三菱エアトレック24V-S(4AT)【ブリーフテスト】
三菱エアトレック24V-S(4AT) 2001.09.04 試乗記 ……275.0万円 総合評価……★★★いいところを突いている
三菱パジェロなどのSUV(Sport Utility Vehicle)の巨体を持て余している人が乗り換えたら、クルマを嫌いにならないで済むワゴン。内外デザインから伝わってくる適度なカジュアル感が好ましい。運転しても、これといって傑出したところはない代わりに大きな穴もなく、普通に使い勝手よく、普通に走る。しかし、エンジンのフィールやトルク特性、乗り心地や静粛性など、それぞれに煮詰め不足なところが残っている。エアトレックの商品企画と狙いはいいところを突いていると思うので、今後の改良に期待したい。
バリエーションとして、アウディ・オールロードクワトロやボルボV70XCのように、(さらに)車高を上げて、艶消しバンパーなどを付けた「クロスカントリー」モデルや「エクストリーム」仕様が追加されると楽しい。反対の“シャコタン”バージョンはすでに用意されているようだが……。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2001年6月20日に、「次世代クロスオーバーRV」(三菱)としてデビュー。エアトレックとは、“自由に冒険的な旅をする”ことを表す造語。ランサーセディアワゴンをベースに、SUV風ボディを組み合わせた。パワーソースには、GDIの2.4リッターと従来型エンジンの2リッター、2種類が用意される。駆動方式は、それぞれにFFと4WDがある。四駆モデルに、ランサーエボリューションゆずりのフルタイム4WDシステム(電子制御を除く)を備えるのがジマンだ。トランスミッションは、すべてスポーツモード付き4段AT。
(グレード概要)
グレードは、2WD、4WDを問わず、「20E」「20V」「24V」「24V-S」の4種類。「24-S」は、ダブルサンルーフを標準で備え、ステアリングホイール、シフトノブなどが本革巻きになる豪華グレード。インサイドドアハンドルはメッキとなる。内装に関しては、「20E」を除き、オレンジとグレーの「カジュアル内装」かダークグレープロテインレザーと黒木目調パネルを用いた「ジェントル内装」を選ぶことができる。オプションとして、ライトブラウン木目調パネルを使った「ラグジュアリー内装」がある。「20E」は廉価モデルで、フロントフォグランプをもたず、ホイールは鉄チン、内装は黒貴重にシルバーパネルを用いた「ベーシック内装」、エアコンはマニュアルとなる。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
エアコンやオーディオ、カーナビなどのスイッチ類が機能的に配置され、操作しやすい。だが、アルファもどきのエアコン吹き出し口や、アウディっぽいエアコンスイッチはいかがなものか。どうせマネするなら、もっとうまくやって欲しい。テスト車は、オプションの「ラグジュアリー内装」で、ライトブラウンの木目調パネルが使われていた。シートやシフトノブのオレンジ色のステッチに合わせることや、クルマの性格を考えると、テラコッタ(素焼き)パネルを用いた「カジュアル内装」をオススメする。
(前席)……★★★
好視界をもたらす高い着座位置がありがたい。シートの座り心地も悪くない。ただ、ダッシュボード中央から斜めに生えているシフトレバーは“アイデア倒れ”に感じる。野球ボールよりひとまわり小さい形状シフトノブは握りにくく、レバーの位置と角度も、操作しやすいとはいえない。むしろコラムシフトにしてしまった方が、前席左右間の足元の空間が広くとれていいだろう。
(後席)……★★
サイドウインドガラスが立っていて、広々感あり。「24V-S」に標準装備される大きなダブルサンルーフ(フロントアウタースライド+リア固定式ガラス)の恩恵もあろう。実際、大人ふたり用の居住空間が確保される(乗車定員は5名)。ただ走行中は、「タイヤと路面が発する走行音」「排気音のこもり音」など、騒々しい。なお、センターアームレストをもつリアシートは、リクライニングできるほか、「6:4」の分割可倒式。バックレストを前に倒すと、ちゃんと荷室のフロアとフラットになる。
(荷室)……★★
床面最大幅136cm、奥行き84cm、パーセルシャルフまでの高さは34cm(ルーフまでは80cm)。前に倒した背もたれと高さを合わせるためか、ラゲッジルームの床が妙に高い。フロア下は、「ラゲッジフロアボックス」こと物入れになっており、そのさらに下にスペアタイヤが収められる。ボディ形状から期待されるほど荷室は広くない。天地寸法がもう少し欲しい。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★
三菱ジマンの2.4リッター直噴「GDI」ユニットは、回転フィールのキメが粗く、ガサ付いている。スロットルペダルを踏み込んでいって、3500rpmを超えるあたりから急に電気掃除機のようなノイズが大きくなり、思わずペダルから足を離したくなってしまう。また、高速道路での長い上り坂では、意気地がないくらいトルクが細く感じられ、3速へのシフトダウンを余儀なくされた。
これまた三菱ジマンの4段オートマチック「INVECS-II」は、スムーズに変速し、変速パターンも柔軟にドライバーの嗜好や走行状況に対応する。そこまではいい。しかし、ひとたび「スポーツモード」を試すと、レバーからの感触があまりにガサツ。シーケンシャルシフトの存在意義を疑う。純ATで十分だ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
アスファルト舗装の細かな表面のザラザラをそのまま車内に伝える、粗い乗り心地。フロアもつねにブルブル、ワナワナと振動し、ノイズを発する。大きく四角いボディは音の処理が難しいものだが、もう少しボディ剛性を高めて振動を抑えれば、と思った。エアトレック、ランサーセディアワゴンに先行して開発されたというが……。
ステアリングフィールもいまひとつ。パワーステのアシストに不自然なものを感じた。中心付近は「スルスル」「スカスカ」とハンドルが軽く回り、路面からの情報を伝えない。そのうえ45度くらい切ったところから“人工的な負荷”が急に増してくる。
(写真=郡大二郎)
【テストデータ】
報告者:金子浩久
テスト日:2001年8月27日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:2958km
タイヤ:(前)215/60R16 95H/(後)同じ(いずれもヨコハマ Geolandar G035)
オプション装備:寒冷地仕様(25.0万円)/ラグジュアリー内装(9.0万円)/DVDナビゲーションシステム(32.0万円)/トノカバー(1.5万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(7)
テスト距離:290.0km
使用燃料:30.9リッター
参考燃費:9.4km/リッター

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