「押しがけのやりかた」

2001.04.10 クルマ生活Q&A 松本 英雄 その他
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「押しがけのやりかた」

去年、バイクのレースを見に行きました。ほとんどが(というか全部)押しがけによるエンジンスタートでした。自動車でも昔のレースカーは押しがけが多いようですが、なぜレースカーは押しがけなのでしょうか? また、普通のクルマやバイクでも押しがけは可能なのでしょうか? もし可能ならばどうやるのですか? 教えてください。(STさん)

お答えします。押しがけはセルモーターやキック式のスターターを持たないレース用のオートバイや始動装置の弱った旧いクルマを始動するときなどに使われます。タイアの回転でクランクシャフトを強制的に回すことで、セルモーターと同じ効果を与え、エンジンを始動するわけです。

押しがけは以下の手順で行ないます。 1.静止状態でギヤを1速または2速に入れる 2.車両を前方に転がし、クラッチをつなぐ 3.強制的に回された エンジンが着火したらクラッチを切る。

モーターへの余分な電気を必要としないためスパークプラグの点火も強く、セルモーターよりもたくさん回転することからエンジンのかかりが良 いのです。レース用車両はできるだけ軽くしたいので、セルモーターを省略できるというメリットもあります。

しかし最近のWGPなどでは、押しがけ中に車両と接触する事故をふせぐなど安全面から押しがけスタートはなくなり、エンジン始動状態でスタートを切っているようです。

松本 英雄

松本 英雄

自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。