コップのなかのせめぎ合い
7月18日にフェイスリフトを受けた、センティアなきあとのマツダの旗艦、ミレーニアにハコネで乗った。
ニューミレーニアは、Aピラーより前をすべて一新。フラッグシップだけに、マツダ ・ファミリーフェイスの象徴「ファイブポイントグリル」は、クロームで縁取りされたうえ、でっかい。プロジェクター&マルチリフレクターを採用したヘッドランプがギロリと目をむき、グリル横からボンネットへのキャラクターラインが、ハ虫類顔に表情をつける。メインマーケットが北米であるため、全体にバタくさい。
運転席に座ると、インパネまわりはスッキリとした水平基調。明るい色調のインテリアのなか、ダッシュパネル上面を暗い色にして「広々感を感じさせるツートーン構成としました」(プレス資料)そうだが、スイマセン、気付きませんでした。それより 「オッ!」と思ったのは、プレミアムセダンのわりに小さく細いステアリングホイール。スポーティだ。
初めに乗ったのは、2.5リットルV6(200ps/6500rpm、22.8kgm/4800rpm)搭載の25Mスポーツパッケージ。215/50R17というスポーツカーばりのタイヤと、スポーツチューンドサスペンションで、足もとをキメる。
ミラーサイクルユニットがカタログから落ちたいま、トップエンジンとなる「KL-ZE 」型は、しかし、「多気筒ユニットのスムーズさ」を期待するむきには、多少、ザラついて感じるだろう。エンジン音の、室内への侵入も大。個人的には、「活発でよろしい」と思ったが。
一般道では、バネ下のバタつきを感じさせる足まわりだが、山岳路では、マツダのプロダクトフィロソフィーのひとつ、「反応の優れたハンドリングと性能」を具現化してくれる。トップモデルにまで「人馬一体感」を求めるところが、「スポーツカーをつくらせたら黙っちゃいないよ」というマツダらしい。
一方、2リッターV6モデル、20Mは、褒め言葉としての「女性的な繊細さ」を特徴とする。ボア×ストローク値とも小さい「KF-ZE」型は、軽やかに回り、音もツブぞろい 。サウンドのわりに、出足はキッチリ501cc分遅いけれど、215/55R16のタイヤを履く足は柔らかく、優しい乗り心地。ワングレードのみの、いまひとつリキが入らないモデルだが、隠れた名馬、かもしれない。
25Mスポーツパッケージが275.5万円。20Mは235.0万円。アルテッツァ、マークII三兄弟、セフィーロ、スカイラインなど、トヨタと日産にガッシリ囓られた残りのパイで、ミレーニア、アクの強さで生き残れるか?
(web CG アオキ)
|

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
日産エクストレイルNISMOアドバンストパッケージe-4ORCE(4WD)【試乗記】 2025.12.3 「日産エクストレイル」に追加設定された「NISMO」は、専用のアイテムでコーディネートしたスポーティーな内外装と、レース由来の技術を用いて磨きをかけたホットな走りがセリングポイント。モータースポーツ直系ブランドが手がけた走りの印象を報告する。
-
アウディA6アバントe-tronパフォーマンス(RWD)【試乗記】 2025.12.2 「アウディA6アバントe-tron」は最新の電気自動車専用プラットフォームに大容量の駆動用バッテリーを搭載し、700km超の航続可能距離をうたう新時代のステーションワゴンだ。300km余りをドライブし、最新の充電設備を利用した印象をリポートする。
-
ドゥカティXディアベルV4(6MT)【レビュー】 2025.12.1 ドゥカティから新型クルーザー「XディアベルV4」が登場。スーパースポーツ由来のV4エンジンを得たボローニャの“悪魔(DIAVEL)”は、いかなるマシンに仕上がっているのか? スポーティーで優雅でフレンドリーな、多面的な魅力をリポートする。
-
ランボルギーニ・テメラリオ(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.29 「ランボルギーニ・テメラリオ」に試乗。建て付けとしては「ウラカン」の後継ということになるが、アクセルを踏み込んでみれば、そういう枠組みを大きく超えた存在であることが即座に分かる。ランボルギーニが切り開いた未来は、これまで誰も見たことのない世界だ。
-
アルピーヌA110アニバーサリー/A110 GTS/A110 R70【試乗記】 2025.11.27 ライトウェイトスポーツカーの金字塔である「アルピーヌA110」の生産終了が発表された。残された時間が短ければ、台数(生産枠)も少ない。記事を読み終えた方は、金策に走るなり、奥方を説き伏せるなりと、速やかに行動していただければ幸いである。
-
NEW
レクサスLFAコンセプト
2025.12.5画像・写真トヨタ自動車が、BEVスポーツカーの新たなコンセプトモデル「レクサスLFAコンセプト」を世界初公開。2025年12月5日に開催された発表会での、展示車両の姿を写真で紹介する。 -
NEW
トヨタGR GT/GR GT3
2025.12.5画像・写真2025年12月5日、TOYOTA GAZOO Racingが開発を進める新型スーパースポーツモデル「GR GT」と、同モデルをベースとする競技用マシン「GR GT3」が世界初公開された。発表会場における展示車両の外装・内装を写真で紹介する。 -
NEW
バランスドエンジンってなにがスゴいの? ―誤解されがちな手組み&バランスどりの本当のメリット―
2025.12.5デイリーコラムハイパフォーマンスカーやスポーティーな限定車などの資料で時折目にする、「バランスどりされたエンジン」「手組みのエンジン」という文句。しかしアナタは、その利点を理解していますか? 誤解されがちなバランスドエンジンの、本当のメリットを解説する。 -
「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」の会場から
2025.12.4画像・写真ホンダ車用のカスタムパーツ「Modulo(モデューロ)」を手がけるホンダアクセスと、「無限」を展開するM-TECが、ホンダファン向けのイベント「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」を開催。熱気に包まれた会場の様子を写真で紹介する。 -
「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」の会場より
2025.12.4画像・写真ソフト99コーポレーションが、完全招待制のオーナーミーティング「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」を初開催。会場には新旧50台の名車とクルマ愛にあふれたオーナーが集った。イベントの様子を写真で紹介する。 -
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション/CR-V e:HEV RSブラックエディション ホンダアクセス用品装着車
2025.12.4画像・写真まもなく日本でも発売される新型「ホンダCR-V」を、早くもホンダアクセスがコーディネート。彼らの手になる「Tough Premium(タフプレミアム)」のアクセサリー装着車を、ベースとなった上級グレード「RSブラックエディション」とともに写真で紹介する。
