ダイハツ・ミラジーノ1000X FF(4AT)【ブリーフテスト】
ダイハツ・ミラジーノ1000X FF(4AT) 2002.12.20 試乗記 ……122.8万円 総合評価……★★「軽自動車」以上「普通車」未満
「ミラ」のレトロ調モデル「ミラジーノ」のリッター車版。輸出用モデルの国内専用モデルでもある。シートベルトには、日本語ほか、英、仏、独、アラビア語で注意が記載される。日本仕様には「ジーノ」として、豪華なメッキバンパーやモール類で付加価値が付けられた。けっして「MINIもどき」ではなく、「コンパーノ風」なので、そこんとこヨロシク。
ドライビングポジションは、当たり前だが、“軽”の「ミラ」と変わらない。低い位置からコラムが生えるウッドリムのステアリングホイールを握ると、ダッシュボード上面を見下ろせ、ボンネットもまる見え。プロテインレザー製のシート、多用される木目調パネルなどと併せ、運転していると不思議な“オモチャ感”がある。楽しい。
ドライブフィールは、「軽にリッターエンジンを載せた」という成り立ちそのまま。軽自動車に大きなエンジンを積んだからといって普通乗用車になるわけではない。しかし実用と割り切るならコレで十分ともいえるわけで、クルマの存在意義を考えるうえである種の示唆に富む。現実問題としては、「トヨタ・ヴィッツ」や「ダイハツ・ストーリア」という身内モデルが立ちはだかる。
|
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
ダイハツの基幹モデルである軽自動車「ミラ」に、1リッター直3ユニットを載せた普通車版。「ミラジーノ1000」の名前で2002年8月23日に登場した。前後大型メッキバンパー、メッキモール、メッキホイールアーチでボディが飾られる。車内では、2眼ホワイトメーター、ウッドステアリングホイール、プロテインレザーシートなどが採用された。トランスミッションは4段ATのみ。FF(前輪駆動)ほか、4WDモデルも用意される。
(グレード概要)
ミラジーノ1000には、バーシックバージョンと装備が充実した「X」の2種類がラインナップされる。Xは、インチアップされた14インチアルミホイールを履き、オーディオにラジオ、CD、さらにMDが加わる。そのほか、ドアミラーが電動格納式になり、リアドア、バックウィンドウがスモークドガラスになるのが違いだ。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★
木目調パネルで精一杯“豪華”を演出したインストゥルメントパネル。さらにステアリングホイールもウッドとレザーのコンビネーション仕様で、コテコテ度に拍車をかける。善し悪しはともかく、アジアンテイストに通ずる独特のパワーを感じさせるインパネまわりだ。アイボリー地のメーターが、場違いに(?)上品。テスト車にはナビゲーションシステムが搭載されるが、全“手動”式でディスプレイを引き出すと、オーディオのスイッチ、ダイヤル類が隠されて、絶望的に使いづらくなる。
(前席)……★★
ちんまりと小さいサイズのシート。スライド、リクライニング調整のみのシンプルなもの。ヘッドクリアランスを十分にとるためか、着座位置は低い。クッションの硬さは中庸なのだが、腰がなくあいまいに体が沈む印象。プロテインレザーは通気性が悪く、背中にジットリ汗をかく。
(後席)……★★
狭い膝前空間を有効活用するため、足をあまり前に出さないでも座れるよう、座面の高さを上げたリアシート。それでも、足先は前席の下に入れることになる。一方、頭上の空間は、着座位置のせいで、四角いボディからは意外なほど小さい。とはいえ、ミラジーノ1000のリアシートは、余裕はないが、スペース面からは大人用として実用に耐える。気になるのは、3点式シートベルトは備わるものの、ヘッドを支えるのに用をなさないヘッドピローだ。追突されたときが心配。
(荷室)……★★
リアサスのダンパーをスプリングと別体にして斜めに配し、荷室への侵入を防いだミラジーノ。小さいボディを最大限活用するための工夫のひとつだ。それでも生じた、むかって左の出っ張りは、燃料パイプの通り道である。床面最大幅115cm、奥行き55cm、パーセルシェルフまでの高さは40cm。リアシートの背もたれは、一体で前に倒すことも可能。キレイにフラットにはならないが、奥行きは120cm前後まで拡大、シェルフを外せば、臨時に大きなモノを運ぶことはできる。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
ビンビンと元気に回る3気筒ユニット。遮音、防音材の使用が限られるクルマゆえ、急いで走るとウルサイ。活気に溢れてる、ともいえる。
4段ATはとりたてて賢いシフトプログラムがインストールされているわけではない。急な登り坂でもギアがトップに入ることがあるので、マニュアルで3速に固定する必要がある。そのためか、「D4」と「3」の間は、レバーのボタンを押すことなく、フリーで行き来できる。なお、ミラジーノ1000のFF車は、「平成12年基準排出ガス75%低減レベル」および「2010年新燃費基準」に適合した。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
舗装の荒れた街なかでの乗り心地はいまひとつ。絶対的には短いホイールベースと、14インチのポテンザに合わせて硬められた足まわりゆえか、ヒョコヒョコ上下に短く揺すられる。高速道路でも継ぎ目でのショックは大きい。
一方、ステアリングホイールの重さは適当で、ハンドリングも安定方向に振られた素直なもの。スロットルをオフにしたときの挙動の変化は少ない。リアの追従性の悪さが気になるが、そこはクルマの性格上、切り捨てられた部分なのだろう。いうまでもなく、おとなしい運転をすると予想される女性ユーザーがメインターゲットだ。
(写真=清水健太)
|
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日: 2002年10月16−17日
テスト車の形態: 広報車
テスト車の年式:2002年型
テスト車の走行距離:1890km
タイヤ:(前)165/55R14 72V(後)同じ(いずれもブリヂストン・ポテンザRE030)
オプション装備:コンパクト・ナビゲーションシステムIII+AM/FM付CDステレオ&16cmフロントスピーカー(7.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:高速道路(5):市街地(3):山岳路(2)
走行距離:374.7km
使用燃料:40.1リッター
参考燃費:9.3km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
アウディQ3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト(4WD)【試乗記】 2026.8.31 フルモデルチェンジした「アウディQ3スポーツバック」に試乗。プラットフォームやパワートレインこそ従来型の改良版ではあるものの、内外装のデザインやインフォテインメント、効率性のすべてにおいて大幅な進化を遂げたという。その仕上がりやいかに。
-
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)【試乗記】 2026.8.29 「トヨタbZ4X」にワゴンのようなロングボディーを持つ「ツーリング」が登場。ただ長くなっただけではなく、今回試した4WDモデルではパワーもアップ。乗り味にも微妙な影響を及ぼしているから見逃せない。経路充電を試しつつ、370km余りをドライブした。
-
BMW 120オリジナル(FF/7AT)【試乗記】 2026.8.25 BMWの主要モデルに新グレードの「オリジナル」が設定された。位置づけとしては新たなエントリーグレードということになるが、BMWらしさを損なうことなく装備を厳選し、価格を抑えたのがポイントだという。「1シリーズ」の「120オリジナル」の仕上がりをリポートする。
-
トライアンフ・スラクストン400(6MT)【レビュー】 2026.8.25 カフェレーサーの本場である、イギリスのトライアンフがリリースした「スラクストン400」。車名のとおり、カジュアルに楽しめる400ccクラスのマシンではあるのだが、その実物からは、エントリーモデルとは思えない本物の香りが漂っていた。
-
スズキeスカイ プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2026.8.24 スズキが満を持して世に問う、軽規格の新型電気自動車「eスカイ」。軽乗用車の本質である、生活の足としてのちょうどよい性能を追求したという一台は、どのようなクルマに仕上がっているのか? 2026年秋の正式発表を前に、プロトタイプモデルに試乗した。
-
NEW
第127回:新型BMW X5(後編) ―迷走するBMW 結局アナタは“ノイエクラッセ”でなにがしたかったの?―
2026.9.2カーデザイン曼荼羅その姿が明らかとなるや、賛否両論を巻き起こしている新型「BMW X5」。このクルマは既存のBMW製SUVとはなにがちがうのか? そもそもBMWは“ノイエクラッセ・デザイン”になにを託していたのか? カーデザインの識者と、迷走するBMWの明日を探った。 -
NEW
BMW X1 sDrive20iオリジナル(FF/7AT)【試乗記】
2026.9.2試乗記BMWのコンパクトSUV「X1」に新グレードの「オリジナル」が登場。走りの楽しさをはじめとしたBMWらしさをキープしつつ、装備の厳選によって価格抑制を図った新たなエントリーグレードだ。都市部におけるドライバビリティーとユーザービリティーをリポートする。 -
スポーツカーに未来はあるか?
2026.9.1あの多田哲哉のクルマQ&A年々、開発環境が厳しくなるといわれるスポーツカーは、この先も存在しうるのか? トヨタのエンジニアとしてさまざまなスポーツカーを開発してきた多田哲哉さんに“未来のスポーツカー像”を聞いた。 -
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】
2026.9.1試乗記2020年のデビュー以来、間断なく進化を続けてきたコンパクトスポーツの「トヨタGRヤリス」。一般ユーザーの間ではもちろん、コンペティションの世界でもチューニングのかいわいでも光を放つ一台は、2026年モデルでどう進化したのか? その走りを報告する。 -
“自然を連想する車名”の名車特集
2026.9.1日刊!名車列伝暑さが和らぐ一方で、台風シーズンとも呼ばれる9月。その風をはじめ、星座、景観など自然を連想させる名前が与えられた、世界の名車を日替わりで紹介します。 -
興味があるのはたったの3割!? 自動車業界を揺るがすSDVやAIって本当に必要なの?
2026.8.31デイリーコラム自動車も、スマホのように機能がアップデートできるようになる! ……ということで注目されるソフトウエアディファインドビークル(SDV)だが、日本のユーザーの多くが「いらない」と思っていることが判明! 急速に進むデジタル技術の、必要性について考えた。































