トヨタ・ヴォルツS FF(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ヴォルツS FF(4AT) 2002.08.24 試乗記 ……201.5万円 総合評価……★★★新世代セクレタリーカー
「シボレー・キャパリエ」の国内販売不振に懲りたトヨタが、今度は企画段階からGMと共同し、トヨタ主導で開発したスポーツユーティリティワゴン。「SUV」「ステーションワゴン」「ミニバン」のクロスオーバーと謳われる。生産は、北米はカリフォルニアのトヨタ・GMの合弁会社「NUMMI」。北米では「ポンティアック・バイブ」「トヨタ・マトリックス」として売られ、前者がバッヂをポンティアックからトヨタに変えて輸入される。さすがにバイブはマズいと思ったか、「ヴォルツ」と名称が変更された。ちなみに、北米で販売されるマトリックスは、カナダ工場製である。
テスト車の「1.8リッター(132ps)+4AT」のFFモデルは、ヴォルツのボリュームゾーン。外観は、アンダーカバー風造形の前後バンパー、張り出したフェンダー、大径タイヤといった記号化されたSUVパーツで飾られるが、ドライバーズシートに座ると、一転、乗用車感覚。コンソールシフトがミニバンっぽい。
いざ走らせると、外観から想像される力強さはない。可変バルブタイミング機構を備える1.8リッターエンジンは、音ほど速くない。とはいえ、簡単に荷室を拡大できるリアシート、フラットでウォッシャブルなラゲッジフロア、ガラスハッチだけも開閉するリアゲイト、そして標準で装備されるルーフレールと、「スポーツをしに行くクルマ」という要件は満たしているから、動力性能はほどほどでいいのだろう。
日本では惜しげなく使える遊び用運搬車、アメリカではコンパクトでトレンディなクルマ。いわば流行のコスメティックが施された新世代セクレタリーカーだ。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
ヴォルツは、2002年8月20日に発売が開始されたトヨタとGMの共同開発車。カローラをベースに、「SUV」「ステーションワゴン」「ミニバン」の長所を取り入れたクロスオーバーな“新ジャンル”モデルと説明される。「アクティブなライフスタイルを志向する若者」(プレスリリース)がメインターゲットだ。
トヨタとGMが共同で企画、トヨタが設計、評価を担当し、GMとの合弁会社である北米はカリフォルニアの「NUMMI(New United Motor Manufacturing)」で生産される。つまり、ヴォルツは輸入車である。北米名では、「ポンティアック・バイブ」「トヨタ・マトリックス」(後者はカナダ産)。
エンジンは、ノーマルの1.8リッター(132ps/4WDは125ps)と、ハイチューンの1.8リッター(190ps)が用意される。トランスミッションは4段ATほか、190psモデルは6段MTも選択可能だ。標準エンジン搭載車は、FF(前輪駆動)のみならず、ビスカスカプリングを用いた4WDモデルもラインナップされる。
(グレード概要)
ヴォルツは、ベーシックな「S」とハイチューン版「Z」に大別される。前後バンパーやフェンダー部がボディと別色になる2トーンカラーが「S」、モノトーンが「Z」である。Sは、Zよりタイヤがひとまわり小さい「205/55R16」を履き、リアブレーキはドラム式となる。シフター、ステアリングホイールが、Zは本革巻き、Sはウレタンというのが、内装面での違い。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★
「スポーティでテクニカルな印象のデザイン」(広報資料)が採られたインパネまわり。4連独立メーターとインパネシフトがキモ。モノ入れも豊富。機能面での不満はないが、目新しい意匠とメタル調パーツのクールな演出で、素材の“それなりの質感”をカバーしようと図った感がある。
(前席)……★★★
フンワリとシート全体が柔らかい。クルマの性格上、ホールド性は考慮されない。運転席側にのみ、シート全体の角度を調整できるダイヤルが座面サイドに備わる。センターボックス、シフター下、インパネ右端、ドアポケット、トンネルコンソール前端、コンソールボックスと、手が届くいたる場所に小物入れが用意される。便利そう。カップ状の移動式灰皿は、オプションでもいい。
(後席)……★★★
1605mmと高いハイトのおかげで、膝前、頭上とも、スペースはじゅうぶん。もっとも、その空間はヒトより遊び道具を積むためのもの。腰のないクッション、樹脂製(!)のドア内張、無愛想なパワーウィンドウスイッチと、良くも悪くも、モノ置きと割り切られたのがよくわかる。背もたれのレバーを引けば、簡単にバックレストが倒れ、同時に座面が連動して前下方へスライドする。アッという間に、フラットな床をもつ荷室が出現する。
(荷室)……★★★★
「日産エクストレイル」「サーブ・95エステート」などを、よく研究したラゲッジルーム。汚れを拭き取りやすい樹脂構造。床面最大幅130cm、奥行き85cm、天井までの高さも85cm。ラゲッジネットを留めるためのフックが8ヶ所に設置されるほか、オプションの「フロアフック」を使えば、床面のレールに差して、好きな位置でネットを固定することができる。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★
連続可変バルブタイミング機構「VVT-i」を搭載した1.8リッター直4「1ZZ-FE」ユニット搭載。132psと17.3kgmのアウトプットと、スペックに不足はない。しかし、ベースとなったカローラより大人3人分強も増加したウェイトが災いして、出足はいまひとつ。しかも、足りないトルクをカバーするためか、ペダルの踏み始めにスロットルを大きく開ける設定で、いささかデリカシーに欠けるスタートとなりがち。走りだしてしまえば、過不足ない動力性能。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
サスペンション形式は、前マクファーソンストラット/コイル、後トーションビーム/コイルと、カローラと同じながら、若干トレッドが広げられたヴォルツのアシまわり。「205/55R16 89V」と、新しいクロスオーバーワゴンは、標準モデルでもカローラよりふたまわり大きなタイヤを装着する。乗り心地はやや硬く、左右に突っ張った感がある。すぐに慣れてしまうレベルではあるが。いうまでもなく、大径タイヤによる接地面積の拡大より、10mm上がって170mmになった最低地上高を歓迎するべきだろう。
(写真=難波ケンジ)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2002年9月22日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2002年型
テスト車の走行距離:--
タイヤ:(前)205/55R16 89V/(後)同じ(いずれもContinental ContiTouringContact M+S)
オプション装備:DVDナビゲーションシステム(22.7万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(10)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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