「なぜ輸入車のウインカーレバーは左にある?」

2011.10.15 クルマ生活Q&A 松本 英雄 その他

「なぜ輸入車のウインカーレバーは左にある?」

輸入車の右ハンドル仕様では、ウインカーレバーがステアリングコラムの左側から出ていますね。どうして日本車と同じように右側にしないのでしょうか?
おそらく左ハンドル仕様のままだからだと思うのですが、もし日本車の左ハンドル仕様のウインカーレバーが右側のままだったら、間違いなく輸出先からクレームがきて改善することと思います。なぜ輸入車は改めないのでしょう? 日本市場が欧米から軽く見られているからでしょうか?

輸入車の右ハンドル仕様のウインカーレバー/スイッチ(以下ウインカー)がステアリングコラムの左側から出ているのは、「ハンドル位置の左右にかかわらずウインカーは左側、ワイパーは右側」とISO(国際標準化機構)の規格で定められているからです。ですから、イギリスなど左側通行の国に輸出される日本車は、右ハンドルでも日本における輸入車と同様にウインカーは左側にあります。イギリスで販売されている、日本車以外の右ハンドル車も同様です。ISO規格が定められる以前は、日本国内で販売されている日本車と同様に、右ハンドルで右ウインカーの外国車もありましたが、現在では原則として右ハンドルでも左ウインカーとなっています。

ではなぜ日本で販売されている日本車のウインカーは右側かというと、JIS(日本工業規格)でそう定められているからです。さらに、これまたややこしいことなのですが、日本と同様に左側通行のオーストラリアなどで生産されているクルマにも、右ウインカーのモデルがあるそうです。さきほど「現在では原則として右ハンドルでも左ウインカー」と記したのは、そういう例外があるからです。

例外といえば、かつて日本に正規輸入されていたアメリカのサターンや韓国のヒュンダイは、右ウインカーに改めていました。それだけ日本市場への進出を本気で考えていたのでしょうが、結果的には成功を収めることはなく、撤退してしまいました。

長くなりましたが、輸入車が右ハンドルでも左ウインカーのままなのは、こうした理由によるものです。しかし、やはり左手で操るシフトレバーやセレクターと同じ側にウインカーがあるのは非合理的だという意見もあるようで、将来的にはISO規格の見直しもあるかもしれません。

松本 英雄

松本 英雄

自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。