【スペック】全長×全幅×全高=4730×1845×1680mm/ホイールベース=2715mm/車重=1600kg/駆動方式=FF/2.4リッター直4DOHC16バルブ(160ps/5600rpm、22.5kgm/4000rpm)/車両本体価格=262.0万円(テスト車=301.7万円)

トヨタ・ハリアー240G“Lパッケージ”(FF/4AT)【ブリーフテスト】

トヨタ・ハリアー240G“Lパッケージ”(FF/4AT) 2003.04.15 試乗記 阪 和明 ……301.7万円 総合評価……★★★


SUVのクラウン

そこそこ静粛、なかなか安楽、とても快適。2.4リッターFF(前輪駆動)版の新型「ハリアー」を、大雑把に表現するとこうなる。それこそ“SUVのクラウン”だ。生活をするうえでの良きパートナーとして歓迎したいクルマといえる。先代に較べてボディが大きくなったにしても、取りまわしは悪くないし、なんだか空気というか水みたいな存在で、すんなりと受け容れられる素直な性格の持ち主だ。
ただ、“超”がつくほど静かな3リッターモデルを知ってしまうと、2.4リッターモデルの存在そのものに疑問を抱かないわけでもない。「背の高いクルマがどうしても好き」というのならともかく、これなら普通のセダンでいいと思うのだ。個人的にはハリアーが欲しいのなら、3リッターのエアサスペンション付き、「AIRS」の4WD仕様を薦めたい。



【概要】どんなクルマ?

(シリーズ概要)
1998年に登場した乗用車ベースのSUV。北米ではレクサスRX300として販売され、大ヒットとなった。現行モデルは、2003年2月17日にフルモデルチェンジを受けた2代目。
新型は、リアハッチゲートの傾斜を強め、スタイリッシュを演出。ボディサイズは拡大され、全長×全幅×全高=4730(+155)×1845(+30)×1680(+15)mm、ホイールベースは2715mm(+100)(カッコ内は先代との差)の堂々たる体躯となった。エンジンラインナップは従来と変わらず、2.4リッター直4 DOHC16バルブ(160ps/5600rpm、22.5kgm/4000rpm)と、3リッターV6 DOHC24バルブ(220ps/5800rpm、31.0kgm/4400rpm)の2種類。3リッターにのみ5段ATが組み合わされ、2.4リッターは従来通りの4段ATとなる。駆動方式はFF(前輪駆動)と、4WDが用意される。
新型の目玉技術は、衝突時の被害を軽減する「プリクラッシュセーフティ」(AIRSにオプション設定)。フロントのミリ波レーダーが前方障害物への衝突可否を判断し、不可避なら前席シートベルトをモーターで巻き取り、乗員をシートに固定。ブレーキペダルの踏み込みと同時にブレーキアシストを作動させ、衝突ダメージを最小限に食い止めるという。
(グレード概要)
新型ハリアーのラインナップは、ベーシックな「240G」、3リッターV6を積む「300G」と、トップグレード「AIRS」の3種類。それぞれにFFと4WDが設定され、240Gと300Gには、装備が充実する“Lパッケージ”と“プレミアムLパッケージ”が用意される。
「240G“Lパッケージ”」は、ベーシックグレードに装備を充実させたグレード。具体的には、シート生地がトリコットからジャガード織物になり、サスペンションのオートレベリング機能や、ステアリングオーディオスイッチなどが追加される。



トヨタ・ハリアー240G“Lパッケージ”(FF/4AT)【ブリーフテスト】の画像 拡大


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クリックするとシートアレンジが見られます

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【車内&荷室空間】乗ってみると?

(インパネ+装備)……★★★★
家庭で使うミニコンポがそのまま組み込まれたような、インストルメントパネルのデザインは好みの分かれるところ。オトナ向けのクルマにしてはいささか派手か。もう少し落ち着いた雰囲気がほしい。もっともエアコンやオーディオ、ナビゲーションシステム関係の操作性は上々で、機能的には不満ない。いかにもトヨタ車らしく、装備の充実ぶりは大したものだ。トップグレード「AIRS」のように、ステアリングに連動するヘッドライトやエアサスはないけれど、実用的な有効装備はほぼ付いてくる。
(前席)……★★★
クルマの性格上、当然のことながらシートの座面は高く視界がすこぶるよい。SUVとしてはフロアは低めながら、乗降性はそれほどよいものではなく、小柄な人だとシートに腰を落ち着けるときに「よっこらしょ」なんて声も聞かれそうだ。
ファブリック地のシートそのものは、可もなく不可もなくといったところ。肩周辺のサポートはそれほどしっかりしていないが、街なかで使用するぶんには不満はない。天井とドライバーの頭とのクリアランスもたっぷりしているので、ゆったりとした気分で運転できるのが嬉しい。小物入れの数はまずまず。とはいえ、ドライバーが使うことを前提にするなら、自然と手の伸びる位置にないのが残念。センターコンソール部の深い小物入れは、前席で利用するには後ろ寄りすぎる。
(後席)……★★★★
とても広い。身長170cm弱のドライバーのうしろに座った場合、足元のスペースは充分以上である。それも、前後にスライドするシートをいちばん前にした状態での話。逆にうしろまで下げれば、それこそリムジンもかくや、というほど空間はぐんと広がる。ヘッドルームのゆとりも申し分なく、しっかりくつろげる。4:2:4分割可倒式シートバックの中央部分は張りがありすぎるので、真ん中に座るには我慢が必要。あくまでハリアーの乗車定員は4人と考えたほうがいい。
(荷室)……★★★
スライド機構を持つシートだから、荷室容量はリアシートをどの位置にするかによって左右される。しかし、乗員を優先するポジションを取ったとしても、けっして狭くないだけの荷室は確保されている。床下収納も完備しているから、整理整頓の苦手な人でもきちんと物を収められそうだ。

【ドライブフィール】運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★
1620kgもあるボディとなると、2.4リッター直4は非力な印象は否めない。通常街中で走らせるにはそれほど痛痒を感じないが、山坂では明らかにパワーが足りない。それを補うべく走るには、どうしても回転が上がり気味になるので、少々うるさい感じがするのが惜しい。
とはいえ、この静粛性に関しては、3リッターV6搭載車に比較すればの話であり、4気筒ユニットとしてみれば充分にできがよい。3000rpm以下だと、エンジンがまわっていないのではないかと思うくらい静かである。だから、100km/hあたりでのクルージングはとても快適だ。4段ATのトランスミッションは、とくに印象的なところはない。つまり、気になるところはないものの、素晴らしいというものでもないということだ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
エアサスペンションではなく普通のコイルスプリング仕様だが、乗り心地はきわめてよい。段差を越えるときの突き上げは感心させられるほど少ない。上質なクルマに乗っている実感がある。オールシーズンタイヤを装着しているせいか低速ではほんのわずかにドタバタするも、サスペンションの基本的な味付けはソフトだ。コーナーでのボディの傾きは少なくないが、不安感はない。積極的に飛ばすクルマではないが、3リッターモデルよりも鼻先が軽いだけに、SUVにしては軽快なフットワークといえるだろう。

(写真=清水健太)

【テストデータ】

報告者:阪和明(CG編集局長)
テスト日:2003年3月12日から13日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:1710km
タイヤ:(前)225/65R17(後)同じ
オプション装備:SRSサイドエアバッグ(前席)&SRSカーテンシールドエアバッグ(前後席)=8.0万円/DVDボイスナビゲーションTV付きエレクトロマルチビジョン+音声ガイダンス機能付きカラーバックガイドモニター=31.7万円
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(5):高速道路(4):山岳路(1)
テスト距離:139.2km
使用燃料:18.5リッター
参考燃費:6.5km/リッター

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