クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック
【スペック】全長×全幅×全高=3915×1695×1525mm/ホイールベース=2500mm/車重=1130kg/駆動方式=FF/1.5リッター直列4気筒SOHC16バルブ(114ps/6000rpm、14.7kgm/4800rpm)、モーター(14ps/1500rpm、8.0kgm/1000rpm)/価格=196万円(テスト車=226万2500円/Honda HDDインターナビ+リンクアップフリー=25万円/Hondaスマートキーシステム=5万2500円)

ホンダ・フィットハイブリッドRS(FF/CVT)【試乗記】

トッピングは走り 2012.07.19 試乗記 鈴木 真人 ホンダ・フィットハイブリッドRS(FF/CVT)
……226万2500円

ホンダの「フィット」シリーズに、ハイブリッドスポーツ「CR-Z」と共通のパワーユニットを持つ新グレードが誕生。その走りを、CVTモデルで試した。
【webCG】クルマを高く手軽に売りたいですか? 車一括査定サービスのおすすめランキングを紹介!

フィットの中で最高峰

「かおりムシューダ」という不思議な商品がある。「ムシューダ」は“無臭だ”をもじったダジャレ型ネーミングで、ナフタリン臭くないことが売りの防虫剤だ。せっかく苦労して無臭にしたのに、わざわざせっけんや花の香りをつけた。二度手間かけて、ひと回りしたことになる。これが大ヒットした。

「フィットハイブリッドRS」という名前を聞いて、これを思い出してしまったのだ。燃費とエコを看板にしたハイブリッドに、スポーティーモデルであることを示す“RS”の名を付与している。一つの名前の中にホコタテ両方が入ってしまったようにも思えて、違和感が拭えない。いったいどちらを向いているのか。

2012年5月に行われたマイナーチェンジで、このモデルが追加された。ハイブリッドでは、RS以外にも「XH」と「She's」が加わっている。XHはゴージャス版だ。内外装で高級感を演出し、防音材をおごることで静粛性も向上させているそうだ。She'sは女性の開発陣が女性のためにプロデュースしたオシャレ仕様という触れ込みである。そして、RSは「上質・洗練・先進×操る歓び」がコンセプトになっている。196万円という価格はシリーズ中最高で、フィットの中で一番上のグレードという位置づけになる。

フィットの中でハイブリッドモデルの販売比率が増えていることで、バリエーションを増やす必要があったのだ。RSは女性仕様モデルと同様の理由で追加されたわけで、よく考えればこれは自然な商品戦略なのである。

ハイブリッドモデルでありながら、スポーティーなキャラクターも併せ持つ「フィットハイブリッドRS」。象徴となるエンブレムも、ダブルで与えられる。
ハイブリッドモデルでありながら、スポーティーなキャラクターも併せ持つ「フィットハイブリッドRS」。象徴となるエンブレムも、ダブルで与えられる。 拡大
オレンジステッチ入りの本革巻きステアリングホイールやガンメタリックのパネル類などが配されるインテリア。ガソリン車の「RS」と共通のスポーティーなテイストでまとめられる。
オレンジステッチ入りの本革巻きステアリングホイールやガンメタリックのパネル類などが配されるインテリア。ガソリン車の「RS」と共通のスポーティーなテイストでまとめられる。 拡大
「フィットハイブリッドRS」の燃費(JC08モード)は、CVT車が22.2km/リッターで6MT車が20.0km/リッター。ちなみに、1.3リッターガソリンエンジンを電気モーターがサポートする「フィットハイブリッド」(CVTのみ)は、26.4km/リッターを記録する。
「フィットハイブリッドRS」の燃費(JC08モード)は、CVT車が22.2km/リッターで6MT車が20.0km/リッター。ちなみに、1.3リッターガソリンエンジンを電気モーターがサポートする「フィットハイブリッド」(CVTのみ)は、26.4km/リッターを記録する。 拡大
ホンダ フィット の中古車webCG中古車検索

CR-Zと同じパワートレイン

ベースモデルのエンジンが1.3リッターで88psのパワーなのに対し、RSは1.5リッターで114psだ。26psのアドバンテージが余裕となり、スポーティーな走りの源となる。モーターは14psで、どちらも変わらない。1.5リッターエンジンとこのモーターの組み合わせは、すでに前例がある。「CR-Z」が同じパワートレインを搭載していた。

トランスミッションはCVTと6MTが用意されていて、今回乗ったのはCVTモデルだった。「SPORT」「NORMAL」「ECON」と3つのボタンがあり、走行モードを切り替えることができる。これもCR-Zと同じだが、フィットはボタンの位置が右下の奥まったところにあり、操作がしづらかった。メーターパネルのすぐ右横にあったCR-Zのほうが、理にかなっている。

デフォルトではNORMALモードが選択されるようになっている。試乗の際は、ストレスを感じない限りECONモードに設定して走ることにした。このモードでは、エンジンはトルクを抑えて燃費優先にし、トランスミッションは早めにシフトアップしていくように制御される。このモードでアクセルを踏むと、とても重く感じる。入力に対して反応が緩慢なので、そう感じてしまうのだ。流れに乗って走っている分にはあまり気にならないが、加減速を繰り返す場面では少々ストレスが生ずる。

極力電気を消費しないように動作するので、エアコンも省エネ態勢になる。停止時にアイドリングストップするのはもちろんだが、エアコンも止まってしまう場合が増えるのだ。夏場の猛暑の中ではツラいかもしれない。

あまり無理をせず、信号からの発進ではNORMALに切り替えておけばいい。ある程度のスピードに達したら、ECONモードにしてゆったりと運転する。主に房総半島の一般道を走り、信号でストップすることが少なかったので、この方法がうまく適合した。東京都内の混雑の中では、事情が変わってくるだろう。

パワーユニットは、ハイブリッドスポーツカー「ホンダCR-Z」と同じもの。1.5リッターガソリンエンジンに電気モーターを組み合わせる。
パワーユニットは、ハイブリッドスポーツカー「ホンダCR-Z」と同じもの。1.5リッターガソリンエンジンに電気モーターを組み合わせる。 拡大
高速道路を流す。「前後の重量配分は、クーペの『CR-Z』より理想的」とは開発陣の弁である。
高速道路を流す。「前後の重量配分は、クーペの『CR-Z』より理想的」とは開発陣の弁である。 拡大
ボディーカラーは全7色で、「クリスタルブラックパール」と「サンセットオレンジII」(テスト車)のモデルは写真のオレンジ内装が、その他はオレンジステッチ入りのブラック内装が組み合わされる。オプションでブラックの本革内装も選べる。
ボディーカラーは全7色で、「クリスタルブラックパール」と「サンセットオレンジII」(テスト車)のモデルは写真のオレンジ内装が、その他はオレンジステッチ入りのブラック内装が組み合わされる。オプションでブラックの本革内装も選べる。 拡大
スポーティーグレードとはいえ、そこは「フィット」ファミリーの一員。広い荷室など、ユーティリティーの高さも自慢のひとつだ。後席は荷室側からも倒せる。
スポーティーグレードとはいえ、そこは「フィット」ファミリーの一員。広い荷室など、ユーティリティーの高さも自慢のひとつだ。後席は荷室側からも倒せる。 拡大

劇的に性格が変わる

CR-Zに比べると、乗り心地はマイルドに感じた。ファミリーカーがベースとなっているのだから、性格付けは明確に異なる。外観はエアロパーツやLED発光のフロントグリルなどでドレスアップされているが、CR-Zのようにすごみを強調してはいない。内装もステアリングホイールやコンソールパネルに専用パーツが用いられているものの、基本はベースモデルと同じ意匠だ。

ハイブリッドモデルはメーターでエネルギーの消費状況をグラフィカルに表すのが習いだが、このモデルでは表示が控えめだ。見慣れてきたことだし、これ見よがしに強調する必要もないのだろう。ただ、SPORTモードを選んだ時はメーターが激しく自己主張する。ブルーとグリーンだった照明が、突如真っ赤に染まってドライバーを鼓舞するのだ。

視覚的なアオリがなくても、性格をガラリと変えたパワートレインにドライバーはすぐさま反応してしまう。まずは、音だ。ブゥブゥとくぐもった声を発していたエンジンが、いきなり威勢のよいサウンドを奏ではじめる。重低音の響きが心地よく、アクセルを踏む右足に力が入るのだ。すると間髪を入れずトルクが盛り上がるのを感じ、力強い加速が始まる。CR-Zと同様に、1台の中に2台のクルマを共存させている。

400km弱を走って、満タン法での燃費は19.7km/リッターだった。以前CR-Zで似たようなコースを走ったときは16.2km/リッターだったから、同じシステムでもフィットのほうがかなり優秀な成績だ。ただし、MTモデルだったCR-Zは少々不利ではある。ちなみに、ノーマル版のフィットハイブリッドに乗ったときは、17.4km/リッターという数字だった。走行条件が違うから厳密な比較ではないものの、RSを名乗っているにしては驚異的な燃費性能と言っていい。

走りを重視したからといって、ハイブリッドの身上である燃費をおろそかにしたわけではなかった。そして、CR-Zよりも50万円以上も価格は低い。ここに魅力を感じる人は必ずいるはずだ。ムシューダに香りをつけると魅力が増したように、ハイブリッドに走りをトッピングすることにも大きな意味がある。

(文=鈴木真人/写真=荒川正幸)

いかついバンパーが目を引くフロント周り。「フィット」シリーズ唯一となるLED発光式のグリルが、さらなる個性を主張する。
いかついバンパーが目を引くフロント周り。「フィット」シリーズ唯一となるLED発光式のグリルが、さらなる個性を主張する。 拡大
メーターの色は走行状態によって変化する。ただし、SPORTモード選択時は写真のように常時赤になる。
メーターの色は走行状態によって変化する。ただし、SPORTモード選択時は写真のように常時赤になる。 拡大
後席は分割可倒式。座面をチップアップすれば、背の高い荷物にも対応することができる。
後席は分割可倒式。座面をチップアップすれば、背の高い荷物にも対応することができる。 拡大
ホンダ・フィットハイブリッドRS(FF/CVT)【試乗記】の画像 拡大
鈴木 真人

鈴木 真人

名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。

試乗記の新着記事
  • アストンマーティン・ヴァンキッシュ ヴォランテ(FR/8AT)【試乗記】 2026.3.14 英国の名門、アストンマーティンの旗艦車種「ヴァンキッシュ」に、待望の「ヴォランテ」が登場。5.2リッターV12エンジンを搭載した最上級コンバーチブルは、妥協のないパフォーマンスと爽快なオープンエアのドライブ体験を、完璧に両立した一台となっていた。
  • プジョーE-3008 GTアルカンターラパッケージ(FWD)【試乗記】 2026.3.11 「プジョー3008」の電気自動車版、その名も「E-3008」が日本に上陸。新しいプラットフォームに未来感あふれるボディーをかぶせた意欲作だが、その乗り味はこれまでのプジョーとは明らかに違う。ステランティスのような大所帯で個性を発揮するのは大変だ。
  • ジープ・アベンジャー アップランド4xeハイブリッド スタイルパック装着車(4WD/6AT)【試乗記】 2026.3.10 「ジープ・アベンジャー」のラインナップに、待望の「4xeハイブリッド」が登場。既存の電気自動車バージョンから、パワートレインもリアの足まわりも置き換えられたハイブリッド四駆の新顔は、悪路でもジープの名に恥じないタフネスを披露してくれた。
  • 三菱デリカD:5 P(4WD/8AT)【試乗記】 2026.3.9 デビュー19年目を迎えた三菱のオフロードミニバン「デリカD:5」がまたもマイナーチェンジを敢行。お化粧直しに加えて機能装備も強化し、次の10年を見据えた(?)基礎体力の底上げを図っている。スノードライブを目的に冬の信州を目指した。
  • ホンダCB1000F SE(6MT)【レビュー】 2026.3.7 ホンダから満を持して登場した、リッタークラスの4気筒マシン「CB1000F」。往年のCBをほうふつさせるスタイルと、モダンなパフォーマンスを併せ持つネイキッドスポーツは、先行するライバルを追い落とすことができるのか? ホンダ渾身(こんしん)の一台の実力に触れた。
試乗記の記事をもっとみる
ホンダ フィット の中古車webCG中古車検索
関連キーワード
新着記事
新着記事をもっとみる

メルマガでしか読めないコラムや更新情報、次週の予告などを受け取る。

ご登録いただいた情報は、メールマガジン配信のほか、『webCG』のサービス向上やプロモーション活動などに使い、その他の利用は行いません。

ご登録ありがとうございました。

webCGの最新記事の通知を受け取りませんか?

詳しくはこちら

表示されたお知らせの「許可」または「はい」ボタンを押してください。