トヨタ・ランドクルーザープラドTZ“Gセレクション”(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ランドクルーザープラドTZ“Gセレクション”(4AT) 2003.05.28 試乗記 ……444.2万円 総合評価……★★★
|
いまどきの本格派SUV
モノコックボディの“乗用SUV”が多いなか、「ランドクルーザープラド」は頑なに、フレーム式ボディとリジットのリアサスペンションを守る本格派である。本格派といえども、豪華装備や高級車のような雰囲気のインテリアは、いまや常識。このプラドも、そんないまどきのSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)なのだ。
この手のクルマは、性能を使いこなしてこそ楽しいもの。いいかえれば、使い手を選ぶクルマなのである。オフロードに頻繁に通う人にとってはなんとも頼もしく、豪華で快適なクルマだが、オフロードに縁のない人にとっては宝の持ち腐れ。そればかりか、乗り心地や乗降性など、ふだんの生活で我慢を強いられる場面も多い。それを承知で使うなら何もいわないが、ファッションで乗るなら別の選択肢を当たったほうが無難だと思う。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
トヨタを代表するクロスカントリー「ランドクルーザー」より、一まわり小さい4×4が「プラド」。現行モデルは、2002年10月7日にフルモデルチェンジした3代目。プラットフォームを「ハイラックス サーフ」(こちらは4代目)と共用し、高級&上質指向のプラド、若者向けのサーフとキャラクターが分けられる。サーフは5ドアモデルのみだが、プラドは5ドアに加え、3ドアもラインナップする。
本格4×4モデルでも、今はモノコックシャシーと4輪独立サスペンションが主流だ。しかし、新型プラドはラダーフレームを新開発。サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リアはリジッド式である。エンジンは、2.7リッター直4DOHC16バルブ(150ps/4800rpm、24.0kgm/4000rpm)と、3.4リッターV6DOHC24バルブ(185ps/4800rpm、30.0kgm/3600rpm)のガソリンエンジンに加え、コモンレール式ディーゼルの3リッター直4DOHCターボ・インタークーラー付き(170ps/3400rpm、35.9kgm/1400〜3400rpm)の3種類。トランスミッションはすべて4段ATとなる。ラフロードの急な下り坂で速度を一定に保つ「アクティブTRC」をはじめ、様々な電子デバイスが備わった。
(グレード概要)
「TZ」は、電子制御エアサスペンションを備える、プラド5ドアモデルの最上級グレード。“Gセレクション”は、悪路走行時に威力を発揮する電子制御デバイス「VSC・アクティブTRCシステム」などを装備する豪華版である。ステアリングホイールやインストルメントパネルには、木目“調”ではなく本木目を使用。シート表皮はもちろん本革だ。装備品として、9つのスピーカーと、インダッシュ式6連奏CDチェンジャー&MDプレーヤーを装備する。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(装備+インパネ)……★★★
たぶん写真だけ見ると、SUVというよりも、ちょっとした高級セダンという雰囲気が漂うプラドのインパネ。文字や針が浮き上がって見える“オプティトロン”メーターや、レザー&ウッドのステアリングホイール、そしてウッドパネルなどが高級感を演出する。一方、中央のメタル調パネルが唯一スポーティな印象だが、ウッドパネルとのバランスがいまひとつ。中途半端な感じがする。全部ウッドまたは、メタル“調”でなく本物のアルミパネルで統一したら、かなり雰囲気は変わるのに……。
(前席)……★★★
以前より低くなったとはいえ、フロアやシートは依然高い位置にある。スッと乗るわけにはいかないが、これが“本格SUVの証”と思えば納得がいくというものだ。今回試乗した「TZ“Gセレクション”」には本革シートが奢られ、ゆったりとしたサイズといい、座り心地といい、下手な高級車顔負けである。大型のコンソールボックスやドリンクホルダーなどの使い勝手はいい。
(2列目)……★★★
フレーム付きのボディでありながら、室内高が十分確保されており、前席はもちろんのこと、2列目、3列目のどこに座ってもヘッドルームには余裕がある。2列目は足下のスペースも広大だから、大人でも十分くつろげるはずだ。
(3列目)……★★
3列目は立派なシートクッションの割に足下は狭く、膝が前のシートバックに当たるため、長時間大人を座らせるには無理がある。あくまで緊急用、または、子供用と割り切ったほうがいい。
(荷室)……★★★★
横開きのリアドアを開けると、ラゲッジスペースの奥行きはわずか30cm……。もちろんこれは、3列目のシートを使用する場合のこと。3列目を横に跳ね上げた状態を普通と考えれば、奥行きは100cmまで拡大し、広大な空間が現れる。地上からフロアまで80cmほどの高さがあるため、重量物を積むには苦労するかもしれないが、大抵の物を飲み込んでしまう頼もしい荷室である。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
搭載される3.4リッターV6は、スペックこそ185ps、30.0kgmと控えめな印象だ。しかし、いざ走り出すと、1.8トン強のボディには必要十分という感じ。特に低中回転域で豊かな排気量の恩恵が体感できる。反面、回転を上げるとノイズが高まる割には気持のいい加速は得られないが、もともとスポーティなドライビングを求めていないのだから、これはこれでいいワケである。なお、試すチャンスはなかったが、このモデルにはダウンヒル制御機構が標準で装着される。急な下り坂で、自動的かつ断続的にブレーキをかけ、一定の速度でのダウンヒルを可能にする機能だ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
SUVの場合、本格的なオフロード走行を考えると、どうしてもサスペンションはソフトなセッティングにせざるを得ない。しかし、それでは一般道や高速では心許ないことが多く、その解決策としてエアサスペンションを採用するのは常套手段だ。
このグレードには、減衰力を調節できるエアサスペンションが標準で装着されるが、“コンフォート”や“ノーマル”ではソフト過ぎ、かといって“SPORT”だとゴツゴツした印象を受け、なかなか快適なセッティング見つからなかった。
トルセンデフをセンターデフとして採用するフルタイム4WDは、常識的なスピードでコーナリングするかぎりはくせのない自然なハンドリングをもたらす。
(写真=郡大二郎)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2003年3月18日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2002年型
テスト車の走行距離:7020km
タイヤ:(前)265/65R17 112Q(後)同じ(いずれもブリヂストン ブリザックDM-Z3)
オプション装備:SRSサイドエアバック&カーテンシールドエアバック(8.0万円)/クールボックス(6.0万円)/スーパーライブサウンドシステム(DVDボイスナビゲーション付きEMV仕様、カラーバックモニター付き(31.2万円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(4):山岳路(3)
テスト距離:308.4km
使用燃料:49リッター
参考燃費:6.3km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
-
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】 2026.7.17 「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。
-
フェラーリ849テスタロッサ スパイダー(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.7.15 歴史ある車名が与えられた「フェラーリ849テスタロッサ」は、従来型から大幅な進化をとげた高性能スポーツカーだ。では、そのオープントップバージョンの走りはどうか? 日本での発売を前に、フェラーリ通として知られる西川 淳が試乗した。
-
ポルシェ・カイエン ターボ エレクトリック(4WD)【試乗記】 2026.7.15 ポルシェ最新の電動ハイパフォーマンスSUV「カイエン エレクトリック」。そのラインナップのなかでも、最高峰に位置するのが「カイエン ターボ エレクトリック」だ。最高出力1156PS、最大トルク1500N・mという、とてつもないパフォーマンスの一端に触れた。
-
プジョー308 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】 2026.7.14 マイナーチェンジで内外装がブラッシュアップされた「プジョー308 GTハイブリッド」に試乗。大胆なデザインのフロントフェイスに目を奪われるが、ステランティス自慢の1.2リッター直3マイルドハイブリッドを搭載する最新モデルの仕上がりと走りやいかに。
-
日産キックスG(FF)/キックスX e-4ORCE(4WD)【試乗記】 2026.7.13 日産のコンパクトSUV「キックス」が、いよいよフルモデルチェンジ! デザインもパワートレインもプラットフォームも刷新された新型は、見ても乗っても長足の進化が感じられる力作となっていた。日産の再生を担う重要モデルの仕上がりを報告する。
-
NEW
ポルシェ911カレラT(後編)
2026.7.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバルとSTIでクルマの走りを鍛え、モータースポーツにも積極的に取り組んできた辰己英治さん。彼の目に、“スポーツカーの水準器”こと「ポルシェ911」はどのように映ったのだろう? 走りの楽しさを追求した「カレラT」グレードに乗っての印象を聞いた。 -
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】
2026.7.18試乗記ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。 -
人気沸騰「ランクル“FJ”」を手にするもうひとつの方法
2026.7.17サブスク「KINTO」で「ランドクルーザー“FJ”」に乗る<AD>2026年5月に発売されるやオーダーが集中し、受注停止となってしまった「ランドクルーザー“FJ”」。しかし、あきらめるのはまだ早い。“FJ”とのカーライフを実現できる、トヨタの新車サブスクリプションサービス「KINTO」という手段があるのだ。 -
新型「アルピーヌA110」はどんなクルマに? グッドウッドを駆けたテストカーから読み解く
2026.7.17デイリーコラムアルピーヌが次期型「A110」を示唆する「A110フューチャー」を初公開。グッドウッドで走る姿を披露した。そこから分かる未来のA110の姿とは? 電動化がアナウンスされているが、エンジン車の設定はあるのか? 公式発表とテストカーの姿から深掘りする。 -
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】
2026.7.17試乗記「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。 -
写真で解説する新型「日産エルグランド」
2026.7.16画像・写真新型「日産エルグランド」は、日本伝統の美をデザインに生かしながら、同社独自の最新技術を組み合わせて“走りのよさ”も徹底追求したという意欲作。その見どころを写真とともに解説する。


































