト距離:153.4km
使用燃料:14.6リッター
参考燃費:10.5km/リッター

阪 和明
-
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】 2026.6.2 かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.6.1 「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。
-
トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】 2026.5.30 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。
-
キャデラック・リリックV(4WD)【試乗記】 2026.5.29 キャデラック初の電気自動車(BEV)「リリック」に、最高出力646PSのハイパフォーマンスモデル「リリックV」が登場。“ブランド史上最速”をうたう豪速SUVだが、実際に乗ってみると、高い動力性能がもたらすゆとりや心地よさにも魅力を感じる一台となっていた。
-
DS N°8エトワールAWD(4WD)【試乗記】 2026.5.28 前衛を身上とするフランスのラグジュアリーブランド、DSオートモビルから、新たなハイエンドモデル「DS N°8(ナンバーエイト)」が登場。当代屈指の性能を誇る電気自動車であり、かの地では大統領専用車にも選ばれる一台の、独創の魅力に触れた。
-
NEW
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】
2026.6.3試乗記「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。 -
NEW
ミドシップ化で運動性能はどう変わる? 「GRヤリスMコンセプト」の現時点での完成度を体感
2026.6.3デイリーコラム「GRヤリス」をベースとしたミドシップ4WDとして市販化を目指す「GRヤリスMコンセプト」。現在もスーパー耐久に投入されるなどして鍛えられているが、その開発車両をドライブできた。普通のGRヤリスとの運動性能の違いや、新開発エンジンの印象などをリポートする。 -
NEW
第115回:メイク・アメリカ・グレート・アゲイン!(後編) ―デザインもサイズも規格外! 魅惑のアメリカ車はなぜ“主役”になれないのか?―
2026.6.3カーデザイン曼荼羅トヨタ&ホンダが発表した、米国生産車の日本導入計画。しかしアメリカには、規格外に面白いクルマがまだたくさんあるのだ! カーデザインの識者とともに魅惑の日本“未”導入車を探すとともに、魅力的なアメリカ車が、それでも主役になれない理由を考えた。 -
どうしてピアノブラックの内装材は多用されるのか?
2026.6.2あの多田哲哉のクルマQ&Aよく目にするピアノブラックの内装材は、「キズや脂汚れが目立つ」などネガティブな評価もしばしば。それでも多用されているのはなぜか? 車両開発者の多田哲哉さんに聞いてみた。 -
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】
2026.6.2試乗記かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。 -
レストモッドがイメージ 特別なオニツカタイガーの魅力に迫る
2026.6.1オニツカタイガーの新作ドライビングシューズを知る<AD>オニツカタイガーが、“レストモッド”と呼ばれるクルマのレストア&カスタム手法に着想を得たドライビングシューズを発表。4タイプ製作された、「MEXICO 66 DRIVING」のスペシャルバージョンの魅力に迫る。







































