プジョー206スタイル(5MT)【ブリーフテスト】
プジョー206スタイル(5MT) 2003.02.27 試乗記 ……168.0万円 総合評価……★★★★★欧州気分
ヨーロッパのどこかの飛行場に降りたって、予約しておいたレンタカーを受け取り、空港の外に出る。地図と道路標識を見比べながら、目的地の方角を探っていく。欧州はどこの国でも、飛行場は高速道路に隣接しているから、自分が走っている方向が間違っていないとわかると、ホッとひと安心できるものだ。
そういう時だ。借りたクルマが、1.2リッターから1.4リッター程度と、エンジン排気量の小ささのわりに「パンチのある加速をすること」。「ハンドリングが大衆車らしい素直さを備え、好ましいこと」などに気付かされるのは。
プジョー「206スタイル」に、横浜で開催されたプレス向け試乗会で乗って最初に思い浮かべたのは、ヨーロッパで借りて乗るレンタカーのことだった。
実際、206スタイルの走りっぷりは軽快そのものだ。ハツラツとしている。見た目の印象と運転した印象が、これだけ一致する小型車も珍しい、と思う。コンパクトカーなのにモッサリとしか走らなかったり、装備ばかり豪華に飾り立てるクルマが少なくないなか、206スタイルは小型ヨーロッパ車本来の魅力を体現している。日本に輸入されていないだけのことなのかもしれないが、こういうクルマは最近少なくなったように感じる。ただ、わが国でラインナップされる206スタイルは、5ドアのみ。筆者の個人的な好みだが、より軽快な雰囲気を出すために、3ドアも選べると嬉しい。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
プジョー206は、1998年にデビューしたハッチバック。106と306に分かれる前のヒット作「205」の後継モデルにあたる。2003年2月現在、わが国に導入される206のラインナップは豊富。ボディ形状は、5ドアハッチバック、3ドアハッチバック、電動格納式ハードトップをもつ「206CC」シリーズと、ワゴン「206SW」の4種類。エンジンは、ベーシックな「スタイル」が搭載する1.4リッター、中核をなす1.6リッター、スポーティーな「S16」が使う2リッターの3種類。S16は5段MTのみ、その他モデルにも、4段ATに加えて5段MTが用意される。
(グレード概要)
1996年11月に「306スタイル」が登場して以来、ベーシックなプジョーとして、独特の魅力を発してきたグレード「スタイル」。206では、従来のボトムレンジ「XT」に代わるグレードとして、2003年1月10日に発売された。ボディは5ドアハッチバック、エンジンは1.4リッター直4SOHC8バルブの1種類。トランスミッションは4段ATに加え、5段MTが用意される。ボディーカラーが、「チャイナブルー」「アルミナムグレー」「ルシファーレッド」の3色のみとなるが、装備は充実。1999年型の「XT」と較べて、リアシートヘッドレスト&3点シートベルト(中央含む)、前席サイドエアバッグ、シートリフターなどが追加された。マニュアルエアコンや集中ドアロックなどは、もちろん標準で備わる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
プラスチック然として素っ気ないけど、206のような大衆車では、かえってこういうシンプルなインパネに好感がもてる。マニュアルタイプのエアコンや、リアの窓ガラスが電動ではなくて、手回し式な点もヨーロッパのコンパクトカーらしい。
(前席)……★★★★★
新デザインというスポーツシートが、抜群にいい。硬すぎず、軟らかすぎず、車両価格が安いのにクッションがたっぷり詰まっていて快適。サイドサポートがきいていて、クルマがどんな状態にあっても身体をホールドしてくれる。
(後席)……★★★★
安いクルマのリアシートはコストダウンが図られて、たとえフロントシートのできがよくても、後ろも同じとは限らないもの。しかし、206スタイルは別だ。大人が快適に座れて、頭上、膝前の空間も十分にある。
(荷室)……★★★★
リアシートは、2対1に分割して倒すことができるので便利。荷室自体の広さは、床面最大幅約115cm、奥行き約70cmと、ボディサイズにしては十分ある。シェルフまでの高さは約45cmだから、もう少し深さが確保されていれば、言うことはなかったのだが。リアシートとラゲッジルームの使い勝手のバランスがいいことに感心。同クラスの日本車に較べればパッケージングに優れると思う。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
5段MTのクラッチは踏力が軽い。ストロークが長めだが、シフトはスコスコ決まる。マニュアルシフトの煩わしさはどこにもない。むしろ、エンジンのトルクをダイレクトにタイヤに伝える様子が、運転する快感となって伝わってくる。
1360ccの4気筒エンジンは、74psと12.2kgmのトルクしかない。しかし、1000kgという軽い車重が奏功してか、数値以上の力強さが感じられた。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
小さく軽いクルマなのに、しっとり、ジンワリした乗り心地はお見事。日本の小型車でときどき見られる、ペナペナと安っぽく、ピョンピョン跳ねるような乗り心地とは対照的だ。低中速域では軽快にキビキビ走り、高速では安定している。
(写真=清水健太)
【テストデータ】
報告者:金子浩久
テスト日:2003年1月22日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:--km
タイヤ:175/65R14 82T
オプション装備:オーディオ(3.0万円)
走行状態:市街地(8):高速道路(2)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

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