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第167回:お台場で「サイドターン」の体験レッスン

2012.12.20 エディターから一言 工藤 考浩

第167回:お台場で「サイドターン」の体験レッスン

東京・お台場の「MEGA WEB(メガウェブ)」にスポーツカーファン専用サロン「86 CLUB HOUSE(ハチロク クラブハウス)」がオープン。今回、メディア向けに開かれた車体コントロールテクニックが学べる講座を体験してきた。

コントロールテクニックプログラム

以前ニュースでお伝えしたとおり、トヨタ自動車のアミューズメント施設「MEGA WEB トヨタシティショウケース」内に「86 CLUB HOUSE」がオープンした。
「スポーツカーオーナーやファンがメーカーの枠を超えて集い、絆を深められるスペース」を作ろう! という目的で、「トヨタ86」を中心に進められている「スポーツカーカルチャー推進構想」の一環として開設されたスペースだ。
ここでは「86 ACADEMY(ハチロク アカデミー)」という、スポーツカーに関するさまざまなジャンルの講座を持つカルチャースクールが開かれている。
例を挙げると、レーシングドライバーの指導によるエクササイズプログラムやカーボン素材を用いてオリジナルアイテムを制作するワークショップ、愛車を撮影するためのテクニックを学ぶ写真教室など。さらには、「峠」の持つ魅力を味わう「峠ソムリエ検定」などという講座も用意されている。

その中から、車体コントロールテクニックをメガウェブ内のコースを利用して、サイドターンやアクセルターンなどの実技を身に付けるという「コントロールテクニックプログラム」の、自動車メディア向けに開かれた体験講座を受講してきた。

このプログラム、まずは「86 CLUB HOUSE」の中で操作の基本を解説したビデオを観る所から始まる。
講座のメインインストラクターを務める、DJでレーサーとしても活躍するピストン西沢さんによる解説で、注意事項や具体的な操作方法などを学び、いよいよ実技へと進む。

実技といっても、お台場の「MEGA WEB」へ行ったことがある方なら「そんなスペースどこにあるんだ」と思われるかもしれないが、通常は「ライドワン」というトヨタ車の試乗が行われているコースの一部を利用するのだ。

まずはインストラクターによるデモ走行を見学。
コースに置かれたパイロンの間を「86」が自由自在にクルクルと走り回る。
路面抵抗を減らすために水がまかれたコースに、水しぶきが上がる。
あまりにも軽やかな動きなので、ラジコンカーでも見ているようである。

続いて、インストラクターが運転する「86」の助手席で、これから学習するサイドブレーキを使った車体コントロール「サイドターン」を体験。
停止状態から3000rpmくらいでクラッチをミートし数メートル直進、パイロンを目印にステアリングを右に切り、クラッチを踏んでサイドブレーキを思い切り引くと、後輪がスライドし、90度曲がったらフットブレーキで停止する。
先生はいとも簡単にやってのけるが、次は自分が挑戦するのである。
運転席に座り、最初はエンジンをかけずにイメージトレーニング。
頭の中で操作を整理して、いよいよ実践である。
グローブの中で手が汗ばんでいるのを気にしつつエンジンをスタート。
右足に軽く力を込めて、エンジンの回転数を上げ、クラッチをつなぐ。
ポイントが来たらステアリングを切って、はい、クラッチ、サイドブレーキ!
しかし、おっかなびっくり加速したせいか、速度が足りずに70度くらいのターンで止まってしまった。

 
第167回:お台場で「サイドターン」の体験レッスンの画像 拡大
写真左からメインインストラクターを務めるピストン西沢氏と、インストラクター橋本洋平、高橋滋の両氏。
写真左からメインインストラクターを務めるピストン西沢氏と、インストラクター橋本洋平、高橋滋の両氏。 拡大
映像中の車両を操っているのもピストン西沢氏。「覚えたテクニックは、くれぐれも公道では使用しないように」との注意が。
映像中の車両を操っているのもピストン西沢氏。「覚えたテクニックは、くれぐれも公道では使用しないように」との注意が。 拡大
屋外に場所を移して、コースの説明を受ける。
屋外に場所を移して、コースの説明を受ける。 拡大
インストラクターによる「成功例」
インストラクターによる「成功例」 拡大
他の参加者の挙動を観察するのも勉強になる。
他の参加者の挙動を観察するのも勉強になる。 拡大
 
第167回:お台場で「サイドターン」の体験レッスンの画像 拡大
最後の一瞬が難しい。
最後の一瞬が難しい。 拡大

びしっとキマると気分爽快

間髪をいれずに2本目のチャレンジ。
今度は気合を入れてスタート。ステアリングを切るタイミングに注意しながらエイヤっとサイドブレーキ。
ギュンとお尻が触れたら、ちょうどいい角度でフットブレーキを踏む。
よし、キマった。
思った通りの挙動になった。
これはとても気持ちがいい。

これを失敗と成功をくり返しつつ、4本体験した。

他の参加者も同様にサイドターンに挑む。やはり最初の1本目は調子がつかめない人が多いが、インストラクターの指導で、最後はカッコよくサイドターンを決めていく。

次に挑戦するのは、停止状態から後輪をホイールスピンさせてアクセル操作で車体を回転させる「アクセルターン」。
これも同じようにインストラクターの隣で体験したあと、イメージトレーニングをして実践だ。
停止状態でステアリングを右にロックするまで回し、クラッチを切ったままエンジンの回転数を5000rpmでキープ。
思い切りよく「ドン」とクラッチをつないで、クルマが動きだしたらアクセルをさらに踏み込み、後輪をスライドさせる。
180度まで回転したら、クラッチを切ってフットブレーキで止まる。
頭ではわかっているのだが、思い通りにコントロールするのはなかなか難しい。
しかし、理想通りの挙動になった時は、クルマがレールの上に乗ったような感覚で、ボウリングで理想のラインを投げてストライクを取った時に似た爽快感がある。

終了後は優秀者の発表。
終了後は優秀者の発表。 拡大
なんと、筆者も選ばれてしまった。孫子の代まで伝えたい誉れだ。
なんと、筆者も選ばれてしまった。孫子の代まで伝えたい誉れだ。 拡大

講座の最後は、講師陣の運転する「86」の助手席に乗っての体験走行だ。
コース内を縦横無尽に、サイドターンとアクセルターンを駆使してクルクルと走り回る。
講座冒頭のデモ走行を外から見ていて、激しいGで揺さぶられると思って力んでいたが、とても滑らかに走る。車体に加わる力をうまくコントロールしているからだろう。
この体験も大変楽しかったが、助手席に乗っていると、もう一度自分でアクセルターンに挑戦したくなってしまった。

実技終了後は、優秀な成績を収めた参加者にステッカーと修了書が手渡された。
この「コントロールテクニックプログラム」、今後月に1〜2回、金曜の夜に開催される。参加費は1万500円だが、金曜の夜に盛り場へくりだしてタクシーで帰宅……というのに比べたらずっと実りの多い体験だと思う。

それにしても、決して広いとは言えないお台場のこの場所で、こういった企画をよく開催したものだ。トヨタの「スポーツカーカルチャー推進構想」にかける思いの本気さがうかがえる。
いくら十分に安全性は確保されているとはいっても、万が一、億が一のリスクだって避けるのが「大人の世界」というものだろうから、「よくぞやった」と拍手を送りたい。
いくら豊田章男社長の肝いりだとはいえ、企画を通すのは大変だっただろうなあ。

(文と写真=工藤考浩)

■インストラクターによるデモンストレーション走行の様子

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