ホンダ・インテグラ タイプR(プロトタイプ)【試乗記】
S2000よりも早く 2002.12.28 試乗記 ホンダ・インテグラ タイプR(プロトタイプ) 「Exciting Coupe」を謳うホンダのハッチバッククーペ、ニューインテグラ。2001年のデトロイトショーでは、「アキュラRSX」として披露された。その国内モデルの公式デビューに先立ち、レーシングドライバー清水和夫が、北海道のテストコースで、高性能版こと2代目「タイプR」のプロトタイプをテストした! Kazuo's FAST! Impressionをお届けする。会員コンテンツ「Contributions」より再録。徹底した軽量化
「2リッター、220psのエンジン、6段MT、ブレンボのブレーキと17インチホイールの組み合わせ。ホンダの走りも健在だ」。これが私の第一印象であった。最近ではもっぱらミニバンを得意とするホンダであるが、久しぶりに気持ちがスカッとするスポーツモデルが誕生して、私は嬉しかった。
こんどのインテグラは、1985年に登場した初代から数えて4世代目にあたる。新型シビックのプラットフォームを使いながら、ホイールベースを2570mmに縮めたクーペモデルである。プレリュードがなくなったので、ホンダで唯一生き残ったスペシャルティカーなのだ。
今回テストしたタイプR(プロトタイプ)は、衝突安全性能で世界トップレベルを実現し、かつ、走りを高めるための軽量化が徹底的に行われた。たとえば新たに採用された2リッター「i-VTEC」ユニットは、旧1.8リッターと比較して、10kg軽く、長さは50mm短い。6段MTは、2.5kg軽く、20mm幅が狭い。アルミキャリパーは、前後合わせて1台で3.6kg軽くすることができたという。
ハンドリングとエンジンの気持ちよさ
1179kgで220ps。パワー・トゥ・レシオでいえば、S2000より速く、NSXに匹敵するパフォーマンスとなる。2リッターツインカムは、高回転まで“回りきる”ホンダらしい自然吸気のスポーツユニットだ。220ps/8000rpmの最高出力と、21.0kgm/7000rpmの最大トルクを発生。トルクもあるし、速度の伸びる感じが気持ちが良い。軽量フライホイールを使用する。
テスト車は、「タイプR」とはいえ、ヒドイ乗り心地ではなかった。215/45R17のサイズを採るタイヤは、ドライ路面でのグリップのみならず、ウェット性能やコンフォート性も考慮された。ニュータイプRは、ロードカーとして十分快適に使える。
ハンドルを切ると、ハイパワーFF車ゆえのトルクステアがすこし気になるものの、シャープなハンドリングは期待通り。そのうえ、ボディやサスペンションの剛性感の高まりは、旧モデルと比較にならない。本格的なスポーツカー、S2000やNSXと乗り較べても、遜色ないレベルだ。スバル・インプレッサや三菱ランサーのスポーツグレードにはない軽快なハンドリングとエンジンの気持ちよさは、“ホンダならでは”といっていいだろう。超お奨めモデルだ。
(文=清水和夫/写真=本田技研工業/2001年5月14日)
