第110回:「ゴルフV」でチューリッヒまで それでも残った「ゴルフっぽさ」が凄い(後編)

2004.03.27 小沢コージの勢いまかせ! 小沢 コージ
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第110回:「ゴルフV」でチューリッヒまで それでも残った「ゴルフっぽさ」が凄い(後編)

■不満がほとんどない

前編からの続き)
ゴルフVを見ると思う。「今までのゴルフは別に“我慢グルマ”だとは思ってなかったけど、けっして“十分満足グルマ”ではなかった」。
たとえば身長180cmぐらいの大人が前に座ると、リアシートは狭いとは言わないまでも、広くはなかった。トランクもしかり、大人4人で長距離旅行ができるほどは積めなかった。
走りも楽しいけど、音がうるさいとかハンドルが重たいって部分がないとも言えなかった。

その点、ゴルフVはその手の不満、つまりちょっとした料理の“アク”というか、生産工程でできる“バリ”みたいなものがほとんどない。過去はそれが、イイ意味でも悪い意味でも個性になっていたが、それがない。「不満のほとんどないゴルフ」と言ってもいいのかもしれない。

で、果たしてそれはゴルフらしいのか、ゴルフらしくないのか、っていうとやっぱりゴルフらしい部分もあるんだよね。たとえばリアスタイル。テールレンズはIVの四角いものから、可愛い丸2つタイプに変わり、全体的にどっしり下ぶくれな「おたふくスタイル」になったけど、長らく見ると実にゴルフっぽいのよ。具体的にはリアピラーの太さ、角度がポイントらしいけど、「ああ、ゴルフもカッコよくなったなぁ」と思わせるものがある。

■ゴルフなりのバランス感

それからね。長距離乗るとわかるんだけど、基本的には「ドイツ的な快適移動空間」なのよ。あくまでも走って運んでナンボのクルマ。ハンドルが軽くなったとはいえ、楽しさや安心感はほとんど失われてないし、カッコよくなったとはいえ、アルファロメオみたいに「カッコだけでイケる」ようになったわけではない。
ルノー・メガーヌと較べるとよくわかるけど、あれは今までになくスタイルと走りに振ったでしょ。ところがその手のバランスは、ゴルフにかぎってはけっして崩されてない。

デカくなったぶん、走りもリアシートも荷室容量も増えている。あくまで基本は「走りが好きなマジメなお父さん向け」だ。ただ、昔ほどのガンコさはなくなったかな……。
昔とんでもなくワルだった同級生でも、月日が立つと「オマエも丸くなったなぁ」って変貌を遂げてたりするでしょ。一見、昔のヤバさは取れてるんだけど、しゃべると変わってない部分もある。ゴルフもそんな感じよ。

ま、変わったのは事実。許せない、許せるは、乗る人の心の広さによりますかね。

(文=小沢コージ/2004年3月)

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