プジョー307SW(4AT)【試乗記】
日本車化の尖兵 2002.09.14 試乗記 プジョー307SW(4AT) ……278.0万円 2002年8月29日、プジョーの中核モデル「307」シリーズに、ガラス製の天井「パノラミックルーフ」をもつ3列シートのワゴン「SW」が追加された。307のオリジン「プロメテ」にもっとも近い新型に、長野県は白馬でwebCG記者が試乗した。意外にデカい
2002年9月3日と4日にわたり、プジョー「307」シリーズの新型2車種のプレス向け試乗会が、長野県は白馬で開かれた。2002年8月29日に追加された、コンベンショナルなワゴン「307ブレーク」と、天井の前半分以上がガラスでできた「パノラミックルーフ」をもつ3列シート版「307SW」である。
プジョーの中核モデル「307」は、2000年9月開催のパリサロンでお披露目されたプジョーのコンセプトカー「プロメテ」の市販バージョンだ。しかし、プロメテのデザインアイデンティティの1つだった、フロントスクリーンからつながるガラスの天井「グラスルーフ」は実現されないままだった。今回発売された307SWで、それが(ほぼ)実現した。つまり307SWは、もっともプロメテに近いモデルといえる。
SWとブレークのボディサイズは、いずれも全長×全幅×全高=4420×1760×1585mm。ハッチバックと較べると、全長で210mm長くなった。とはいえ、リアのオーバーハングを延ばしただけではない。シャシーをストレッチし、ホイールベースを110mm延長して、2720mmとした。本格的なのだ。
ブレークが一般的な2列シートを採ったのに対し、SWは3列シートで、2+3+2の7人乗り。307はもともと、モノフォルムボディや高いルーフラインにより、「ゴルフ」などの一般的なハッチバックとは一風異なっていた。「ハッチバック」と「ミニバン」の融合が、そもそも307シリーズのテーマだから、その意味でも307SWは、コンセプトに忠実だ。
コンパクトミニバンの先輩、日本車と比較すると、トヨタ「カローラ・スパシオ」と「イプサム」の中間サイズに位置する。ホンダ「ストリーム」(4550×1695×1590mm)に一番近い。ちなみに、スパシオのボディサイズは4240×1695×1610mm、イプサムは4650×1760×1660mmである。
価格は、国産の2台が、それぞれ149.7〜188.7万円と204.0〜283.0万円。SWは276.0万円。なかなかガンバッタ値付けだ。
新幹線に乗り、長野に到着する。田中康夫氏の知事再選とダム論争に湧くメディアの世界とはうらはらに、静かでノンビリとした地方都市だった。初日は長野駅から307ブレークの1.6リッターモデル「Style Break」に乗って、約60km離れた白馬のホテルを目指した。
ハナシが前後するが、307SWの“SW”は、「ステーションワゴン」「スポーツワゴン」「スペースワゴン」といった、複数の意味がこめられる。ニューモデルの多様性を感じてもらおうと、高原のリゾート地が国内ローンチの場所に選ばれたのだ。
森のなかの別荘地を抜けると、欧風のリッパなホテルが現れる。建物の前には、自転車を屋根に積んだSW、ブレーク、そして日本ではまだ発表されていない、「206SW」が並べられていた。307SWのルーフレールは、プジョーのマウンテンバイクが載せられ、リゾート気分を盛り上げる。カタマリ感のある307ハッチバックと較べると、全長の長いSWのほうが、ノーズから傾斜の強いAピラーへの流れが綺麗だ。実物は意外にデカい。
ワゴンに合わせた足まわり
翌朝のブリーフィングを終えて、プジョー307SWに乗り込む。テスト車は、シルバーのボディ色にライトグレーのファブリック内装。シート表皮は、しっとりしたベロアだ。インパネまわりはハッチバックと同意匠だが、センターコンソールやメーターリングに、シルバーでアクセントがつけられる。
手に馴染む本革巻ステアリングホイールを握って走り出す。1430kgの車重はハッチバックの130kg増し。そのうえ、動画撮影機材と郡カメラマンの機材の一部を積んでいたが、2リッター直4DOHCは急勾配でも不足ない。
プジョーご自慢のオールアルミユニットは、ボア×ストローク=85.0×88.0mmのロングストローク型。6000rpmで137psの最高出力、4100rpmで19.4kgmの最大トルクを発生する。わずか1800rpmで、最大トルクの94%以上を発生する実用ユニットである。速くはないが、ゆったりした加速感がSWにピッタリだと思った。
トランスミッションは、シーケンシャルシフト用のゲートを持つ4段AT。ルノーと共同開発された「AL4」型と呼ばれる学習機能付で、「32通りの統計的プログラムを用いて、9つのシフトパターンから最適なものを選び出す」と謳われる。シフトショックは少ないが、シフトスケジュールの変更や、減速時のシフトダウンなどが感覚にそぐわないことが多く、改善の余地あり。気になるなら、シーケンシャルモードを使って自分でギアを選択すればいいワケですが……。
サスペンション形式は、前マクファーソンストラット、後がトーションビームでハッチバックと同じだが、車重の増加やワゴンとしての積載量に対応するため、フロントのアンチロールバーが1mm太く、リアはバネレートが硬めに設定された。一方で、空荷時の乗り心地を考慮して、リアサスペンションのショックアブソーバーには、積載量に応じてダンピングを機械的に変化させる、バリアブル式が採用された。なにも積まない時は柔らかめに、荷物が増えるに従って、しっかり硬くなっていくわけだ。ワゴンならでは足まわりである。
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パノラミックルーフと3列シート
プジョー307SWの最大のウリは、いうまでもなく3列シートだ。独立した7つのシートが贅沢。ブレークの2列目、つまり後席は通常の一体クッションだが、SWは大小大と3つのシートが設置される。それぞれスライドできるので、大人3人が並ぶときは、センターだけを前に出せば肩が触れ合うこともない。
3列目はプジョージャポンの広報担当者が「7人乗りというより、“5+2”と考えてください」という通り、大人が座って長時間移動するには窮屈だ。「合法的に7人乗れる」のがメリット、と考えるべきである。とはいえ安全性はちゃんと考慮されており、シートベルトは3点式で、立派なヘッドレストも備わる。
シートアレンジは、国産ミニバンのように、レバー操作で折り畳めるのに加え、2列目は3個、3列目は2個のシートそれぞれを取り外すことができる。3列目を取り外してブレークと同等の荷室にすることもできるし、2列目の中央を取り除き、センターシートがあった場所に、大きなクーラーボックスを置くこともできる。2列目を取っ払って、3列目に怠惰に座るのもオモシロイ。
ただ、シートが10kg〜15kgと重いのが難点。撮影のため何度もシートを着脱するのは、重労働だった。頻繁にアレンジを変更したい人は、まずショールームで試してみることをお勧めします。
なんだかんだいいながら、リポーターはSWが好きである。運転は人にまかせ、セカンドシートでくつろぐと、空とか雲が、ガラスルーフ越しに流れていく。
ガラス製パノラミックルーフの面積は、1.33平方メートル。畳0.8枚分だ。日差しを遮る電動シェードは、サイドブレーキレバーの手前にあるスイッチを押せば、約15秒で開く。ガラスは2層のフィルムを挟み、強度と防音製を確保。熱や光の透過を抑え、太陽に照らされても車内が温室になるのを防ぐという。
プジョージャポンは307SWとブレークの導入で、昨年より5000台増、1万5000台/年の販売を目指す。1.5倍とは強気な印象を受けたが、ガラスの天井、3列シート、リーズナブルな価格と、SWの商品力は高い。
コンパクトなボディに、3列シートの7人乗りという、ジャパニーズ・ミニバンに近いコンセプトも興味深い。プジョー307SWは、“日本車化した欧州車の尖兵”という意味でも、注目に値する。
(文=webCGオオサワ/写真=郡大二郎/2002年9月)

大澤 俊博
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