プジョー206RC(5MT)【ブリーフテスト】
プジョー206RC(5MT) 2003.10.15 試乗記 ……294.0万円 総合評価……★★★★ 世界的なヒットとなったプジョーの「206」シリーズ。WRC(世界ラリー選手権)での活躍を受け、ホッテストモデルが追加された。「S16」をうわまわるスポーティ版「RC」 がそれ。スペックインフレが始まった206最新モデルに、『webCG』記者が乗った!
|
ドラ猫
300psのバケ猫「206WRC」で、2000年からの「世界ラリー選手権」3連覇を果たした“ブルーライオン”ことプジョー。206RCは、ラリーフィールドでの活躍を市販車に投影したモデル。外観のモディファイは、「デュアルエグゾーストパイプ」「大型リアスポイラー」「ヨンマル+17インチ」と玄人好み。一方、室内は革とアルカンタラで大胆に飾られる。
メカクロームの手が入った2リッターツインカム16バルブは、可変バルブタイミングを備えたスペシャルヘッドが与えられ、ノーマル比40psアップ(!)の177psを絞り出す。薄く太いタイヤのグリップを活かし、“曲がり”をグリグリこなす。力強い!!
プジョー車らしく、スロットルのオン/オフにオシリが追従するけれど、しかし、しんなり路面をつかみ続ける従来モデルと比較すると、RCは豪快に後輪をスライドさせるタイプ。プジョーいうところの“猫足”にちなんで述べるなら、図太い“ドラ猫”か。日干しではなく、エイペックスを盗んでく。
|
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
プジョー206は、1998年にデビューしたハッチバック。いわば「106」と「306」に分かれる前のヒット作「205」の後継モデルにあたる。日本へは、1999年からハッチバックの輸入が開始される。そののち、電動格納式ハードトップをもつ「206CC」、ワゴン版「206SW」と、順次ボディバリエーションが増やされた。
2リッターの“チューンド”エンジンを積む最速206「RC」は、2003年9月1日から、わが国での予約受付が始まった。それにともない、日本でのホッテストグレード「S16」はフェードアウトする。
(グレード概要)
206「RC」は、「S16」を超えるスポーティバージョンとして、2002年のパリサロンで発表された。可変バルブタイミング機構を備えたスペシャルヘッドをもつ2リッター直4(177ps、20.6kgm)を搭載。アシまわりも相応に強化された。3ドアハッチ、左ハンドル、5MTのみのモノグレードとなる。ボディカラーは、「赤」「青」「黒」「灰」「白」の5色。リアのシート形状の関係で、乗車定員は4名だ。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
メーターナセルを革で包み、グローブボックスのフタ、ドア内張にアルカンタラを張った贅沢なインパネまわり。パネル本体は樹脂、センターコンソールにはカーボン調パネルが貼られるといった具合に、多様な素材が用いられるが、慎重に色調を合わせ、“子供っぽく”なるのを防いでいる。
スペシャルなスポーティグレードながらトップモデルらしく、「オートエアコン(花粉フィルター付き)」「紫外線&熱線カットフロントガラス」「MDプレイヤー付きラジオ」「雨滴感知式オートワイパー」など、装備充実。ステアリングコラムからは、オーディオコントロール用のレバーが生える。
(前席)……★★★★
レザーとアルカンタラを組み合わせた、これまた贅沢なコンビネーションシート。座面、背もたれとも、大きなサポートが張り出すバケットタイプだ。体に接する部分の形状が平板なのが気になるが、座面長が十分とられ、クッション感高く、座り心地にも配慮される。ちなみに、サイドサポートも柔らかいもので、やんわり抱きしめられる感じ。全体のサイズに余裕があるので、体格がいいホットハッチ好きでも大丈夫。
足下には、RC専用のアルミペダルが光る。
(後席)……★★
ノーマル206より大きいフロントシートのせいで、リアシートの膝前空間はミニマムだが、ヘッドクリアランスはしっかり取られる。大人用として、実用に耐える。座り心地は、たっぷりしたクッションの恩恵で、前席に劣らない。そのうえ形状がバケット調だから、不幸にも“走り屋”の後ろに座ることになっても、ほどほどのホールド性が確保される。後席の定員は、ノーマル206の3名から2名に減らされた。ステーが長く、後頭部まで伸ばせるヘッドレストが頼もしい。
(荷室)……★★★
床面最大幅114cm、奥行き68cm、パーセルシェルフまでの高さは45cm。絶対的な容量はいまひとつだが、スクウェアなカタチで、日常の使い勝手はよさそう。リアシートは分割可倒式かつダブルフォールディング可能だから、必要とあらば大幅にラゲッジスペースを増すことができる。
なおRCは、テイル部下部に巨大な消音器が設置されるので、スペアタイヤをもたない。代わりに、パンク修理剤が積まれる。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
吸排気系を大幅に改良したヘッドメカニズムをもつ2リッター直4。可変吸気&バルブタイミング機構および低背圧のメタル触媒(EMITEC社製)により、「S16」のそれより1000rpm高い7000rpmで40psアップの最高出力177psを、同じく650prm高い4750rpmで20.6kgmの最大トルクを発生する。……と書くと、いかにも高回転型エンジンのようだが、さにあらず。2000rpmで最大トルクの80%を得、ことさら回さずとも本領発揮。もちろん、ビンビン回しても楽しい!!
ギアボックスは、ファイナルが落とされてダッシュを強化。1速のみはギア比が上げられ、66km/hまでをカバー。タイトコーナーを駆け抜ける。テスト車は、走行距離1000km余の新車のためか、シフトフィールは渋め。ストロークは大きく、RCはレバー長を20mm短くしているが、対症治療に過ぎない。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
強化されたエンジンに合わせ、専用チューンが施されたアシまわり。特にリアサスには、トレーリングアームを補強する「ダイアゴナルタイビーム」が追加され、横剛性を飛躍的に高めた。ある種手づくり感ある改良が、独特の迫力を醸す。ショールームほかで、ぜひ206RCの下まわりを覗いて見てください。
乗り心地は硬めだが、「スペシャルモデルだから……」という言い訳不要の快適さは保たれる。デキのいいRECAROシートも、乗員臀部への衝撃をやわらげてくれる。
ハンドリングは豪快で、スロットルのオン/オフで容易に挙動をコントロールでき、かつトリッキーさが減じた。「ESP」のオフスイッチも備わるが、オンでもスポーティ走行は可能だから、切らない方がいい。ローターに喰いつかんばかりのブレーキにも好感。フロントブレーキは、大幅に容量がアップされた。
(写真=清水健太)
|
【テストデータ】
報告者:webCGアオキ
テスト日:2003年10月8日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:1211km
タイヤ:(前)205/40ZR17 84W(後)同じ(いずれもPirelli P7000)
オプション装備:--
テスト形態:クローズドコース&ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):サーキット(2):山岳路(4)
テスト距離:−−
使用燃料:−−
参考燃費:−−

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】 2026.7.17 「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。
-
フェラーリ849テスタロッサ スパイダー(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.7.15 歴史ある車名が与えられた「フェラーリ849テスタロッサ」は、従来型から大幅な進化をとげた高性能スポーツカーだ。では、そのオープントップバージョンの走りはどうか? 日本での発売を前に、フェラーリ通として知られる西川 淳が試乗した。
-
ポルシェ・カイエン ターボ エレクトリック(4WD)【試乗記】 2026.7.15 ポルシェ最新の電動ハイパフォーマンスSUV「カイエン エレクトリック」。そのラインナップのなかでも、最高峰に位置するのが「カイエン ターボ エレクトリック」だ。最高出力1156PS、最大トルク1500N・mという、とてつもないパフォーマンスの一端に触れた。
-
プジョー308 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】 2026.7.14 マイナーチェンジで内外装がブラッシュアップされた「プジョー308 GTハイブリッド」に試乗。大胆なデザインのフロントフェイスに目を奪われるが、ステランティス自慢の1.2リッター直3マイルドハイブリッドを搭載する最新モデルの仕上がりと走りやいかに。
-
日産キックスG(FF)/キックスX e-4ORCE(4WD)【試乗記】 2026.7.13 日産のコンパクトSUV「キックス」が、いよいよフルモデルチェンジ! デザインもパワートレインもプラットフォームも刷新された新型は、見ても乗っても長足の進化が感じられる力作となっていた。日産の再生を担う重要モデルの仕上がりを報告する。
-
NEW
ポルシェ911カレラT(後編)
2026.7.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバルとSTIでクルマの走りを鍛え、モータースポーツにも積極的に取り組んできた辰己英治さん。彼の目に、“スポーツカーの水準器”こと「ポルシェ911」はどのように映ったのだろう? 走りの楽しさを追求した「カレラT」グレードに乗っての印象を聞いた。 -
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】
2026.7.18試乗記ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。 -
人気沸騰「ランクル“FJ”」を手にするもうひとつの方法
2026.7.17サブスク「KINTO」で「ランドクルーザー“FJ”」に乗る<AD>2026年5月に発売されるやオーダーが集中し、受注停止となってしまった「ランドクルーザー“FJ”」。しかし、あきらめるのはまだ早い。“FJ”とのカーライフを実現できる、トヨタの新車サブスクリプションサービス「KINTO」という手段があるのだ。 -
新型「アルピーヌA110」はどんなクルマに? グッドウッドを駆けたテストカーから読み解く
2026.7.17デイリーコラムアルピーヌが次期型「A110」を示唆する「A110フューチャー」を初公開。グッドウッドで走る姿を披露した。そこから分かる未来のA110の姿とは? 電動化がアナウンスされているが、エンジン車の設定はあるのか? 公式発表とテストカーの姿から深掘りする。 -
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】
2026.7.17試乗記「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。 -
写真で解説する新型「日産エルグランド」
2026.7.16画像・写真新型「日産エルグランド」は、日本伝統の美をデザインに生かしながら、同社独自の最新技術を組み合わせて“走りのよさ”も徹底追求したという意欲作。その見どころを写真とともに解説する。





