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【スペック】V60オーシャンレースエディション(写真最前列):全長×全幅×全高=4630×1865×1480mm/ホイールベース=2775mm/車重=1570kg/駆動方式=FF/1.6リッター直4DOHC16バルブターボ(180ps/5700rpm、24.5kgm/1600-5000rpm)/価格=479万円(テスト車=同じ)

ボルボV60/V70/XC60/XC70 オーシャンレースエディション【試乗記】

ドイツ派にこそ薦めたい 2012.08.23 試乗記 森 慶太 ボルボV60オーシャンレースエディション(FF/6AT)/V70オーシャンレースエディション(FF/6AT)/XC60オーシャンレースエディション(FF/6AT)/XC70オーシャンレースエディション(4WD/6AT)
……479万円/519万円/569万円/649万円

世界を一周するヨットレース「ボルボ・オーシャンレース」の成功を記念して、4種類の特別限定車が発売された。そのベースはいずれも2013年モデル。つまりこの4台の碧(あお)いボルボは、最新モデルを占う羅針盤でもあるわけだ。
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2013年モデルはここが違う

原稿は1本。でもクルマは4台。というか4モデル(でも試乗車は1モデル1台ずつの4台ポッキリ)。まとめて言っちゃうと、「オーシャンレースエディション」とはマリンスポーツのイメージでオシャレにまとめた限定バージョン。ベースモデルより高くなってはいるけれど、「この仕様に標準で付いてる各種装備をオプションで追加することを考えたら、かえってオトクですよ」な仕様でもある。

どのくらい限定かというと、一番数が多い「V60」が300台。その次に多い「V70」が200台。そこからグッと少なくなって、「XC60」が30台。「XC70」も30台。なおこれら、3年(かつては4年)にいっぺんしか開催されない壮大なヨットレース(ほかでもないボルボが胴元)の開催記念バージョンなので、来年は出ません。

ハードウエア的には、簡単に言っちゃうと最新の2013年モデル。説明を受けた範囲だと、例えば安全装備をセットにした「セーフティ・パッケージ」関係ではカメラセンサーのアップデート。同パッケージのオプション代が25万円から20万円へ(XC60は15万円)。

あと、ヘッドライトのオート点灯モード導入(地味にうれしい)。道路脇の標識をカメラで読んで計器板内に制限速度を表示してくれる「ロード・サイン・インフォメーション」(スピード違反すると表示が点滅)。それと、4気筒1.6リッター直噴ターボ+6段DCTのパワートレインに関してはJC08モード燃費の成績がアップしている。

「オーシャンレースエディション」の設定は、2001年、2005年、2008年に続き今回が4回目。写真は今回、最多の300台が用意される「V60」。
「オーシャンレースエディション」の設定は、2001年、2005年、2008年に続き今回が4回目。写真は今回、最多の300台が用意される「V60」。 拡大
専用バッジが左右フェンダーに貼られる。
専用バッジが左右フェンダーに貼られる。 拡大
ヨットからヒントを得たデザイン処理が随所に。ジグザグのステッチは帆から。
ヨットからヒントを得たデザイン処理が随所に。ジグザグのステッチは帆から。 拡大
ホイールも波のうねりを表現した専用品に。これは「V60」と「V70」に用いる17インチのもの。
ホイールも波のうねりを表現した専用品に。これは「V60」と「V70」に用いる17インチのもの。 拡大
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洗練された「V60」の乗り心地

乗った感じとして、違いがハッキリわかったのはV60。アシ、良くなった。先日乗ってカンドーもんだった、同じく限定モデルの「S60 T4 R-DESIGN」の印象に近いものに。「DRIVeだった頃と比べて、乗り心地のライトバンぽさが消えましたね」とは当方の弁(インポーターの人に向かって)。

ガサゴソ感がなくなって、アシがさらにキレイに動いている……のはひょっとして、通常の日本仕様の「ツーリングシャシー」じゃなくて、限定モデルのこれだけは欧州標準の「ダイナミックシャシー」(例えばサブフレームのマウントのゴムの剛性も違う)だから? そんなふうに疑ったぐらい、違いアリ。

V60(とS60)は、「メルセデス・ベンツCクラス」や「BMW 3シリーズ」や「アウディA4」のドイツ御三家と同じセグメントのクルマとして比べて、選んでほしいボルボ。そういうものとして、すごく良くできている。「C」と「3」と「A4」と「S60」&「V60」のなかで、乗っててヤなところが一番少ないというか、気にならないのはボルボ。

XC60の違いは、よくわからず。直6ヨンクはフツーにヨカッタけれど、どうもコイツ(直4FF)は……。相変わらず。簡単に言うと、車重とアシが合ってない印象。本来もっと重たい仕様のためのアシが、そのまま流用されちゃっているような。道の凹凸のカーブどおりに上屋が揺すられるのはあまり、うれしくない。いろいろ乗った日本仕様のなかで、XC60のFFだけはちょっと。オススメのリストに積極的に入れたくはならないボルボ。

V70も相変わらずだったけれど、XC60のFFと違ってこちらはバッチリ。リアルボルボ。中道保守本流ボルボ。こりゃラクだぁ〜。快適だぁ〜。癒やされながら走り続けたい。2012年モデルの「DRIVe」との違い、ハッキリわかるのは車輪関係。こっちのほうがインチがデカい。タイヤの幅も(205/60R16→225/50R17)。でも、乗って別にネガなし。どうしてもヨンクじゃなきゃダメ、というんでなかったら、「フォルクワーゲン・パサートオールトラック」(けっこうイイ)よりこっちのほうが……。

【スペック】XC60オーシャンレースエディション:全長×全幅×全高=4625×1890×1715mm/ホイールベース=2775mm/車重=1810kg/駆動方式=FF/2リッター直4DOHC16バルブターボ(240ps/5500rpm、32.6kgm/1800-5000rpm)/価格=569万円(テスト車=同じ)
【スペック】XC60オーシャンレースエディション:全長×全幅×全高=4625×1890×1715mm/ホイールベース=2775mm/車重=1810kg/駆動方式=FF/2リッター直4DOHC16バルブターボ(240ps/5500rpm、32.6kgm/1800-5000rpm)/価格=569万円(テスト車=同じ) 拡大
全モデルでチルトアップ機構付き電動ガラスサンルーフが標準装備となる。ただし「XC60」(写真)のみ、より面積が大きいパノラマタイプとなる。
全モデルでチルトアップ機構付き電動ガラスサンルーフが標準装備となる。ただし「XC60」(写真)のみ、より面積が大きいパノラマタイプとなる。 拡大
【スペック】V70オーシャンレースエディション:全長×全幅×全高=4825×1890×1545mm/ホイールベース=2815mm/車重=1670kg/駆動方式=FF/1.6リッター直4DOHC16バルブターボ(180ps/5700rpm、24.5kgm/1600-5000rpm)/価格=519万円(テスト車=同じ)
【スペック】V70オーシャンレースエディション:全長×全幅×全高=4825×1890×1545mm/ホイールベース=2815mm/車重=1670kg/駆動方式=FF/1.6リッター直4DOHC16バルブターボ(180ps/5700rpm、24.5kgm/1600-5000rpm)/価格=519万円(テスト車=同じ) 拡大
インテリアカラーは全モデルでこの「ソフトベージュ」のほか「オフブラック」も選べる。いずれもシートは本革(写真は「V70」)。
インテリアカラーは全モデルでこの「ソフトベージュ」のほか「オフブラック」も選べる。いずれもシートは本革(写真は「V70」)。 拡大

一番のお値打ちモデルは「XC70」

現行世代になってからは今回が初めてのXC70。乗った感じは、簡単に言うと、V70のもっとリッチなヤツ。上質なヤツ。同じ路線でさらに気持ちいいヤツ。V70が輸出されてない北米市場の人たちは「おかわいそうに」と今まで思っていた。でも、これが買えるんだったら問題なし。V70より高いけど、余計にカネ払ったぶんの見返りはちゃんと得られるわけね。そういう意味でベストボルボ。

ただの「V」じゃなく「XC」で、直6ツインスクロールターボで4WDまで付いて、さらにオーシャンレースエディションで649万円。クルマのデキも考え合わせて、これはオトク。お値打ち。「E」や「5」や「A6」のワゴンを考えてる人、こういうボルボはどうでしょう?

フと気がついたのはトランスミッション。コイツのはトルコンAT(6段)。デキよし。ほかの3台はDCT(6段)。DCTとトルコンATで、ギャップ感まったくなし。タイプの違いなど、意識させられることが全然。なーんとも思わずに乗っていた。ということは、2013年モデルで、ボルボのDCTのデキ(というか適合のツメ?)はさらに良くなっているはず。

後日。実はこの4モデルのプレス試乗会、俺は2度、行ったのです。初日と3日目と。この原稿を書くために行ったのは初日のほう。

後日談としては、まずV70。運転中にオドメーターをチェックしてアレ!? 「なんでこないだよりも距離少なくなってんだ!? 別の個体?」というのは間違いで、実を言うと、てっきりXC70(なぜかコイツだけ距離が多めだった)に乗っているものと勘違い(笑)。それくらい、初日よりも(さらに)乗り心地の印象がヨカッタ。良くなっておりました。

それとXC60。こちらはさすがに別のナニかと間違えはしなかったけど、走行400kmが走行500kmになったのを乗ったらやはり。路面の凹凸のカーブどおりにモフモフ揺すられる症状は確実に改善されておりました。といっても、まだたった500km。あと1000km、2000kmと伸びたらこれは……。これも大丈夫なボルボかもしれないなあ。

(文=森慶太/写真=小林俊樹)

【スペック】XC70オーシャンレースエディション:全長×全幅×全高=4840×1890×1605mm/ホイールベース=2815mm/車重=1920kg/駆動方式=4WD/3リッター直6DOHC24バルブターボ(304ps/5600rpm、44.9kgm/2100-4200rpm)/価格=649万円(テスト車=同じ)
【スペック】XC70オーシャンレースエディション:全長×全幅×全高=4840×1890×1605mm/ホイールベース=2815mm/車重=1920kg/駆動方式=4WD/3リッター直6DOHC24バルブターボ(304ps/5600rpm、44.9kgm/2100-4200rpm)/価格=649万円(テスト車=同じ) 拡大
ラゲッジカバーは「ボルボ・オーシャンレース」のロゴプリントが入ったものに。ロープのストラップがいい雰囲気(写真は「XC70」)
ラゲッジカバーは「ボルボ・オーシャンレース」のロゴプリントが入ったものに。ロープのストラップがいい雰囲気(写真は「XC70」) 拡大
センターパネルはヨットレースのイメージが刻まれた、抽象模様の黒い専用のアルミパネルに。シフトセレクターも新デザインとなっているが、これは2013年モデルを対象に採用されたもの。
センターパネルはヨットレースのイメージが刻まれた、抽象模様の黒い専用のアルミパネルに。シフトセレクターも新デザインとなっているが、これは2013年モデルを対象に採用されたもの。 拡大
4モデルともボディーカラーは「オーシャンブルーメタリックII」と呼ばれる専用色となる。従来の「オーシャンレースエディション」に用いられた青メタより深みが増しているそうだ(写真は「V70」)。
4モデルともボディーカラーは「オーシャンブルーメタリックII」と呼ばれる専用色となる。従来の「オーシャンレースエディション」に用いられた青メタより深みが増しているそうだ(写真は「V70」)。 拡大
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