スズキ・エリオ1.5(FF/4AT)/エリオセダン1.8(FF/4AT)【試乗記】
正しいマイナーチェンジ 2003.12.05 試乗記 スズキ・エリオ1.5(FF/4AT)/エリオセダン1.8(FF/4AT) ……146.6万円/143.9万円 スズキの世界戦略車「エリオ」。2003年11月7日に内外装を中心にマイナーチェンジを受けた。山梨県で開かれたプレス向け試乗会で、自動車ジャーナリストの笹目二朗が、ハッチバックの「エリオ」とセダン「エリオセダン」に乗った。薄れた個性
スズキ「エリオ」は、ハッチバックのワゴン風ボディを「エリオ」、4ドアのノッチバックを「エリオセダン」と分けて呼ぶ。コンパクトなお手頃サイズのボディは、カローラやゴルフなどと同じ、国際的な“量販標準車”のクラスに属する。競合ひしめく市場であることを考慮してか、グレード拡充や運動性能ではライバルとの直接対決を避け、内外装やパッケージングにスズキらしい個性をもたせた、小洒落た存在だ。
今回のマイナーチェンジでは、フロントマスクが、横桟グリルなどの採用により、従来より一般的な顔つきとなった。インテリアも、斜めに切りこみの入ったダッシュボードと、そこから覗くデジタルメーターが廃止され、ごく普通のアナログ式が収まる。黒を基調としたカラーリングなど、全体をスポーティな性格の1.8リッター版と共用化され、個性はやや薄れた。とはいえ、走らせれば良質な走行感覚があり、比較的廉価な価格設定はお買得感をそそる。
軽快な回頭性
エンジンは、1.5リッター(110ps)と1.8リッター(125ps)の直4DOHC16バルブがあるが、フードを開けてみれば、あっけないほどコンパクトに収まっていた。縦置きにしても入るんじゃないか? と思えるほど、エンジンルームに余裕がある。これは、海外向けにより大きな4気筒(北米は2.3リッター)や、ディーゼルエンジンの搭載に備えたためだ。フロントの軸重量に余裕があることによって、エリオのハンドリングは、ノーズの慣性重量を感じさせない、軽快な回頭性を約束する。
1.5リッターのフィールは、最近の妙なフラットなトルク特性に偏重することなく、まわせばまわしたなりに力の出る自然な感覚をもつ。そのうえで低速トルクの不足は感じられない。特別パワーにこだわらず、騒音レベルは多少増加しても、フルに使える人には充分役に立つエンジンだ。ちなみに、1.5、1.8リッターともボアやストロークを共有せず、きちんとスクエアな設定(78×78mmと83×83mm)。こういうユニットは感覚も同じで、パワー差は排気量なりの違いとなる。
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選択はお好みで
マイナーチェンジの主な目的であるサスペンション系の改良は、乗り心地の改善が著しい。具体的には、スタビライザーの取り付け位置を、アームからストラットに変更。スタビライザーの効率を上げる一方、バネとダンパーをよりソフトな設定としながら、ロールを抑えた結果だ。ガチガチに硬めて乗り心地を悪くすることが、スポーティな感覚と勘違いしている向きもあるが、エリオの場合は、タイヤの接地性を高める正しい方向の改良が行われたといえよう。
ハッチバックに続き、ノッチバックセダンにも、短時間ながら試乗した。ボディ形状を反映し、ハッチがスポーティ、セダンはラクシャリーな性格付けがなされたほか、足まわりのセッティングが異なる。前後スタビライザー径は同じだが、ダンパー減衰力、コイルスプリングのレートとも、ハッチバックのほうが大きい。つまり硬い。タイヤサイズも、ハッチバックの方が多少スポーティな「195/55R15」、若干ソフトな足をもつセダンは「185/65R14」を履く。
走ってみると、曲がる・止まるといった走行感覚の差は大きくないが、やはり後部の軽いセダンの方が軽快感があり、乗り心地もよかった。とはいえ先述したように、マイナーチェンジで足まわりに良好なチューンが施されたから、車型は用途や好みによって選べばよいだろう。
(文=笹目二朗/写真=中里慎一郎/2003年12月)

笹目 二朗
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