「オートマ車のシフトアップについて」

2002.07.12 クルマ生活Q&A 松本 英雄 トランスミッション
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「オートマ車のシフトアップについて」

冬場など、特にエンジンが冷えている時、始動後すぐに走りだすとなかなかシフトアップしません。これは低いギアを保つことでエンジンの回転を上げ、エンジンを早く温めるためでしょうか? それとも、これは私の想像ですが、シフトのアップダウンをコントロールするのに、ギヤの噛み合い負荷を計る「トルクメーター」なるものが存在し、それがエンジンの温度と関係しているのでしょうか?(SNさん)

冷えているときにシフトアップを制限するのは、エンジンの暖機を進める、というより、AT(オートマチックトランスミッション)を保護するためなのです。

ATは油圧によるコントロールによって、スムーズなシフトアップとシフトダウンをします。オートマチックトランスミッションにはフルード(オイル)ポンプが装備されますし、油温センサーも付いています。ポンプから送りだされるフルードはトランスミッションを潤滑し、制御を行います。そのためには、油圧が安定していなければいけません。

ところが、ATの作動油(ATF)は、温度によって粘度(硬さ)が異なります。フルードの粘度が硬ければ流動性が悪くなり、変速のレスポンスが鈍くなります。するとポンプの能力低下を招き、各コントロール部に安定した油圧を供給できなくなります。
こうなるとスムーズな変速をつかさどる、トランスミッション内のクラッチやブレーキがうまく働かなくなるのです。ですから冷えているときはOD(オーバードライブ)までシフトアップしないはずです。シフトアップしてしまうとエンジン回転数が下がり、ポンプ圧も下がります。すると上記のような不具合がで出てきてしまうのです。

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松本 英雄

松本 英雄

自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。